Whiskey Dustという女性3人組のサイケデリック・ハードロックバンド、音は思い切り1970年代初頭のブラック・サバスやアイアン・クロウ等を意識したいわゆるドゥームメタル。
HR/HM、ラウド色を取り込んだ系ガールズバンド、ラウド系アイドルの流行から、女性のロックバンドにはラウドな音楽性を志向するグループは多く存在します。
しかし、ドゥームメタルなサウンドを出すには、1960年代後半から1970年代初頭にかけてのサイケデリック・ロック、ハードロック、ヘヴィメタルを相当聴き込んでいる必要があり、一朝一夕にはいきません。
いわゆる『嬢メタル』のバンドは、サウンドを、1980年代の日本のジャパメタ、V(ヴィジュアル)系、欧州(ドイツ、北欧等)のパワーメタル、アメリカのLAメタル(グラムメタル)等を基に構築しています。『1960年代後半から1970年代初頭にかけてのサイケデリック・ロック、ハードロック、ヘヴィメタル』の影響は強くありません。
一方、嬢メタルやガールズハードロックムーブメント以外の『サイケ』や『オルタナ』を志向するバンドには、1960年代から1970年代初頭の欧米のロックを志向し、クラシックなロックのカラーを特色とするバンドは少なからず存在しています。新月灯花や赤いくらげ等。
来年2月に武道館公演を控える人気ガールスハードロックバンドBAND-MAIDの「matchless GUM」、「Unfair GAME」は、ブラック・サバスを参照しているのではないでしょうか?ゆったりとしたテンポで重く引きずるグルーヴィーなリフが特色で、メジャーで活動するバンドには珍しいジャパメタでもV系でもないサイケデリックなヘヴィメタル、ドゥームメタル調。
ハードロック、ヘヴィメタルのマナーに従った曲のためか、2017年のドイツ・ボーフム公演ではとても受けていましたが、ワールドツアー終盤、日本帰国後の凱旋公演では今一つの反応でした。
日本のポップスシーンは、大森靖子さん、阿部真央さん、酸欠少女さユり、ミオヤマザキ・・・等々、時代時代でメンヘラ系とカテゴライズされる女性シンガソングライターを輩出し続け、女子中学生から10代、20代の同性の支持を受けてきました。
しかし、女性主体のロックバンド、ハードロックやヘヴィメタルの音楽性で、ガチに『メンヘラ』を歌ったバンドはついぞ思いつきません。
『メンヘラ』系のファッションや自意識、自己演出からすると、ハードロック、ヘヴィメタルのルーツであるサイケデリック・ロックとの相性は良いはずです。
というわけで、Whiskey Dustの音源を聴いた時、洋楽ロックベースのサイケデリックロック、ヘヴィメタル、ハードロックのサウンドにメンヘラのタイトルを付けるユニークさには可能性を感じました。
何と言っても楽曲のクオリティ―が高い!
とてもポッと出の新人バンドには思えない・・・と思ったら、ベースは人気ガールズハードロックバンドAZAZELのyuriさんではありませんか!
音楽性の掘り込みの深さ、豊穣さに納得した次第です。
AZAZELはいわゆる『嬢メタル』シーンの人気バンドです。その音楽性は、北欧からスリージーロックのブームが輸入される以前から、『バッドガールズロック』と称し、モトリー・クルー、RATT、DOKKENらの1980年代のLAメタル(グラムメタル)に通ずるグラマラスな衣装、存在感、ステージングでロックンロールを演奏してきたガールズバンドです。
AZAZEL、ボーカルのMIYAVIさんが休業中のため、ベースのyuriさんは、もうひとつのバンドWhiskey Dustでも並行して活動することになったのでしょう。
Whiskey DustのボーカルGsbeq Ayaさんは、マドンナやレディー・ガガ等の女性エンターテイナーの芸の基礎技術・素養としてもおなじみのアメリカでポピュラーなメソッドのバーレスクやポールダンス等を基にキャラクター・芸風を構築しているように見えます。歌唱力も本格的。インパクトは和製イン・ディス・モーメント(In This Moment)のマリア・ブリンク的かも。マリア・ブリンクはマドンナを相当パクっていると思いますよ。
ギターのエリカさんは、ソロを弾いている動画を観ると、エドワード・ヴァン・ヘイレンやランディー・ローズ以降のシュレッダー志向のギタリストのように見えます。Whiskey Dustでは、ゆったりとしたグルーヴィーでダウナーな楽曲に合わせた抑えたプレイをしている感じ。
NEMOPHILAのmayuの記事でも書いたように、バンドというもの、魅力的なフロントマン、カリスマ性あるボーカルを擁するかどうかで運勢が決まってきます。
Whiskey DustのフロントマンGsbeq Ayaさん、日本の嬢メタル、ガールズハードロックバンド、ガールズバンド界隈では他にないユニークな個性を放つ存在。
ちょいダウナーで退廃的な自己演出というのは、いわゆるメンヘラ系のシンガーソングライターには存在しますが、バンドのフロントマンではあまり例を見ません(もちろん東京事変のあの方は別格ですが)。
そういう意味で、Whiskey Dustは、従来からの嬢メタルシーンを支持する中高年男性、いわゆる『嬢メタルおじさん』の支持に留まるのは惜しいバンドで、そこに留まって欲しくはありません。
『メンヘラ系』の女性シンガーソングライター的存在感をも呑みこみ、かつサイケデリックでヘヴィでグラマラスな個性で、10代、20代の女性にも支持されると良いなと思う次第。
◆【POOR WOMEN】MV -Whiskey Dust-
https://www.youtube.com/watch?v=m4Cjzyf-9DU
◆「めんへらりすと」/ Whiskey Dust
https://www.youtube.com/watch?v=qZw85PW7QRQ
◆「HATE」/ Whiskey Dust
https://www.youtube.com/watch?v=o4om6cZYb94
サイケってこんな感じ。1960年代半ばのサイケからハードロック、プログレ、ヘヴィメタル等へとロック音楽が発展、分化していったんでですよね。
◆【MV】よじれる/赤いくらげ
https://www.youtube.com/watch?v=yl5VGaA2VOI
◆新月灯花 選挙の日 MVフル
https://www.youtube.com/watch?v=LD_YI8F2x1Q
AZAZELの姉妹バンドでは、平成の時代に昭和の化石のような蓮っ葉歌謡ロックをかましてくれたIKEMEN大好き!のらさん、カムバック待ってます。
◆【MV】黒い雨 / IKEMEN
https://www.youtube.com/watch?v=bSO-_GLGcI8