タイの4人組ガールズバンドALIZを紹介するのに、2020年9月の今、一番通りやすいのは、「BLドラマ『My Engineer』に出演しているLeenammがボーカルを務めているバンドなの!」かもしれません。
コロナに伴うステイホームによる映像コンテンツ需要拡大の流れに乗り、日本でも人気が沸騰中のタイのボーイズラブドラマ。BLドラマの人気プログラム『My Engineer』で、紅一点のティンティンを演じているのがALIZのボーカルLeenamm(Nam Kankulnut)なのです。
タイのガールズバンドではオルタナ系のJelly RocketやYellow Fangが日本でも名前を知られています。
ALIZもオルタナティブロックを基本に、ソウル、AOR、ファンク風味のタイポップの音楽性を載せたバンドという印象を持っていました。
ところがどっこい、ALIZのタイ北部チェンライでのフェス出演フルステージを収めた動画『ALIZ-Farm Festival 2019@Singha Park Chiangrai』の約一時間のライブ音源を聴いて驚きました。
とにかく演奏が上手いのです。メンバーが全員女性のガールズバンドのカテゴリでは世界トップクラスではないでしょうか。
ちょっと通じにくいかもしれませんが、プログレッシブロックのYES的な上手さという印象を持ちました。
私の演奏の上手いバンドの『基準』は、イギリスのプログレッシブロックバンドのジェントル・ジャイアントとアメリカのオーリアンズです。
ジェントル・ジャイアントはヨーロッパのトラッド、フォーク、クラシック等、オーリアンズはラグタイムやジャズやロックンロール等のアメリカーナがベースです。
スタジオ音源ではよくあるロックバンドにしか聴こえないかもしれませんが、両者ともライブ音源を聴くと、鉄壁のバンドアンサンブルを奏でながら分厚い壁のような完璧なコーラスを重ねるという、人間技を超越した演奏力を誇るバンドなのです。
YES等のプログレ勢は、この2者に比べると普通に上手いバンドで、それでも超絶上手いバンドであることはもちろんです。
『ALIZ-Farm Festival 2019@Singha Park Chiangrai』の約一時間のライブで把握できるALIZの音楽性は、ソウル、AOR等をベースとした親しみやすいポップス、ミディアムテンポながらグルーブを生じさせるファンク、カントリーに通じる情緒的で美しいメロディーが売りのバラード等のコンビネーションのタイポップの王道です。こうでなければタイポップとして売れないという領域をしっかり押さえているといえます。
8ビートのロック曲もセットリストにちらほら混ぜてあるのですが、聴かせどころはあくまでバラードやミドルテンポ曲というタイポップの王道という印象を受けました。
で、新曲の「ภาพลวงตา」、これがメロハー、パワーメタル!
それでもって、今まで黒が基調だったものの今回の曲では衣装を白に揃えていることもあって、アピアランスが日本のガールズヘヴィメタルバンドのLOVEBITES!
もともと、グランジ、オルタナティヴロックの代表格、ニルヴァーナはブラック・サバスの、サウンドガーデンはレッド・ツェッペリンのそれぞれ強い影響を受けています。つまり、ルーツ的にオルタナとハードロック、ヘヴィメタルの相性は良いのです。
約一時間のライブ音源を聴いてわかるALIZの演奏力、この演奏力をもってすればあらゆるカテゴリの曲を演奏できるのです。
◆ภาพลวงตา - ALIZ [OFFICIAL MV]
https://www.youtube.com/watch?v=A46iNmvPFTU
◆LOVEBITES / Rising [MUSIC VIDEO (YouTube version)]
https://www.youtube.com/watch?v=p3wtLfmTmXE
◆ALIZ-Farm Festival 2019@Singha Park Chiangrai
https://www.youtube.com/watch?v=QyUZBvshqMA
・ALIZが所属するレーベルMUZIK MOVE RECORDSはVERTEX ASIA JAPANと連携。ALIZはアフターコロナのインバウンドビジネス復活をプロモーションするために来日し、福島県でMVを撮影予定。また、EARTH PATRAVEEと元BNK48のJANCHANは、長野県でMVを撮影予定。
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