2015年頃だったと思いますが、匿名掲示板に『ロック(HR/HM)ボーカリストTOP10』的スレッドが立ったことがあります。
ロニー・ジェイムス・ディオやデイヴィッド・カヴァーデールという上位常連に混じって、『BAND-MAIDの彩姫』との投稿がありました。
当時、いわゆる『BURRN!』や『YOUNG GUITAR』や『PLAYER』等の雑誌の読者層とも重なるであろう日本のシニア層のHR/HMファンの中で、渋谷の地下のライブハウスをホームとする地下アイドル×ロックバンド的存在のガールズバンドBAND-MAIDを知る人は日本で数十人しかいなったかもしれず、まさしく『ネタ』だったわけです。
BAND-MAIDの彩姫さんが、ロックボーカリストとして著しい成長を見せたのは、声帯ポリープ手術に成功した2017年の夏以降です。
それ以降の BAND-MAIDの彩姫さんのクオリティであれば、過酷なツアーの積み重ねで若かりし20代の頃の絶頂期の声を失った往年の名ボーカリストを荒削りながら若さと勢いで圧倒する存在感があるといえるでしょう。
ということで『CONQUEROR』。
私の記憶の限りでは、BAND-MAIDのアルバムの中で、初めてバンドがプロデューサーとしてクレジットされたアルバムです。
実は、BAND-MAIDのCDのジャケット及び歌詞カード・冊子等のグラフィックデザインはテキストもグラフィックのマテリアルのパーツとしてデザインされていて、ぶっちゃけ裸眼で2.0以上の視力がある人でもない限り全く判読不可能です。
ガールズバンドのファンに多い、老眼が入った40歳代以上には模様にしか見えないでしょう。
なので、『Just Bring It』も『WORLD DOMINATION』も、制作クレジットを解読していません。
400%に拡大したりルーペで解読しようとするのは肩が凝るので面倒なのです。
というよりテキスト情報を読ませる気がないデザインワークなのでご趣旨の通り塊としてのグラフィックデザインを愛でながらCDを大音量で聴きましょうというスタンスです。
オールドスクールなハードロックやヘヴィメタルを期待する向きには肩透かしを食らった印象を受けた人もいるかもしれませんが、これがBAND-MAID本来の音!
中高時代に東京事変とともにニルヴァーナを聴いていた小鳩ミクさん、スマッシング・パンプキンズを聴いていたというMISAらのBAND-MAIDが、プロデビュー後キャリアを重ね、セルフプロデュースにより実現した自分達のバンド自身のサウンド、それが『CONQUEROR』。
BAND-MAIDのサウンドに、オールドスクールなハードロックを視ていた人はバンドに『幻』を見ていたのです。
BAND-MAIDのロックは、ハードロックではなくオルタタナティヴ・ロックです。
それでは、BAND-MAID=ハードロック説は間違いなのかというとそうではありません。
オルタナティヴ・ロック(というよりグランジと言った方がしっくりしますが)を代表するニルヴァーナはブラック・サバスに強い影響を受けていますし、同じくサウンド・ガーデンはレッド・ツェッペリンにそっくりです。
つまりオルタナティヴ・ロック勢はブリティッシュハードロックの強い影響を受けており、オルタナティヴ・ロックに影響を受けたBAND-MAIDのサウンドにハードロックの要素が先祖返りで存在しても不思議はありません。
「〇〇〇〇〇ロック」のロックの前の「〇〇〇〇〇」に何が入ろうと、ロックとして良いかどうかが全てであって、カテゴリをどう分けるか、どう呼ぶかどいうことは何でも良いのです。
BAND-MAID『CONQUEROR』、日本盤は特典お楽しみ映像付きなのでオタには必須ですし、逆輸入盤は英文訳された歌詞カードが付いているのでまた別な楽しみ方が可能です。
◆BAND-MAID / The Dragon Cries
1969年~1971年頃のサイケデリック・ロック/ハードロック/ヘヴィメタルのサウンドですよね。この曲を聴いてフェリックス・パパラルディ&クリエイションのアメリカ進出期のサウンドを連想するのは正しい。
https://www.youtube.com/watch?v=skEkpogsmE0
ツェッペリンクローンだとしてゲイリー・ムーアら(ボン・ジョヴィからも?)から、ロック史上最悪のイジメを受けたキングダム・カムのアルバムにこんなデザインのありましたよね?
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