イギリス3大ブルースバンドとは、フリートウッド・マック、チキン・シャック、サヴォイ・ブラウンというのは洋楽・ロックの教科書に出ていますが、2020年現代の視点から振り返ると、フリートウッド・マックは日本のシティポップにも影響を与えたMOR、AOR路線で世界を制覇したわけです。
フリートウッド・マックの代わりに同じくイギリス出身のクライマックス・ブルース・バンドあたりを持ってくる考えもありますが、こちらも1980年代のMOR路線で売れたバンド。ブルースをベースとしなながらもポップ・ミュージックならどんなスタイルでも採り入れる良い意味での雑食性は、日本でいえばサザンオールスターズに通じるものかもしれません。
オランダのブルースシーンを知ったのはインターネット時代になってからですが、1960年代以降はイギリス・アメリカのロック・ポップミュージックシーンと連動していたであろうことは想像できます。つまり、1960年代後半のオランダのロックシーンには、ブルースロックからアメリカの電気化された戦後ブルース(シカゴ・ブルース等)を遡って影響を受けたロック世代のミュージシャンが大勢いたのでしょう。
成毛滋さん(日本のロック創成期を支えたギタリスト)でしたでしょうか?1970年半ばまでの当時は、日本人の癖がうつるから日本人のギタリストのコピーをしてはいけない、必ずロックの本場である英米のギタリスト(エリック・クラプトンとかピーター・グリーンとかマイク・ブルームフィールドとかですかね)をコピーしなければならないというのが音楽学習のルール的に言われていました。
そういうわけで、オランダのエレクトリック・サイケデリック・ブルースバンド「Electric Blues」です。一般名詞としての「Electric Blues」と混同されないよう、ホームの地名であろうNoordwijkをバンド名の一番最後につけ「Electric Blues Noordwijk」と表記することが多いようです。
バンドの創始年を1967年としていて、オリジナルメンバーの1967年の平均年齢が17歳なら、53年後の今年2020年のオリメン平均年齢は70歳。結成時15歳なら68歳。まぁ誤差はプラマイ5歳幅位に収まるのではないでしょうか。
おそらく、フロントのギターとベースの二人がオリジナルメンバー。
もちろん、53年の間にメンバーチェンジがあった可能性は高いですし、現在のステージは若い世代のサポートメンバーが加わっているので、サポートを含めたバンドの平均年齢は一気に数十歳レベルで下がっているはずです。
オリメンの1970年代、1980年代の音楽活動を知らないのですが、もしかしたら市役所を定年まで勤め上げた後、バンドで世界ツアーに出ていたビートルズのオリジナルドラマーのピート・ベストのようなキャリアなのかもしれません。
音楽性は、マウス・ハープ(ブルース・ハーモニカ)も結構多用するエレクトリック・サイケデリック・ブルースロックで、バターフィールド・ブルースバンド(白人ブルース・ハープ奏者のポール・バターフィールドが率いマイク・ブルームフィールドが在籍したバンド)とテン・イヤーズ・アフター(TYA)をミックスしたような感触かも。J・ガイルズ・バンドやスティーヴ・ミラー・バンドはもうちょいノリがリズム&ブルース色が強いような気がします。
今年、2020年のオランダのサイケデリック・ブルースロックバンド「Electric Blues Noordwijk」、原点に返って老成したブルースを演っているクライマックス・ブルース・バンドあたりより、1969年の「あの頃」感のある演奏をしているように聴こえるのです。
◆Electric Blues Noordwijk - Slow Train Coming
2017年のライブ音源。カッコいい!
https://www.youtube.com/watch?v=7JoMpxoarD0
◆ELECTRIC BLUES HONORS CUBY + BLIZZARDS TOUGH ON ME TOUGH ON YOU
2020年5月に発表された音源。アートにバンクシーを持ってくるあたり、おそらく2020年のコロナ禍を意識している気がします。
https://www.youtube.com/watch?v=tNcZR6LnSZk
◆Electric Blues Noordwijk - Black Panther
https://www.youtube.com/watch?v=KSScxojLVyU
◆Electric Blues Noordwijk - When A Blind Man Cries
https://www.youtube.com/watch?v=qLF_kWoCCT