本日(2018.12.11)、海外のBNK48(タイの国民的アイドルグループ)ファンの間では、6th シングル選抜総選挙の投票開始と海外の7つのAKB48姉妹グループ(AKB48、JKT48、BNK48、MNL48、AKB48 Team SH、AKB48 Team TP、SGO48)が初集結する『AKB48グループ アジア フェスティバル2019 イン バンコク』(2019.1.27於インパクトアリーナ ムアントンタニ、尚前日にはBNK48 6thシングル選抜総選挙が同会場で開催されます。)の話題で持ち切りのようです。
タイの国民的アイドルグループBNK48の卒メン、Jan Chan(「恋するフォーチュンクッキー」選抜メンバー)の話題です。
山下達郎さんのアルバム『RIDE ON TIME』(1980)一曲目の「いつか(Someday)」を聴いた時、曲を特徴づける決定的なイントロのベースによるリフに、アメリカのソウル、R&Bの3姉妹グループ、The Jones Girlsの「You Gonna Make Me Love Somebody Else」(1979)を連想しました。
山下達郎さんの曲は、結構海外のDJやヒップホップミュージシャンにサンプリングされるのですが、「You Gonna Make Me Love Somebody Else」は、アメリカの1970年代のフィリ―ソウルを代表するソングライティング、プロデューサーチームであるギャンブル&ハフ(Leon Huff, Kenneth Gamble)が手掛ける曲なので、日本側からの参照(引用、オマージュ)の可能性もあります。
(BNK48の人気を決定付けた起死回生の大ヒット曲「恋するフォーチュンクッキー」とは、日本製のフィリ―ソウルサウンドです。)
参照というより、ソウル、ファンクによく用いられるベースラインなのでしょう。ベースはたぶん伊藤広規さん、ドラムは青山純さんのはず。
伊藤広規さんと青山純さんのリズムセクションは、日本のファンク史上最強のリズム隊ではないでしょうか。山下達郎さんの粘りと切レがバランスしたカッティングがリズム楽器として納豆がご飯にからむようにベース&ドラムと一体化し、難波弘之さんのU.K.(エディ・ジョブソンが在籍したイギリスのプログレッシブロックバンド)流のプログレシッブロックなシンセサイザーが載ると、これぞ最強のプログレッシブファンクミュージックという感じです。
2013年に亡くなられたドラマーの青山純さんは、BABYMETALのバックバンドである神バンド等での活躍で知られるドラマーの青山英樹さんのお父様です。2014年7月5日、青山英樹さんが、BABYMETAL+神バンドとして、イギリスのソニスフィアUKフェスティバルで数万人の観客を前に演奏した次の晩、「父親(青山純さん)が枕元に立った」という逸話があります。
今日はOFF日で、1人でホテルで次の現場の仕込みや、のんびりしていましたがふと寝落ちした所に夢で亡くなった父が出て来て何故だか…めっちゃ笑ってた。σ(^_^;)
— 青山英樹 (@aoyama_hideki) July 6, 2014
昨日のステージにでも見に来て楽しんでくれたのだろうか…。
神の格好が面白かったのだろうか…。
σ(^_^;)
1度、父の叩くBABYMETALを見てみたかったな…ww
— 青山英樹 (@aoyama_hideki) July 6, 2014
私は、ライフワークとして「マイケル・マクドナルドとドゥービー・ブラザーズが日本の歌謡曲に与えた影響」を研究しているわけではありません。一介の音楽ファンが、本職ミュージシャンのマイケル・マクドナルド研究家でいらっしゃるSing Like Talking(シングライクトーキング)の佐藤竹善さんにかなうわけもありません。
先週、たまたまラジオで聴いた松山千春さんの「On The Radio」、松田聖子さんの「 P・R・E・S・E・N・T」、私には両曲の編曲とも、(アレンジャーが)マイケル・マクドナルドの楽曲に影響を受けているように聞こえました。自分には邦楽の大半がマイケルマクドナルド歌謡に聴こえるのかもしれません。
マイケル・マクドナルド(ドゥービー・ブラザーズ)が1980年代の日本の歌謡曲、ニューミュージックの30%以上を作った(影響を与えた。)というのは高く見積もり過ぎと言われそうです。
ただ、マイケル・マクドナルド(ドゥービー・ブラザーズ)、TOTO(スティーブ・ルカサー、ジェフ・ボーカロ、デヴィッド・ペイチ・・・)、ボズ・スキャッグス(アルバム『シルク・ディグリーズ』のバックを務めたメンバーがTOTOを結成しました。)、エアプレイ(デヴィッド・フォスター、ジェイ・グレイドン)ここら辺のAOR人脈でとらえると、1980年代の歌謡曲、ニューミュージックの50~60%に影響を与えたといっても言い過ぎではないような気もします。
山下達郎さん、松山千春さん、松田聖子さんと大御所の名前を出しましたが、1980年代の日本の歌謡曲、ニューミュージック、シティポップは、アメリカのソウル、R&B、ファンク、AOR、ブルーアイドソウル等を消化して、日本人向けにほどよく味付けして出してきています。
当時から、これらの日本の歌謡曲、ニューミュージックは、香港、台湾等アジアで人気を得ていました。
やはり、アジアで高い人気を持っていた安全地帯の「ワインレッドの心」ですが、もともと安全地帯の玉置浩二さんは、トム・ジョンストン時代のドゥービー・ブラザーズの熱烈なファンでした。なので、「ワインレッドの心」は、マイケル・マクドナルドがドゥービー・ブラザーズを乗っ取り、日本歌謡界がそれを受けて大橋純子さんの「たそがれマイラブ」を大ヒットさせ、『マイケルマクドナルド歌謡』時代がスタートしたことを踏まえた楽曲だと解釈しています。
そして、アジア(特に東南アジアで、中華圏の楽曲はまだ確認していません。)で、ここ数年、明らかに、1980年代ジャパニーズシティポップ風ポップスが流行っています。一つの売れ筋の楽曲パターン、あるいはジャンル・カテゴリといってもいいほどです。
これが、マイケル・マクドナルド(ドゥービー・ブラザーズ)、ボズ・スキャッグス、ボビー・コールドウェル、 デヴィッド・パック(アンブロージア)、TOTOらのAORの原液そのものではなく、あくまで1980年代の日本のミュージシャンが洋楽を消化してアウトプットした1980年代のジャパニーズシティポップがベースなのです。
というわけで、元BNK48の人気メンバーで、ソロ歌手・モデルとして活躍しているJan Chanです。
タイのラジオ局Cat Radioの名を冠した野外音楽祭、CAT EXPO 5(2018)で現役BNK48と卒メンのJan Chan、Can Nakiyaがそろい踏みしました(共演はしていません)。昨年のCAT EXPO 4(2017)では、丁度BNK48の全国ブレイクスタート時点、ポストハードコアバンドNobunaと一緒に写メを撮っていたのがはるか昔のようです。
大胆にスタートアップ(立ち上げ)時点のアイドルグループのリーダーシップやマネジメント、心の葛藤に切り込み、話題を呼んだBNK48のドキュメンタリー映画『Girls Don't Cry』には、CAT EXPO4(2017)のバックステージのシーンが使われていたような気もしますが、そのシーンがCAT EXPO4(2017)の映像かどうか確信は持てません。
Jan Chan、立て続けにMVを発表し、攻勢をかけています。
MVのイントロを聴いていただければ、1980年代の日本のシティポップ、ニューミュージック、アイドル歌謡、AORを聴いたことのある方はピンとくるのではないでしょうか。このような日本のポピュラー音楽を、海外のFuture funk/Vaporwave(共に大胆なサンプリング・引用を用いるクラブシーンの音楽、オールドスクールな日本の70年代、80年代の楽曲もよく使われます。)等の視点からはジャパニーズ・ファンクと呼んでいる感じです。
マクラ(導入部)が山下達郎さんなのはそのためでした。
私は、Jan Chan X NoSoundInSpaceの「Pls Come Back (กลับมา)」のイントロに乗って、杏里さんや川島なお美さんや菊池桃子さんのボーカルが聴こえてきても全く違和感ありません。
角松敏生さんのアレンジを連想される方もいらっしゃるかもしれません。コーラスアレンジやフルートとサックスのからみなど、典型的な1980年代の日本のシティポップです。
欲を言えば、アウトロで各ソロ楽器がからみながら印象を残しつつフェードアウト(音量絞り)で終わっていくと、よりそれ風(80’ジャパニーズシティポップ風)かもしれません。松原みきさんの「真夜中のドア~Stay With Me」のフェードアウトのように・・・。
Jan Chan X NoSoundInSpace名義の楽曲「Pls Come Back (กลับมา)」が、確信犯で日本のシティポップの再現にチャレンジしているとわかる箇所は、楽曲の1:35から間奏に乗せて1:45まで、男声による『日本語のセリフ』が載るところです。
1980年代の日本のシティポップを知らない子どもや10代の世代にも、『この楽曲のスタイルは、日本の1980年代シティポップのオマージュなんだよ。』と丁寧にもヒントを与えてくれる楽曲の構成になっています。
◇Jan Chan X NoSoundInSpace「Pls Come Back (กลับมา)」
◇2017年のCAT EXPO 4、遥か昔のような感覚ですが、この時から一年と三カ月ほどしかたっていません。
พวกเราเป็นวงร็อค ไม่ค่อยชอบอะไรที่น่ารักๆซักเท่าไหร่หรอกครับ อิอิ #Bnk48 #Nobuna #catradio #Catexpo4 @bnk48official pic.twitter.com/RGg3onBA8A
— Nobuna Band (@nobunaofficial) August 29, 2017
前列はBNK48メンバー。左からPun、Jan(現Jan Chan)、オーン、Can(現Can Nakiya)、ターワン、ミオリ(大久保美織)、ミュージック、チャープラン、ゲーウ、ジェニス、ヌイ
後列、Nobunaのメンバー。ごめん、名前知らない。
◇Jan Chan 近影 オムライス美味しそう。
◇BNK48のセカンドシングル「恋するフォーチュンクッキー」MV。
◇TV局のスタジオで「恋するフォーチュンクッキー」をパフォーマンスするJan Chan在籍時のBNK48。
◇タイにはブラックミュージックのルーツを持つ良質のシティポップバンドが存在します。
◇本場(アメリカ)のソウル、AORだと、彼のような音楽の方が近い感がします。