「スラッシュ」(THRASH)という単語は、音楽の歴史的には「パンク」(PUNK)を指します。
すなわち「スラッシュ」(THRASH)+ヘヴィメタル(HEAVYMETAL)=スラッシュメタル(THRASHMETAL)は、パンク・ハードコアとヘヴィメタルの要素が融合、統合された音楽です。
このあたりの音楽史の中での成立事情を、スラッシュメタルの第一人者であるメタリカのドラマー、ラーズ・ウルリッヒが、ドキュメンタリーの中で証言しています。
BAND-MAIDの「輪廻」MVに寄せられた英語のコメントで、引き合いに出されるバンドには、モーターヘッド(MOTORHEAD)、メタリカ(METALLICA)が目に付きます。
モーターヘッド、スレイド、シン・リジィ等のイギリスのバンドは、後世のパンクにもメタルにも大きな影響を与えたので、双方の分野のバンドからリスペクトされています。
これらのバンドを、ハードロックかメタルか、あるいはパンクの元祖かに分類することは無意味なので、サブカテゴリを包含する上位概念の『ロック』(ROCK'N'ROLL)と呼ぶのが無難でしょう。
私は、基本的に、ロック音楽の発展の歴史的経緯から、ハードロックとヘヴィメタルは、バンドマン、プロデューサー、レーベル、メディア、そしてファン層等の資産を共有しており、分離するのは困難とする説に立っています。
・嬢メタルの代表的バンドの一つだったBRIDEARは、現在も、MVに寄せられるコメントは、海外のメタルファンからのものがほとんどですが、現在、ヘヴィメタルのルーツは隠さず、そのまま、自らの看板を『ガールズロックバンド』としています。
BAND-MAIDの「輪廻」がメタルに聴こえるのは、ドラマーの廣瀬茜さんの高速でのドラムの連打(ブラストビート)の印象によるところが大きいはずです。
ブラストビートを使用するロック音楽のサブカテゴリには、ハードコア、ブラックメタル、デスコア、メタルコア、スラッシュメタル、グラインドコア、ポストハードコア、クロスオーバースラッシュ等いろいろあります。
いわゆる広義のラウド系という音楽でしょう。
BAND-MAIDが楽曲「輪廻」を制作するにあたり、メタルを明確に意識しサウンドを作ったのかどうかは、現在のところ、当人たちのインタビューの中で明確な発言がないので不明です。
下記のインタビューでは、インタビュアー・編集者側がメタルと表現してはいますが、メンバーの発言ではありません。
【インタビュー】BAND-MAID|チケット情報・販売・予約は ローチケ[ローソンチケット] ローチケ[ローソンチケット]
私は、BAND-MAIDは、デビュー以来の女性アイドルグループとガーリーなガールズバンドシーンを離れ、2016年をピークに、日本のハードコア、ラウド系のバンドとの対バンを繰り返し、強固なバンドサウンドを獲得したと見ています。
BAND-MAIDの『中興の祖』的な当時のマネージャーは、ハードコア畑出身でした。元マネージャーを通し、ラウド系、ハードコア等の大きな音楽的影響を消化したのが、中期以降のBAND-MAIDのサウンドです。
そのため、BAND-MAIDは、特に具体的にメタルを意識したり、参照したりしなくとも、バンドとして可能な音楽の表現の幅の一環として、「輪廻」のブルータルなアレンジは可能なはずと見ています。
◆BEFORE MY LIFE FAILS - "SHEEPS" Farewell Show (Official Live Video)
BAND-MAIDが2016年当時度々対バンしていたBMLF
https://www.youtube.com/watch?v=le5_tgtYnZ0
◆BAND-MAID / 輪廻
https://www.youtube.com/watch?v=CQ9dbEVgZcA
◆BNK48 / Koisuru Fortune Cookie -คุกกี้เสี่ยงทาย-(恋するフォーチュンクッキー)【Cover by Nobuna】
タイのポストハードコアバンドNobunaの創設者でドラマーのVirgilは、BiSHやPassCode等の日本のラウド系アイドルのファン。BAND-MAIDのことも良く知っているでしょう。
https://www.youtube.com/watch?v=6gO7DZFzl5c