2019年の参議院議員選挙の結果、2議席を得た山本太郎代表のれいわ新選組と1議席を得た立花孝志代表のNHKから国民を守る党の2つの政党とその活動が注目を集めています。
れいわ新選組の舩後靖彦参院議員と木村英子参院議員議員は、現行の制度では介助サービスが利用できず、このままででは登院できないと問題を提起しています。
このことに、現代の福祉国家と人権の直接的なルーツであるアメリカの公民権運動、そしてその影響を受けた日本の障害者運動の歴史を連想される方も多いのではないでしょうか。
公民権運動とは1950年代から1960年代にかけて起こったアメリカの黒人の人種差別解消運動です。
奴隷解放後の20世紀になっても、白人による黒人に対する差別は根強く、「道を歩いていたら黒人が自分の奥さんと目があった」等の些細な理由(気に食わない)で黒人をリンチして殺害し、丸焼きにした死体を囲んでみんなで記念写真を撮るということがまかりとおっていました。
そして白人による黒人に対するリンチが司法の場で裁かれることは極めて少なかったのです。
モンゴメリー・バス・ボイコット事件とは、1955年、バスの座席を巡り、ローザ・パークスが人種分離法違反で逮捕・投獄されたことに対して、マーティン・ルーサー・キング牧師らが1年間におよぶバス・ボイコットによる抗議活動を呼びかけ、バス内での人種分離は違憲であるという判決を勝ち取った事件です。
モンゴメリー・バス・ボイコット事件をキッカケにアメリカで広範な黒人による人種差別解消運動が起こりました。
障害者運動等、多くの社会運動はアメリカの公民権運動の影響を受けています。
日本の障害者団体『全国青い芝の会』は、1977年、路線バスでの車椅子障害者乗車拒否が相次いだことに対して 、『(川崎)バス闘争』と呼ばれる先鋭的な抗議活動を展開しました。
1977年当時、先鋭的な障害者の抗議活動に対して、健常者社会は強い批判を投げかけました。しかし、これらの活動が一石を投じる形で、今日のバリアフリー化の推進につながったことは事実です。
2019年、日本の公共放送NHK(日本放送協会)は、立花孝志代表の『NHKから国民を守る党』の活躍により注目されてます。
1979年に、NHK(日本放送協会)が、1977年の青い芝の会の『(川崎)バス闘争』等の障害者運動をモチーフに(あるいは影響を受けて)制作した傑作テレビドラマが、山田太一さん脚本『男たちの旅路』第三話「車輪の一歩」です。
以下は、バニラ・エア車椅子搭乗拒否騒動(2017年)および、相模原障害者施設殺傷事件(2016年)をきっかけに執筆された『男たちの旅路』第三話「車輪の一歩」に関するエッセイです。
「『人に迷惑をかけるな』という社会が一番疑わないルールが君たちを縛っている。君たちは、普通の人が守っているルールは、自分たちも守るというかもしれない。しかし、私はそうじゃないと思う。君たちが、街へ出て、電車に乗ったり、階段を上がったり、映画館へ入ったり、そんなことを自由に出来ないルールはおかしいんだ。いちいち後ろめたい気持ちになったりするのはおかしい。私はむしろ堂々と、胸を張って、迷惑をかける決心をすべきだと思った」(鶴田浩二さん演じる吉岡司令補の科白)
以下は、川崎バス闘争と『男たちの旅路』「車輪の一歩」を関連づけるエッセイです。
撮影中、本物のヤクザに絡まれ、「(風俗店は、)おめぇみたいな障害者が来るところじゃねぇ」と車椅子を蹴られました。「君たちが街へ出て、電車に乗ったり、映画館へ入ったり、自由にできないルールがおかしい。人に迷惑をかけることを恐れるな」。故・鶴田浩二さん演じるガードマンが私にかけた言葉が忘れられません。
テレビドラマ『男たちの旅路』は、"劇伴(サウンドトラック)の鬼"として数多くの映画、テレビドラマ、CMソングを手掛ける音楽制作集団、GODIEGO(ゴダイゴ)が音楽を手掛けています。
「車輪の一歩」のクライマックスでリフレインするGODIEGO(ゴダイゴ)の名曲中の名曲「THE SUN IS SETTING ON THE WEST」は、車椅子の障害者を演じる斉藤とも子さんらの熱演とともに日本のテレビドラマの傑作を作りあげました。
(他人には聞こえないような小さな声で)
『だれか・・・・・・だれか・・・わたしを(階段の)上まであげてください。』
(少し大きな声で)
『だっだれかっ、わたしを上まであげてください。』
(大きな声で)
『どなたかっ、わたしを上まであげてください。』
(もっと大きな声で)
『どなたかっ、わたしを上まであげてくさいっ!。』
声を聞きつけ、歩み寄り、車椅子を押し上げるサラリーマン風と学生風の男性。
遠くから見守る母親役の赤城春恵さんと吉岡司令補役の鶴田浩二さん、車椅子の障害者仲間を演じる俳優達(京本政樹さん古尾谷雅人さんら)。
斉藤とも子さん演じる女性が通りすがりの健常者の介助で階段を超えたに続き、見守っていた車椅子の友人たちが階段の前に進んでいくと、後から通りすがった健常者たちが、次々と彼らを介助し階段を上がっていきます。
山田太一さんが描いた『声をあげること』 = 一人ひとりが勇気を出して実際に声を出して要求することでもあり、また障害者運動を表していると解釈することも可能でしょう。
「(男たちの旅路・車輪の一歩は、)数少ない世の中を変えたドラマの一つ」(YouTubeのコメントより)
当時の公共放送としてのNHKは、障害者の社会進出に向け社会を変える意思でドラマを作り、実際にコンテンツ(テレビドラマ)の影響力で社会を前進させました。
時代は下って、NHKは、2019年、年収200万円に満たない片親世帯であっても仕事に必須な連絡手段であるスマホ所持に対しての受信料(現行は年間約1万5千円)を取ることを決めました。
N国(NHKから国民を守る党)の立花孝志代表とNHK(日本放送協会)のどちらが社会を変えられるかというバトルになっていくのかもしれませんね。
与党・公明党は、福祉の向上を旗印にする党であり、真摯に対応されるでしょう。
【人権の母が選んだ「一枚の写真」とは・・・】
アラバマ州生まれのローザ・パークス氏は、米国の人種差別政策と戦った「人権の母」として名を残した。1955年のバス・ボイコット運動は、彼女の勇気ある行動がきっかけとなり、公民権運動へとつながっていく。
青少年の育成に力を注いでいたパークス女史は1993年、池田先生と出会い、実り多い会話を交わした。
◆映画『ミスター・ダイナマイト ファンクの帝王ジェームス・ブラウン』予告編
OutKast - Rosa Parks (Official Video) - YouTube
Rosa Parks - Civil Rights Activist | Mini Bio | BIO - YouTube
ローザ・パークスが果たした役割の重要性を今の若者に伝えるためのプロジェクトに協力することで合意したと伝えている。既にアウトキャストとソニーBMGミュージック・エンターテインメントによってローザ・パークスの生涯と業績をまとめた教育番組が作られ、全国の学校へのDVD配布が決定しており、更にアウトキャストはローザ・パークスのトリビュート・アルバムへ参加することにもなっているという。
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