2018年の暮れも押し迫ってきました平成最後の年ですが、今年を起点にして、半世紀(50年)以上前、1960年代半ばから後半にかけて、アメリカのヒットチャートをイギリスのロックグループ(ビートグループ)が席巻したムーブメントのことを第一次ブリティッシュ・インヴェイジョンと呼びます。
2018年の現代の視点でいうと、若い頃から実力派だったのではと想像しがちな、ローリング・ストーンズもホリーズも、当時のアメリカのVTRを見ると、アメリカのティーンエイジャーの女性が絶叫するアイドルそのものであったことがわかります。
ローリング・ストーンズの『運営』は、10代の女性受けするルックスにバンドのヴィジュアルを揃え、アイドル性を高めるため、ブサ面だった(私ははそうは思っていませんが・・・)創業メンバーを解雇して、ローディー兼サポートメンバーに格下げしています。
◇1960年代のローリング・ストーンズ。
彼らイギリスのロックバンド勢は、アメリカで稼いだお金を本国(イギリス)に持ち帰ってしまいます。そのためアメリカの芸能界は、イギリス勢に対抗すべくアメリカ産のロックグループ、モンキーズを企画・結成し成功を収めました。1960年代のアメリカの芸能界が、イギリスのロックグループの人気のキモは、『アイドル性』にあると見抜いたのは結果を見れば正しかったわけです。
◇第一次ブリティッシュ・インヴェイジョンについて。
2018年のタイの芸能界を、日系(日本で練り上げられたノウハウの導入により運営される)アイドルグループBNK48が席巻しました。
BNK48は日本のAKB48をフランチャイザーとするフランチャイジーで、AKB48が日本でリリースしている楽曲の現地語カバーをレパートリーとしています。
タイの芸能・音楽レベルはとても高く、2010年代前半頃は、K-POPやJ-POPを吸収したタイ独自の女性アイドルグループが数多く活躍していました。
2016年~2018年にかけては、たまたまタイの民族系女性アイドルグループの『谷間』となっており、その間隙を埋めると同時に、様々なタイアップノウハウなどでさらに市場を拡大したのがBNK48ともいえそうです。
◇BNK48デビュー期はタイの民族系女性アイドルグループの『谷間』だった?。
2018年のBNK48の大人気に対して、当然タイの芸能・音楽界が独自の女性アイドルグループを結成して対抗しようとする動きが起こってきました。
これらの女性アイドルグループが、大人気となったBNK48の対抗馬として企画されたことは、グループの人数が示しています。2010年代前半から半ばにかけて人気を誇ったタイの女性アイドルグループ・ユニットの基本人数は2人~5人、多くとも二桁(10人)を超すことはありませんでした。
2000年代後半からアジア全域で活躍したK-POPの女性アイドルグループ、少女時代のメンバー構成が9人(後に8人)で、この8名ないし9名以下というのが、タイの芸能界においても、女性アイドルグル―プのメンバー人数の天井となっていたようです。
2018年にデビューした女性アイドルグループのいくつかが、BNK48の大成功に刺激されBNK48を意識していることは、メンバーの人数からわかります。
いくつかの女性アイドルグループは、タイで、これまで見られなかった二桁(10人以上)のメンバーにより構成されているのです。
それらの『新世代多人数女性アイドルグループ』のうち、FEVER、SomeiYoshino51
(SY51)の音源(MV)を視聴しました。
結論としては、『音楽性』と『企画の質』は高いです。
例えばFEVERの制作陣には、タイポップ界の先鋭的なスタッフが集結しているように見えます。(表記言語の関係で)制作クレジット情報を読み切れていないのですが、タイポップの人気ユニット、Plastic plasticや「SHIBUYA」(シブヤ)のヒットで知られるエレクトロ・ポップのTELEx TELEXs等に関連する音楽スタッフが揃っているように読めます。
しかし、チャレンジングな音楽性のFEVERにおいても、商業的な『BNK48との競争』においては、すぐにBNK48を脅かすまでにはいたらないのではないかとみています。
その大きな理由は、BNK48の特徴(成功の背景・要因)である、広告業・販売促進業としてのフレームです。
BNK48のライブ露出の中心である週末を中心に商業施設等で行われるフリーライブの2018年の最多回数スポンサーはトヨタで間違いないでしょう。
新産業、新ビジネスに目を向けると、BNK48 Officeの株主であるPLAN B Media社は、2018年、タイサッカー協会、コナミデジタルエンタテインメント社とのコラボレーションにより、e-スポーツに本格的に参入し、新規事業として注力しています。そして、e-スポーツの『広告塔』としてBNK48二期生総出演のプロモーション等を行っています。
◇タイ証券取引所:PLAN B Media
このことは、(PC)ゲーム好きがアピールポイントのBNK48二期生のWee(ウィー)にとっては、注目が集まりやすい人気の『追い風』環境として働いているような気がします。
もちろん、Wee(ウィー)が二期生人気ナンバー1であるのは、本人のキャラクター、アイドル性も大きいはずです。しかし、Wee(ウィー)が、BNK48二期生にならず、ソロ(個人)で、YouTuberとしてゲーム実況等の活動をしていたとしたら、国民的人気アイドルに駆け上がることは現実的には難しかったのではないかと想像します。
BNK48の広告業・イベント・販売促進業等としてのフレームが、Wee(ウィー)の個人のキャラクターうまくフィット、マッチし、新たな人気アイドルが生まれたということかもしれません。
FEVER、SomeiYoshino51(SY51)等のタイの新世代多人数女性アイドルグループは音楽性の面では注目すべき点があります。
ただ、BNK48の成功要因に、『タイの経済成長率と好調な個人消費に支えられた広告業・販売促進業のフレーム』が大きいとみているので、BNK48がすぐに脅かされるまでにはいたらないのではないかというのが現時点での印象です。
しかし、この印象は、あくまで現時点(2018年12月)のものです。(日系)アイドルグループという新しいビジネスモデルを、タイの芸能・音楽界(そして広告業界)は一年間じっくり観察しているはずです。
芸能系のWebメディアはゴシップ系記事が多い印象も受けますが、広告業・販売促進業系のWebメディアは初期から興味深くかつ冷静にBNK48現象を分析していました。
次の段階になるのか、いつ実現するかをはっきりと予想することはできませんが、タイの芸能・音楽・広告業界が、BNK48現象を分析しその成果を反映した総合的なアイドルビジネス、マーケティングに取り組んでくる可能性は高いのではないでしょうか。
◇FEVER
https://www.facebook.com/FEVERTH
タイの新進女性アイドルグループFEVERは、日本の女性アイドルグループ欅坂46(Keyakizaka46)と比較されることが多い(コンセプトの影響が感じられます)ことから、タイの平手友梨奈さん的存在感を期待されているメンバーがいるのかもしれません。そして、MVを視聴し、特にBOSS(ニックネーム)というメンバーの存在感・歌唱力に注目させられました。
◇SomeiYoshino51(SY51)
https://www.facebook.com/someiyoshino51
◇SomeiYoshno51(SY51)について
◇FEVERについて