最初、『BAND-MAIDが武道館に行くには?ハードロックの看板を下ろしてガールズ版シティポップ(Suchmos、cero、Nulbarich、etc.)を目指すのもあり?』等というタイトル、書きだしではじめようかと思ったのですが・・・。
BAND-MAIDの直近の音源を聴き、『GIGS2019年2月号』の特集インタビューを読むと、BAND-MAIDはなんの心配もないと思えます。
ある時点からセルフプロデュースに移行し、ここまで来た現在の流れの延長で、BAND-MAIDが好きなようにやっていくのが一番良いでしょう。
現在のBAND-MAIDのバンドの音楽的構造を一言で言うなら、『ボズ・スキャッグス+TOTO』かもしれません。
以前、BAND-MAID=ドゥービー・ブラザーズ説に賛同すると述べましたが、音楽性的には矛盾しません。ボズ・スキャッグス系統とマイケル・マクドナルド系統は人脈的にも重複しています。
TOTOは、ボズ・スキャッグスの『シルク・ディグリーズ』(1976年)のレコーディングに集ったメンバーがコアになって結成されたアメリカのロックバンドです。ジャンル的にはアメリカン・プログレッシブ・ハードロックとか産業ロックとかAOR等と呼ばれます。凄腕のスタジオミュージシャンの集まりですから、全てのスタイルの音楽を上手に演奏できそうです。
ボズ・スキャッグスのルーツはブルースやリズム&ブルース等の黒人音楽で、ソロデビュ―後、スティーヴ・ミラー・バンドのギタリスト、たまにリードボーカルで名が知られました。その後、ブルーアイドソウルをAORへと洗練させ、商業化するうえで第一人者としてアメリカで人気を得、特に日本ではミスターAORとして、数十年間にわたり大きな人気を誇っています。
ボス・スキャッグス&TOTOならば、ハードロック、AOR、ファンク、ディスコ、プログレッシブロック、もちろんルーツのリズム&ブルース等々ポピュラー音楽ならなんでもできます。そしてどんなタイプの楽曲を演奏してもボズ・スキャッグス&TOTOならではの楽曲に仕立てるでしょう。
BAND-MAIDの作曲の要の遠乃歌波さんのフェイバレット、音楽的ルーツは、ジャズ・フュージョンのラリー・カールトンとラテン・ロック・ジャズのサンタナ(ギタリスト、カルロス・サンタナのバンド)です。また、インタビューでは「ファンクも好きです。」と述べています。
従って、通常のアウトプットプロセスでは、BAND-MAIDの楽曲がHR/HM(ハードロック・へヴィメタル)として出てくることは本来ないはずです。
それでは、なぜ、BAND-MAIDがガールズハードロックバンドとして海外や日本で熱い支持を得るようなバンドになっていったのかという理由とプロセスについては機会がありましたら今度。
それでは、また。
◇BAND-MAID「Thrill」於2016年10月ワールドツアー、スペインTV局で放映されたBAND-MAIDのライブ。圧倒的なベースとリズムセクションのグルーヴは確かにブラックミュージック風。カメラマンがMISAのベースに圧倒されている様子が伝わってきます。
◇マイルス・デイヴィス(Miles Davis) 「Burn」
ギターはカルロス・サンタナ&ロベン・フォード
かなみんちょ(遠乃歌波さん)は、本来こっち側(ジャズ、黒人音楽系)の人のようです。
BAND-MAIDのシングル「start over」は、HR/HMファンに違和感を持って受け止められたようですが、実は「start over」こそ、バンドとしてのBAND-MAIDから自然に出てくるサウンドのような気もします。
https://www.youtube.com/watch?v=h4X3rAg6lhY