U2のさいたまスーパーアリーナでのコンサートで、グレタ・トゥーンベリ、エマ・ゴンザレス、オノ・ヨーコ、佐々木禎子さん、草間彌生さん、紫式部さん、川久保玲さん、伊藤詩織さん、石川優実さんらの写真がスクリーンに映し出されたことが話題になっていますが、古今東西のアクティヴィストという理解でよろしいでしょうか。
ロック、ソウル、ファンクが影響を受け、その一部となった重要な思想、活動がアメリカの公民権運動であり、公民権運動のアクティヴィスト達、キング牧師やローザ・パークスらであることの延長として、U2の姿勢があるのでしょう。
1970年代初頭には、U2も大きな影響を受けたであろう英国ロックの先輩達、プラスティック・オノ・バンド(オノ・ヨーコ&ジョン・レノン)の「アンジェラ」や、ローリング・ストーンズの「アンジー」のモデルとなったのは、アメリカの有名なアクティヴィストのアンジェラ・デイヴィスであるとの説は有力です。
アフロヘア―のアンジェラ・デイヴィスは、思想家・活動家であると同時に世界中の若い世代のファッションアイコンとして通用するカッコ良さを持っていました。
紫式部の隣が、偉大なるロックの創始者シスター・ロゼッタ・サープというのもU2らしいなと。
◆15歳の時、シスター・ロゼッタ・サープの英国ツアーの追っかけをして可愛がられ帯同を許されたんだぜと自慢するロバート・プラント翁(その後レッド・ツェッペリンに参加する)。
A 15 year old RP followed Rosetta Tharpe around UK on the American Folk Blues Festivals 1963/64/65 http://t.co/i3dMFs1sv1
— Robert Plant (@RobertPlant) 2015年3月23日
U2の社会に関心を持ち積極的に発言する姿勢というのは、直近50年位のロックと西側社会、社会思想の歴史とアイリッシュ(アイルランド系)の西側世界における位置づけと密接に結びついており、必然であるのでしょう。
メンバーとU2来日公演へ。
— BAND-MAID AKANE (@achi_bandmaid) 2019年12月4日
胸がいっぱいになりました。
with or without youコピーしたなぁ〜。懐かしい良き思い出です。
本当に最高だった。。。 pic.twitter.com/Y7fNyTSbCr
日本ではヨーロッパ、アメリカと言語も文化も共有していないので、ロックをビジネスとして輸入し現地生産するにあたり、思想的側面をリストラして純粋なエンターテインメントとして楽しむことができるわけで、そのことを一概に良いとも悪いとも言えません。
日本では、ロック音楽の西側世界における民族(差別)だったり、階級意識だったり、なかなかに理解するのも共感するのもハードなことがらは全て捨てて、エンターテインメントとして再構築しているために、欧米ではありえない”ロック”や”メタル”が次々と出てくる背景でもあるのでしょう。
世界中で根強いマニアを獲得している日本の女性のハードロックやヘヴィメタルのバンドなどもまさに欧米では絶対出てこないコンテンツです。
『No、Tatoo?!』(ええっ、タトゥ―入っていないの?!)
との日本の女性ハードロック・ヘヴィメタルバンドのMVへの、おそらく海外のメタルファンらしき方によるコメントが目にとまったことがあります。
欧米人なら全員タトゥーを入れているわけでないのは、学校の留学生やビジネスで接する欧米人を通してわかります。
『メタルあるいはロック=タトゥー入れるもの』という認知も、西欧社会における『階級』と密接に結びついているのです。
ロックとタトゥーの関わりで大好きなMVが、米サザンロックの雄、38スペシャルの産業ロック期のポップな大ヒット曲「Caught Up In You」。
MVの中で、38スペシャルが演奏するクラブのフロアでは、イケメンのMV主人公が往年のオリビア・ニュートン・ジョンかファラ・フォーセットのようキレイなお姉さんをナンパしています。
一方、38スペシャルのファンを象徴するような上腕全体にタトゥーを入れキャップを被ったおじさんは、おそらくダンスが苦手(踊ることができず)で、椅子に座ってひたすらビールをかっくらっい、しまいにはひっくり返ってしまいます。
このおじさんの描写が、38スペシャルのファン=レッド・ネック層の描写なのです。
西側、特にアメリカ社会を知る上で、理解する必要がある白人社会の階級、レッド・ネックやスコッチ・アイリッシュというものが描かれれているのです。
そして、ロックのルーツがアフリカ系アメリカンの音楽と同時に、スコッチ・アイリッシュの音楽であり、話は、アイルランド出身のロックバンド、U2はなぜ世界を相手に社会的な発言をするのか、ドナルド・トランプ米大統領の支持層はどのような人達であるのかということに戻るのです。
そういうわけで、BRIDEAR『Expose Your Emotions』、前作までと比べて詞作に特徴があります。メロディーもアプローチのベクトルを変えてきているように聴こえます。
J-POP的メッセージ性を増した歌詞と、日本的情緒を意識したメロディー。
浜崎あゆみさんや松田聖子さんやZARD等の王道J-POP女性ボーカルを連想しました。
ロック・メタルは大衆音楽ですが、日本人女性ミュージシャンがイギリスの労働者階級のメタラーやアメリカのレッド・ネックそのものの感性を持つことはできません。
日本に生まれ育った女性ミュージシャンが、ロック・メタルの大衆性を追求し掘り下げようとしたとき、J-POPというアプローチを採り入れることは必然ではないでしょうか。
◆浜崎あゆみ ‐ Depend on you
https://www.youtube.com/watch?v=l7HnrBXHGIM
◆BRIDEAR ‐ Ghoul
https://www.youtube.com/watch?v=1nurhlS00WU
◆38 Special - Caught Up In You
https://www.youtube.com/watch?v=zg21Rkew874
◆Robert Plant & Alison Krauss - Sister Rosetta Goes Before Us
https://www.youtube.com/watch?v=K46FncfsBzI