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BAND-MAID「Different」はもしも武満徹がレッド・ツェッペリンに作曲したらみたいなプログレッシブ・ロック?!

  

これまでBAND-MAIDのシングル曲では「start over」 が最高の作品と思っていましたが、「Different」は「start over」を超えてきています。そしてこの2曲はどうも正反対の性格ないしアプローチの気がします。

 

BAND-MAID「Different」、20世紀のクラシック音楽(現代音楽)の作曲家が、エレクトリック編成のコンボ(ロックバンド)に書き下ろした楽曲的な印象がするのです。

 

例えば、武満徹さんがレッド・ツェッペリンに3分半の楽曲を書き下ろしたらこんな楽曲になるかもしれませんね。近い印象を感じる楽曲と言うと、1970年代の日本のプログレッシブ・ロックJ・A・シーザーあたり。

 

よくこれだけの要素を破綻させずに3分半のポップソングに詰め込んだものだというようなプログレッシブな楽曲です。

 

ポピュラー音楽を分類する上で、黒人音楽の系譜か白人音楽の系譜かという大きな観点があります。大抵のミュージシャン、バンドは、黒人音楽系か白人音楽系かのどちらかに分けられますが、まれに双方の性質を併せ持つミュージシャンやバンドが存在します。

 

これもざっくりした言い方ですが、黒人音楽系は、身体で体感するノリ・グルーヴ、リズムが重要。初期のミュージシャンは音符が読めませんでした。奴隷時代のアメリカの黒人は音符はもちろん文字が読めないのが普通です。「ハックルベリィ・フィンの冒険」で、ハックが黒人奴隷に手紙を代読するシーンとかあります。音楽文化の継承は身体で覚えて伝承することになります。

 

白人音楽、特にクラシック音楽と呼ばれるヨーロッパ宮廷音楽の系譜は、作曲家がピアノなどで楽曲を練りながら楽譜を書くことがスタート。つまり脳で設計することが最初です。そしてメロディー(カウンターメロディー含め)が重要です。

 

ロックはもともと黒人音楽で、つまりメロディーがなくても成り立つ音楽です。ブルースの3コードの進行とだけ示し合わせ、コンボがどんちゃんやって、フロントマン(歌)が「ン~♪」とか「アー♪」とか「イェー♪」とか「ギャーッ♪」とかアドリブやフェイクやシャウトを乗せる(歌う)うちに、一丁上がりで楽曲ができちゃたりします。

 

今でも、ローリング・ストーンズがバンドメンバー全員でスタジオに入ってセッションしながら曲を作るプロセスには、こういう光景をイメージします。ミック・ジャガーキース・リチャーズがパソコンのDTM(デスク・トップ・ミュージック)で一人黙々と作曲しているのはあまりイメージに合わないですね。今はやっているのかもしれませんが。

 

1960年代以降、次第に学歴の高い白人がロックを演奏し、作曲するようになって、どんちゃん、んー♪、あー♪、イぇー♪、ギャー♪なロックも大分性格が変わっていきます。ロックバンドの「上がり」がクラシックオーケストラとの共演になってくるのもその一つです。皆さんの好きなハードロックバンドも大抵クラシックオーケストラと共演しているキャリアがあるのではないでしょうか。

 

黒人音楽系のバンドで、クラシックオーケストラと共演する例はほとんどありません。黒人音楽系の場合、オーケストラとの共演は、カウント・ベイシーデューク・エリントン等のスタイルのジャズ・ビッグ・バンドとの共演になるのです。

 

で、ビートルズなんですが、初期は、ラリー・ウィリアムズやアイズレー・ブラザーズなど、原曲を超えるすさまじい黒人音楽のカバーのパフォーマンスが大きな特徴でした。ジョン・レノンのすさまじさはもちろんですが、ポール・マッカートニーボーカルのリトル・リチャードのカバーも私はオリジナルを超えていると思います。

 

ビートルズは、史上最強の白人による黒人音楽バンドなのです。

 

しかし、ビートルズ(特にポール・マッカートニー)は、クラシックの素養のあるジョージ・マーティンと組み、「イエスタデイ」「エリナー・リグビー」等で弦楽四重奏団や八重奏団と共演するなど、ヨーロッパ宮廷音楽(クラシック音楽)という白人音楽の要素を大胆に取り入れていきます。どちらかというと、その路線で高い人気を獲得しました。

 

小学校や音楽教室で一般的に人気が高いビートルズナンバーとは、主にポール・マッカートニー(&ジョージ・マーティン)が主導した白人音楽、白人ポップス路線の楽曲がメインなのです。

 

まれに、黒人音楽にも白人音楽にも強いバンドが存在します。そのタイプのバンドの場合、バンドのどの側面を見るかで、評価(特に好み)が180度変わることがあります。

 

BAND-MAIDは、実はこのタイプの黒人音楽系にも白人音楽系にも強いタイプのバンドなのです。

 

そして、「Different」は、クラシック音楽の流れをくむ作曲・編曲手法により作曲されているように聞こえます。

 

ということは、「Different」は、白人のヘヴィメタル、ロックのファンには評判が良いはず。実際にYouTubeのMVの評判はかなり良いようです。

 

ヘヴィメタルは100%白人に特化した音楽です。そのためヨーロッパ宮廷音楽(クラシック音楽)と相性がよく、ミックスされることがよくあります。

 

フランク・ザッパロバート・フリップ等の白人音楽家による前衛・実験ロックを好むファンにはBAND-MAID「Different」、かなり愉しめる楽曲ではないでしょうか。

 

確実に言えることは、BAND-MAID「Different」、技術が半端なバンドがカバーしたら、大惨事、意図しない実験音楽・前衛音楽になってしまい、とても聞けたものではない音楽になるでしょう。それほどまでに究極まで構築された楽曲です。

 

 

◆【Cover】ロカビリーバンド、ビスキャッツが「古い日記/和田アキ子」をやってみた!

和田アキ子さんの和製リズム&ブルースの名曲をロカビリーアレンジ。BAND-MAID「Different」はMISAのロカビリーなベースがスリリング。

https://www.youtube.com/watch?v=6E2z8lo9Urs

 

◆【Cover】NEMOPHILA(ネモフィラ)NiziU/Make you happy 演奏してみた♪

このアレンジ(特にコーラス)はビートルズ(その元は黒人女性ボーカルグループ)風ですね。J.Y.Park(パク・ジニョン)は東洋のJB(ジェームス・ブラウン)、ブラック・ミュージックの人です。

https://www.youtube.com/watch?v=pbl1KEPgWvk

 

BAND-MAID / Different (Official Music Video)

最初に連想したのはリムスキー=コルサコフの「熊蜂の飛行」や、チープ・トリックもカバーしているラヴ・スカルプチャー(デイヴ・エドモンズ)の「剣の舞」(ハチャトゥリアン)。この手のクラシックの難曲のピアニストの左手のフレーズを廣瀬茜さんが叩くツービートのドラムに置き換えた感じ。キング・クリムゾンの曲と言われても違和感ないような2020年のプログレッシブ・ハードロック。これを破綻させることなく3分半のポップスに構築する編曲力・演奏力は相当なものでしょう。

https://www.youtube.com/watch?v=edlLhh8qVxM

 

The Pop Group - Feed The Hungry (Live at Alexandra Palace 1980)

前衛実験ロックの金字塔、ザ・ポップ・グループ。本人達は実はP-FUNKを演りたかったが、(P-FUNKフォロワーのレッチリのような)技能が伴わなかったため前衛音楽になってしまいそれがウケたという説がまことしやかに伝説になっている。

https://www.youtube.com/watch?v=KNp6B39f9KA

 

King Crimsonキング・クリムゾン)- Thela Hun Ginjeet

https://www.youtube.com/watch?v=9Uje-HmeT6I

 

◆The Crimson ProjeKCt - Thela Hun Ginjeet

バンメ(BAND-MAID)のハードロックというのは超絶技巧のプログレを3分半のポップスにまとめるところがすごいのかもしれませんね。

https://www.youtube.com/watch?v=AMVir9oZOHk

 

 

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