1.ライブハウスのガールズロック系シーンに出現した二種類の観客達
ここ3年間位ですが、首都圏のライブハウスで、ガールズバンド(メンバーが全員女性のロックバンド)の公演を観戦すると、次の二種類の観客に必ず会いました。
1-1.欧・米・豪等から(?)の白人系の観客
まず一番目のグループは、ヨーロッパ・アメリカ・オーストラリア等からであろう白人系の外国人の観客です。アジア系の外国人観客の場合、話し声が聞こえるまでなかなか気づけない場合もありますが、白人系は初見の外見でわかります。
3年ほど前、日本の人気ガールズハードロックバンド、BAND-MAIDがインディーズで対バンを繰り広げていた当時のことです。
対バン相手のバンドマン(男性)が、次に述べる趣旨をTwitterでつぶやいたことがありました。
「(地方の)ライブハウスに(まで)、外国人のお客さんを呼び込むBAND-MAIDの力は凄いと思う。」と。
海外の日本のガールズバンドファンは、インターネットで情報収集し、日本ではお茶の間レベルでの知名度はまだない、世間では”無名”のガールズバンドのライブを発見し、飛行機でライブハウスにやってくるのです。
1-2.『BABYMETAL』Tシャツを着た日本人の男性
そして二番目の観客のグループは、『BABYMETAL』のTシャツを着た日本人の男性。
年の頃は、中高年のことがほとんどです。関東でガールズバンドのライブに参戦すると、少なくとも一人か二人、必ず、BABYMETALのTシャツを着た中高年の男性の観客を見かけました。
なぜ、BABYMETALのTシャツを着た中高年男性は、インディーズシーンで活動しているガールズバンドのライブに来るのでしょうか?
1-3.BABYMETALロスとは?
推測するに、BABYMETALは、年間を通してライブ(ツアーやフェス)をしていない『オフ』の時間が結構あるのです。
そして、その期間は、アーティストに関する情報がほとんどなく、飢餓感が高まり、近い系統のロックとして、ガールズバンド(特にHR/HM系)に対して”代替需要”が発生することが背景にあるのではないでしょうか。
BABYMETALのメンバーは、学業もしっかり取り組み、TV・ラジオ等の取材にはほぼ応じず、雑誌・Webメディア等の取材もあまり受けません。
そして、現代のポピュラーのミュージシャンにはほぼ必須となっている、SNSによるファンコミュニケーションは全くしません。SNS利用は公式アカウントによる告知類がほとんど全てです。
ポール・マッカートニーでさえ、Instagramでこまめに情報発信している時代ですが、BABYMETALはSNSによるプライベートな情報発信は一切しません。
そのため、オフの期間はほぼ情報がシャットアウトされてしまいます。
この、一年間のうち、ライブもその他の情報も全くない期間、メイトさんと呼ばれるBABYMETALファンは、べビメタロスという一種の飢餓的な心理状態になってしまうことがあるようです。
1-4.プロなら、一番だろうと他のバンドの代わりだろうと良いライブをするだけ
プロのバンドなら、BABYMETALの代わりであろうと、「一番目にわたしたち(のバンドのこと)を、好きでいてくれなくちゃいや!」等と拗ねるわけもありません。
理由が、『BABYMETALの活動がお休みの期間なので、代わりに観に来ました。』
でも全然かまいません。
どんな理由であれ、自分達のライブを観てくれなくては何も始まりません。
実力で自分達のバンドのファンにしてしまえばいいだけです。
1-5.BABYMETALの海外人気をきっかけに注目された日本のアイドル・バンド達
そんなわけで、ここ数年間、日本のガールズバンド、そしてラウド系/ロック系アイドルグループには、BABYMETALが活動していない期間の特需が発生し、実際にそれを売上・ファンベースの拡大につなげられたところもあったようです。
アイドルグループ系だと、DESURABBITS(デスラビッツ)、LADYBABY、FRUITPOCHETTE(フルーツポシェット)、激情☆めたりっちぇ(現LOVEBITESのmidoriさんと現Velka、元GELのZenちゃんことつばささんがメンバーだったメタル/アイドルトリオ)、 BiS、BiSH、PassCode(パスコード)、NECRONOMIDOL(ネクロノマイドル)等々。
ガールズバンドでは、BRIDEAR、BAND-MAID、LOVEBITES等々の有名どころをはじめ、インディーズのHR/HM・ラウド系のバンドの多くが該当しました。
2.今、タイの新世代アイドルグループが音楽的にエキサイティング&かわいい!
実は、今、タイの新世代アイドルグループの盛り上がりがすごいのです。
正確に言えば、これから、いままさに、勃興しつつあるという段階です。
2-1.2010年代後半、K-POPに一掃されてしまったタイの女性アイドルグループ
タイの芸能界では、2010年代後半、トップクラスの10代は韓国に練習生として渡ってしまい、タイの若者も直接K-POPのガールズグループを支持するようになりました。
その時期に、丁度重なるようにkamikaze等のタイの民族系アイドルレーベルも活動を停止してしまいました。
2-2.AKB48の海外姉妹グループBNK48の人気爆発が再びタイの民族系アイドル魂に火を付けた
2018年に日本のAKB48のノウハウを現地でフランチャイジーしたBNK48の人気が爆発しました。
このことが、タイの芸能・音楽界に衝撃を与え、再びタイ人によるタイ人のためのアイドルを再興しようという大きなうねりが起こっている真っ最中なのです。
アイドルグループとそのファン(ヲタ)と運営(プロデューサー)が一体となって熱気を帯びて、地下(アンダーグラウンド)から上空に向かって駆け上がろうとするような勢い、パワーを感じます。
たぶん、そういう段階が、今は商業的に成功しているBABYMETALにもBiSHにもPassCodeにもBAND-MAIDにもあったはずです。
2-3.タイのPassCode、BiSH?ラウド系アイドルAKIRA-KURØ [明黒]
下に紹介しているのは、そういったタイの新進アイドルグループの一つ、AKIRA-KURØ [明黒]です。
たたずまいからわかるように、日本のラウド系アイドル、PassCodeやBiSHの影響を明白に受けています。
プロデューサーとメンバーのインタビューを読むと、メタルやハードコア等のラウドロックのミュージシャンの名前が次々と出てきます。
2-4.NGT48 問題で日本のアイドルシーンが縮小、収束してもアジアの新進アイドル達が需要を埋められる?
日本では、NGT48の問題がクリアに決着できないと、「会いに行けるアイドル」のモデルそのものの信頼がゆらぎかねない状況が続いています。
万一、日本のアイドル業界自体が縮小、収束してしまうようなことがあっても、タイから新しく出てくるアイドルがどんどん発展すれば、アジア全体としてみれば大丈夫なのではないかと思えるほどです。
2-5.ちょっと遠いけど『会いに行けないこともない』アイドル
距離的には、ちょっと簡単に会いにいける距離ではないかもしれませんが、一日休みを取れば行ける距離でもあります。
憧れの存在としては丁度いい位の距離かもしれません。
<参考資料>
<タイの新世代アイドルグループ(AKIRA-KURØ [明黒]、FEVER)の画像>
◇AKIRA-KURØ [明黒]メンバーのパンチ
◇AKIRA-KURØ [明黒]メンバーのNacchi
◇AKIRA-KURØ [明黒]
photoリンク先 https://headbangkok.com/heavy-talky-akira-kuro-the-1st-interview/
◇FEVERメンバーのCeeとPop
◇FEVERメンバーのFroy
◇FEVER
タイ・バンコクのインディーズロックシーンの先鋭達がバックアップするアイドルグループ
photoリンク先:http://music.trueid.net/detail/VORodVg79oK0
◇FEVERのアートディレクション、グラフィックデザイン、ユニークです。
<メディア記事>
◇AKIRA-KURØ [明黒]インタビュー記事
<本ブログの関連エントリー>
【IDOL EXPO 2019にタイの新世代アイドルグループが結集!】
popmusic.hatenablog.compopmusic.hatenablog.com