ソロ歌手としてのテヨン(少女時代)の存在を知ったのは、海外のBAND-MAIDファンのコメントを通してでした。その方は、BAND-MAIDの彩姫とテヨンを対比していたのです。いわゆる「兼ヲタ」でしょうか。
東アジアのポップ・ミュージックの流行を追っている海外のファンには、K-POP、J-POPの双方をフォローしている方が少なくありません。
テヨンの歌唱は、一聴して「上手い」と感じました。
歌手の魅力はその多くを先天的な声質によります。テヨンは非常に魅力的な声質だと感じ、さらに歌唱法も表現力も気に入りました。
1970年代から1980年代のクラシックなソウルやポップスを基調とした楽曲、そして編曲もバックの演奏も良い。
テヨンの歌唱表現は、トレンドを踏まえたダンスミュージックのトラックや中低音を強調したミックスやディストーションの効いたエレキギターやツーバスを刻むドラムスのようなサウンドや楽器の突出に頼らなくても成立します。そこには、ポップスの無印良品のようなスタンダード感があります。
それはつまり、高い歌唱力を前提とした音楽、歌が上手くないと成り立たない音楽です。
エバーグリーンであると同時に、歌唱でトラック(伴奏)を牽引し、歌詞の世界観を表現し演ずる歌手本来の実力が問われるスタイルです。
テヨンのソロ歌手活動からは、「歌唱力で勝負する」姿勢がひしひしと伝わってくるのです。
すさまじい競争過剰のK-POP界で、ソロ歌手としてもキャリアを積み上げてきているだけのことはあります。
中森明菜さんは、現代に直接連なる女性アイドル歌謡曲歌手としては、最も影響力のある一人でしょう。
竹内まりやさんや杉山清貴とオメガトライブ等に楽曲を提供してきたシティポップの第一人者である作曲家の林哲司さんは、史上最も歌唱力のある女性アイドル歌手に中森明菜さんをあげています。
本田美奈子さん、相川七瀬さん、浜崎あゆみさんらの直接的に中森明菜さんの強い影響を受けた歌手はもちろんですが、現代の女性歌手、水樹奈々さんやLiSA、倖田未來さん、JUJUらの中森明菜さんのカバーを聴くと、途絶えることのない、中森明菜さんの影響を実感します。
BAND-MAIDがインディーズ時代の2014年にリリースした1stシングル「愛と情熱のマタドール」は、楽曲タイトルからも予想できるように、山口百恵さんの「美・サイレント」、中森明菜さんの「ミ・アモーレ」の路線に連なる直球の歌謡曲です。
運営は、BAND-MAIDのリードボーカルの彩姫さんの歌謡曲歌手としてのポテンシャルに注目し、開花させる道を検討していたのでしょう。
2014年に、20世紀の昭和の時代から連綿と受け継げられるラテンテイストのド直球の歌謡曲を若いロックバンドが歌うという企画はユニークなものではあります。
しかし、グルーヴィーなハードロック/ヘアメタル調のカップリング曲「Thrill」がMV化され、結果、BAND-MAIDはハードロックバンドに路線を変更し、海外先行で人気を獲得し現在に至ります。
そのプロセスの推理・謎解きは以下に記述しました。
結果、BAND-MAIDのリードボーカルの彩姫さんは、爆音のロックバンドの演奏にかき消され音負けしないどころか、楽器隊を掌握しリードできるだけのパワフルなシャウトスタイルのロックボーカリストとして成長することを第一としてきたはずです。
情緒的、感情的な表現力で聴衆を感動させる歌謡曲歌手としてのスキルを磨くことは一旦、次点となったわけです。
それは、BAND-MAIDの楽曲中のバラードの比率に表れているといってよいでしょう。
しかし、今後、明確な時期こそ予想は難しいですが、BAND-MAIDの彩姫さんが、ソロ作品、ゲストとのデュエット、あるいはサイドプロジェクト等の企画で、R&B、歌謡曲歌手としての魅力、実力を問う楽曲の発表、パフォ―マンスを解禁する可能性は高いのではないでしょうか。
◆TAEYEON 태연 '사계 (Four Seasons)' Concert Ver. @'s...one TAEYEON CONCERT
https://www.youtube.com/watch?v=U4n5OEwBlMw
◆【少女A / 中森明菜】covered by SaToMansion【MV】(Live at 下北沢SHELTER 2019.2.2)
中森明菜さんの「少女A」の曲調・世界観を決定した原曲のギターは名人の故・矢島賢さん。スコーピオンズやUFO等のジャーマン/ブリティッシュハードロックと、大人と社会と常識を薄幸で蓮っ葉な少女が上目遣いに睨みつたたきつけるヨコハマ・ヨコスカ・キヨセな世界観の壮絶な文化的・音楽的混血(=歌謡ロック)を、中森明菜さんの卓越した歌唱力、表現力が可能にしました。
B'zの松本孝弘さんはカバーアルバム『THE HIT PARADE』(2003年)中で、TAK MATSUMOTO featuring 上原あずみ名義で「少女A」をカバーしています。
中森明菜さんのカバーは星の数ほどありますが、SaToMansionの「少女A」は、(BAND-MAIDの小鳩ミクさんも武道館公演に行った)クリープハイプの尾崎世界観さんがもしも中森明菜さんをカバーしたら(?)的な世界観を感じるんですけどどうでしょうか?。たぶん、2019年の21歳でも、夜の世界でお仕事を始めたならカラオケで中森明菜さんの曲を歌えるのはマストなのかもしれません。尾崎世界観さんはラジオのDJで、「合いの手」(「落ちたら早いよ水商売!」とかいうアレ) )が入るので有名な「DESIRE」をかけていました。
https://www.youtube.com/watch?v=NSStLc0esfo
◆BAND-MAID / Daydreaming
ロックもいいですけど、また直球の歌謡曲もぜひ。
https://www.youtube.com/watch?v=RCaeUkrItyY
アメリカ人のポップス音楽リアクターLivさんが、BABYMETALの「PA PA YA!!」にリアクト。Livさんの動画は、アメリカ人の若者の東アジアのポップ(K-POP、J-POP)やアメリカのポップに対する反応が見えて面白い!最近韓国のTVドラマのリアクトも始めたようです。
Livさんが大好きなK-POPのレドベル(RED VELNET)の直近の楽曲は、USや日本のレトロ(ブラック・コンテンポラリーやシティ・ポップ)のモダンな再構築を狙っている感じがして、例えば1980年代のUSのマドンナだったり、黒人ファミリーグループのディバージュだったりを連想するんですよね。K-POP経由のUSブラコン・レトロは、現代のアメリカ人の若者にどう映っているのだろうかとか関心をひきたてられます。
https://www.youtube.com/watch?v=4FFHkjh1xgo