大阪の女性4人組の「失禁少女」というバンド名のパンクバンド(現在はベーシスト脱退のため3人組)があって、ちょっとその名前のままだとオファーのある仕事が限られてしまうのでは・・・と思っていたところ、「密会と耳鳴り」のバンド名に改名されました。
例えば、成人式にロックバンドを呼ぼうかという企画で、市役所の幹部が、企画書にある「失禁少女」と、「密会と耳鳴り」のバンド名を見た時、それぞれのバンド名から、いかなる印象を受けるかというようなことを確かめたことはありませんが、ご想像のような反応がないとは限らないかもしれません。
しかし、「密会と耳鳴り」にバンド改名後の曲名も、「爆乳で窒息」だったりと、過激というかパンクな抵抗精神に翳りは見られず・・・などという、いま一つ山下達郎さん、オフコース、ユーミン(どちらかというと荒井由美さん時代)にフィットしない書き出しで始めてしまいました。
「失禁少女」というバンドは、ライブで紙おむつを着用してパフォーマンスした、即ち、アメリカのファンクの重鎮、P-Funk(パーラメント・ファンカデリック)の生涯オムツ姿のギタリスト(無垢な赤ん坊、スターチャイルドを表現している)、ゲイリー・シャイダーをオマージュしている可能性があるのですが、そのような文化的文脈・背景(ハイパー・コンテクスト)がはたして日本のライブシーンで説明なしに通じていたかどうかは不明なところです。
世間の大人に、業界に、あるいは女性のバンドマンであれば男性のバンドマンに「舐められてたまるか!」とばかり、パンキッシュというか、お上品の反対チックなバンド名を付けてしまうことを、若気の至りと批判するつもりもありません。
使命を終えたバンド名は、武士が幼名から元服して実名(元服名)となるように、脱ぎ捨てれば良いのではないでしょうか。
パンク出自ながら、どことなくスピッツ、ミスチル(Mr.Children)、back numeberらの伝統の歌ものロックにも通じる売出中の邦ロックバンド、「オレンジスパイニクラブ」は、元服する前の幼名は「ザ・ドーテーズ」、時として「ザ・童貞ズ」表記のバンドでありました。
”大人”の目から見ると、「ザ・童貞ズ」より、「オレンジスパイニクラブ」のバンド名の方が、仕事の機会に恵まれやすいかなという気もしないでもありません。
いや、自分は、ドアーズもシド・ヴィシャスも、「忘れらんねえよ」も大好きですよ。
しかしながら、『名は体を表す』でもあり、パンキッシュなバンド名を冠しているならば、生き様として、『破天荒に生きてこそパンク』。
例えば、0歳児から80歳代までの善男善女が集う、週末のショッピングモールのイベントステージで、全方位に好印象を持たれるバンドではどうもないかもしれない、などとクライアントに提案するバンドのリストからは外しておこうなどと、大人に偏見、先入観を持たれるのもまたやむをえないことかもしれません。
広島の女性4人組ロックバンド、幼名を「ペロペロしてやりたいわズ。」は、アルファベット4文字の「PERO」に改名したわけですが、その事情、心意気については、バンドメンバーのブログをお読みいただければと存じます。
「ペロペロしてやりたいわズ。」という思わず身構えてしまうバンド名から、Suchmos(サチモス)と並び称されるシティポップの雄「cero」のような、アルファベット4文字のオシャレな「PERO」のバンド名を得て元服されたわけです。
しかしながら、本記事では、「ペロペロしてやりたいわズ。」改め「PERO」が、なぜ、山下達郎さん、オフコース、ユーミンなのかというところまで届いていません。
山下達郎さん、大貫妙子さん、伊藤銀次さんらを輩出したシュガー・ベイブ(SUGAR BABE)の「ダウンタウン」。
シュガー・ベイブ(SUGAR BABE)の「ダウンタウン」のオマージュ先は、ビートルズが「ツイスト&シャウト」をカバーしたことで有名な、アメリカの最古のロックバンドの一つ、アイズレー・ブラザーズの「If You Were There」。
山下達郎さんの最大のリスペクト先、オマージュ先がアイズレー・ブラザーズであることは広く知られれているところです。
パンキッシュな改名騒動(?)とは裏腹に、キレの良いカッティングがリードするブラック・ミュージックの素養豊かなポップ音楽のグループ、それがペロペロしてやりたいわズ。改め、PEROです。
◆ペロペロしてやりたいわズ。 『high wave』 Music Video
幼名時代の名曲。
(ギターの)カッティングが良ければ、音楽は全て善しが持論なので、このカッティングは痺れます。ベースラインも良い。現在は女流ドラマーが加入し、女性4人組「PERO」と改名。
シュガー・ベイブ(SUGAR BABE)・山下達郎さんらの伝統を感じさせるアイズレー・ブラザーズ節が良いですね!
オフコースのニューミュージックを連想させる曲もあります。
そりゃ、NHK紅白歌合戦に出場するヒゲダン(Official髭男dism)あたりと比べれば、レコーディングやMV制作にかけられる費用は全然違うでしょうけれど、PEROのリズム&ブルースやファンクを消化した、少々荒削りながらポップな音楽性には光るものがあります。
◆アイズレー・ブラザーズ(The Isley Brothers) - That Lady, Pts. 1 & 2 (Audio)
◆ 【おねだりワンマン】第40回「PERO TV」【ありがとう!!】
2019年12月6日東京下北沢でのワンマンライブダイジェスト。PEROは、インディーズ系邦ロックと洋楽のファンクミュージックの要素を併せ持っているバンド。
◆PERO近影
パリピ?
写真リンク先:PERO Official SITE