初期のハードロックボーカリストとは全員白人のリズム・アンド・ブルース歌手です。
例外はいません。
なぜなら、サイケデリックロック・ハードロック・ヘヴィメタル以前にハードロックという音楽スタイルはなかったからです。
ペリー・コモやフランク・シナトラのような白人ポップス歌手より、圧倒的に黒人のリズム・アンド・ブルース歌手の歌唱を愛聴し、そのスタイルを真似た白人の若者達の一群。
ポール・ロジャース、スティーヴ・マリオット、ロバート・プラント、イアン・ギラン、ロッド・スチュワート(ジェフ・ベック・グループはハードロック・ヘヴィメタルのパイオニアでもあります)等々・・・。
彼ら白人のリズム・アンド・ブルース歌手が、1960年代末に急速に台頭した大音量で演奏するエレクトリックギター、ベース、ドラムス主体のコンボ(4~6人のバンドスタイル)に歌手として乞われ加入します。
歌唱という点からみればこのような音楽がハードロックなのです。
なので、ハードロック・ヘヴィメタルバンドを企画・組成する際に、歌唱力・表現力のあるリズム・アンド・ブルース歌手をバンドがスカウトするというのは現代においてもロックの「定石」なのです。
アメリカで修行してきたR&B歌手のAsamiをスカウトしたLOVEBITESや、安室奈美恵さんの全面的な影響を受けた彩姫(さいき)を起用したBAND-MAIDら現在のハードロック・ヘヴィメタルのガールズバンドもこの定石に沿って企画されています。
数十年前から、予算のあるプロデューサーが、日本人リズム・アンド・ブルース歌手の小柳ゆきさんをハードロック・ヘヴィメタルのバンド(プロジェクト)のボーカルに起用しないかなぁと夢想していました。
きっと小柳ゆきさんの歌うハードロック(エレクトリックコンボの伴奏をバックにしたリズムアンドブルース)は、日本版、女性版のマイケル・ボルトンあるいは小野正利さん(GALNERYUS)のような存在感を放つことでしょう。
嬢メタルを代表するバンドAldious(アルディアス)が新ボーカリストR!Nを迎えバンドのレパートリーを再録した企画アルバム『Evoke 2010-2020』。
同アルバムから新曲「I Wish For You」がMVとして発表されました。
一聴して連想したのは和製R&Bを代表するシンガーであるMISIA。
堂々たる和製R&Bです。
エレクトリック・コンボをバックに歌うリズム・アンド・ブルース歌手がハードロック・ヘヴィメタルの基本であるという定石を実現しているように聴こえる一曲です。
◆Aldious / I Wish for You (Short Edit)
https://www.youtube.com/watch?v=5emSeDT3ptI