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BAND-MAIDとクールジャパン戦略

 

(2020年 9月 7日更新)

  

7年半の安倍政権が間もなく幕を閉じ、その間の政策の検証が進められる中、文化領域のクールジャパン戦略についてもスポットが当てられています。 

 

bijutsutecho.com

 

BAND-MAIDが海外進出を図った初期において、決定的な役割を果たしたイベントが、2016年5月イギリス・ロンドンで開催された「MCM LONDON COMICON」でのショーケースライブです。

 

イギリスのヘヴィメタルラウドロック畑のジャーナリスト、カリナ・ローレンスは、日本のロックバンドBAND-MAIDの前評判を聞いて関心を持ち、コスプレイヤーが跳梁跋扈する革ジャンのロッカーにははなはだミスマッチなマンガ、アニメ、ゲームのナードなイベントにわざわざ出向き、ショーケースライブを観戦しました。

 

さすがは本場のロック畑で仕事をしている方だけあって、簡素なテントステージでの正味30分前後のミニライブ観戦で、BAND-MAIDの音楽性の本質と可能性を看破。このバンド(BAND-MAID)はハードロックの音楽性とカリスマ性でヨーロッパを攻略するだろうとのレビューを発表しました。

 

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カリナのレビューに述べられているように、この2016年5月のショーケースライブの成功が、同年秋のイギリス・ヨーロッパツアーに繋がったと考えるのが自然です。

 

MCMコミコンに向けBAND-MAIDのライブ動画、インタビュー動画等を公開し機運を醸成したのが『PROMIC TV』。

「MCM LONDON COMICON」へのBAND-MAIDのブッキング、『PROMIC TV』への出演ともに、一般財団法人音楽産業・文化振興財団(PROMIC)の事業として行われたものです。

 

BAND-MAIDの『中興の祖』ともいうべき当時のマネージャーのたむたむ氏は、ヨーロッパツアー中に「アニメの主題歌を歌ったことがないのにコミックコンベンションのステージに起用されることはすごいこと」とTwitterでつぶやいてました。

 

 

2016年、BAND-MAIDは初のワールドツアーで11月1日、スペイン『Salon del Manga de Barcelona』、同10月30日はイタリア『Lucca Comics & Games 2016』等のコミックコンションのゲストステージを転戦しています。

 

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メイド服のコスプレというコミックコンベンション、クールジャパン戦略に親和性の高い企画が海外進出の目玉として推されるにあたって大きなポイントとなったことは明らかです。小鳩ミクさんが政府のクールジャパン戦略と予算に注目し、メイド服のコスプレを企画したかどうかは知りませんが、戦略は注目に値すべきものでしょう。

 

クールジャパン戦略が韓国の文化戦略を後追いした面があることは事実でしょう。

 

よくK-POPは国の予算で云々と言われますが、たしかにK-POPのグループを見ていると、ラオスであるとか採算的には自動車、通信、家電、アパレル、流通等の販促に連動しない限り(国の予算に支援されていないと)合わないのではないかという国や地域まで出かけて公演しています。

 

ナショナリスティックなプロパガンダ曲で注目されたM.O.N.Tは日本のミュージシャンはまずいかないインド北東部ナガランドをデビュー前から攻めて人気を獲得していましたが、ナガランドは英米のバンドも公演しているエリアであり採算は取れるのでしょうか?

 

初期の露出や認知のためのMV制作や現地プロモーション等にはまとまった投資が必要で、政策的な支援があった方が有利なことは言うまでもありません。

 

しかし、政策の後押しといっても、いわば自転車の補助輪のようなもので、本格的に人気が出て、そして人気を定着させることができるかどうかは、バンド、ミュージシャンの実力・魅力次第のはずです。

 

アメリカ、日本、韓国。たくさんのバンドを見て来てましたが、大がかりな宣伝でデビューしたものの不発に終わったバンド、ミュージシャンは数多くありました。

 

ここ一番の本番(試合)に強いのが実力です。さらに言えば、試合を組める(チャンスを作れる)のも実力なのです。

 

簡素なテントステージの短時間のライブで、本領を発揮しポテンシャルを見せつけることができたBAND-MAIDは実力があったということです。

 


一般財団法人音楽産業・文化振興財団(PROMIC)平成28年度事業報告書より引用

https://www.jmce.or.jp/static-data/pdf/b28.pdf

 

2.音楽産業及び音楽文化に関する調査及び研究、普及及び啓発、研修等の実施(定款第4条第1、2、3号)

(1)日本アーティストの海外活動への支援
イベント出演やコンサートの実施、ライセンス発売等が更に活性化していく事を目指し、海外に向けた日本アーティストの活動に対し、渡航費等経費の一部を補助する等、海外に向けての支援活動を実施致しました。現地の音楽関係者とのマッチング、在外公館や現地の諸団体等と情報交換等を行いながら、10 月に開催された「13thTIMM」との連携を念頭に、年間を通し日本アーティストの支援を行いました。
① 英国 「MCM LONDON COMICON」に出展及びショーケースライブ開催
日 程:2016 年 5 月 27 日(金)~29 日(日)
会 場:英国ロンドン Excel London
出演者:天月-あまつき- BAND-MAID
内 容:イベントとしては、過去最大となる 133,000 人を動員。日本人アーティスト 2 組のライブはハイライトの一つとなり、それぞれ 3 度のライブを行い、およそ 2,500 人のオーディエンスを熱狂させました。また、JPURECORDS のブースにてサイン会も行われ、2 組の CD やマーチャンダイズが即売されましたが、1,000 以上用意したアイテムが完売しました。

 

(2)ビジネスセミナー等の開催
② 「BAND-MAID 世界へ~12ThTIMM からヨーロッパツアー迄の軌跡」
日 程:2016 年 11 月 24 日(木)
会 場:東京体育館 第一会議室
登 壇:(BAND-MAID メンバー)小鳩ミク、彩姫、(㈱プラチナムパスポート田村公平氏 /(PROMIC)道島和伸
内 容:TIMM への参加からほぼ 1 年間でヨーロッパツアーを行うまで展開を拡大してきた BAND-MAID のメンバーとマネージャーに登壇してもらい、海外に於けるメディア展開等も含め、ここまで行ってきた戦略に関して語ってもらいました。

 

(3)インターネット上における海外に向けた日本音楽紹介番組の制作、配信
Youtube 上に、海外向け公式チャンネル「PROMIC TV」を立ち上げ、日本の音楽や流行等を紹介する情報番組「J-POP NEWS」を定期的に配信して参りました。

 

 

◆2016年11月スペイン『Salon del Manga de Barcelona』のライブ動画を掲載しているスペインのTVラジオ局サイト。一聴の価値あり!

 

www.rtve.es

 

◆海外市場に向けてBAND-MAIDをプロモーションする『PROMIC TV』

2016年5月のロンドンMCMコミックコンの直前にはイベントの周知もしています。

 

BAND-MAID®’s special comment and live performance「Thrill」/ BAND-MAIDの貴重なコメントとライヴ映像 

https://www.youtube.com/watch?v=fgP4eNhX67A

 

BAND-MAID®’s special comment and live performance「Beauty and the Beast」「Price of Pride」「Arcadia girl」/ BAND-MAIDの貴重なコメントとライヴ映像  

https://www.youtube.com/watch?v=DD84ZaCNYMg

 

www.madaboutrock.co.uk

 

<カリナ・ローレンスのレビューに2020年7月に寄せられたコメント>

 

Ever thought of a follow up to where Band-Maid are now? Oh my, they have grown.
Annoyingly, some people at work went to this, but not being into comics, I didn't go. I could have discovered them three years earlier than I did.

 

BAND-MAIDが今どうなっているかご存知でしょうか?BAND-MAIDはこんなにロックバンドとして成長しました。(2020年に発表されたライブMV URL)
何人かの同僚がロンドンMCMコミコンに出かけてましたが、私は漫画・アニメに関心がなかったので行きませんでした。もし行っていたら、BAND-MAIDに3年早く出合うことができたでしょう。

   

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