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【紅白出場に明暗】TWICEとBTS(防弾少年団)への批判と謝罪を振り返る【国際芸能活動とナショナリズム】

 

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2018年11月14日の夕方、ラジオを聞いていると、NHK紅白歌合戦にTWICEが2年連続で出場のニュースが流れていました。一方で今年(2018年)アルバムが2作連続全米総合一位を記録するなどの世界的な人気をもとに出場が期待されていたBTS防弾少年団)は、初出場ならずの結果となりました。

 

BTSは、原爆がプリントされたTシャツの着用、ステージでのナチスを連想させるコスチュームの着用等により批判を受けていましたが、所属事務所Big Hitエンターテインメント(『BTSの父』ことパン・シヒョクプロデューサーが設立した事務所)が事実関係の説明と姿勢を表明しお詫びする内容の謝罪文を13日夜に発表し、ユダヤ系人権団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター(SWC)、被爆者団体・日本原水爆被害者団体協議会(被団協)は、いずれも謝罪を受け入れた(13日日中にBig Hit側が被団協を謝罪に訪れています)ことから、日本国内からの批判は沈静化に向かうとの見方が多くなっています。

 

(Tシャツを着用したジミンは13日の東京ドーム公演のアンコール後のMCで具体的な内容までは深く踏み込まずに観客に向けて謝罪しています。)

 

 

ここで思いだされるのは、K-POPの人気女性アイドルグループTWICEが、2015年年末から2016年にかけて中国・台湾間の真っ向から相反する見解に巻き込まれ激しいバッシングをあびた事件です。( TWICEツウィ謝罪事件)

 

BTSの父』ことパン・シヒョクプロデューサーは、TWICE、GOT7らが所属する韓国3大芸能事務所の一つJYPエンターテインメント(歌手名J.Y.パークことパク・ジニョンプロデューサーが設立した事務所)の出身です。

 

JYPエンターテインメントのパク・ジニョンプロデューサーとBig Hitエンターテインメントのパン・シヒョクプロデューサーはいわば師弟関係にあり、現在も仕事上においても円滑な関係にあると言われています。

 

もちろん、BTSのTシャツ・ナチスを連想させる衣装問題とTWICEツウィ謝罪事件は、前者が戦争被害に関わること、後者が国の主権(独立)に関することであるという点で構造や本質は全く異なります。

 

一方、問題であると批判する側の国と本国(韓国)等複数の国のそれぞれのナショナリズム世論に対処すること、所属する芸能人を一部の行き過ぎたバッシングから護ること等では共通するポイントもあります。

 

従って、所属する芸能人の発言や衣装等を原因とした国をまたぐ批判が激化し、複数国間のナショナリズムが対立しかねないような問題に対する危機管理の面で、関係者が、以前の『TWICEツウィ謝罪事件』等での教訓を参照することは自然なように見えます。

 

TWICEツウィ謝罪事件とは、2015年11月、TWICEの外国出身メンバーである日本出身のミナ、モモ、サナと台湾出身のツウィがテレビ番組の演出で出身国の国旗を持った際、ツウィが番組スタッフの用意した中華民国国旗を持ったことから、『一つの中国』を大原則とする中国側が強く反発し、中国・台湾の政治的な対立問題にTWICEの所属事務所JYPエンターテインメントとTWICEのメンバーのツウィが巻き込まれた事件です。

 

中国側(芸能界)は、JYPエンターテインメントに所属する芸能人の中国国内での活動を制限するまでにいたり、JYPエンターテインメントは、ツウィ本人の謝罪を動画で発表しました。しかし、その内容が明らかに『大人』が政治的に中国に配慮して言わせた内容とも読めるため、今度は、台湾側からの中国への大きな反発と、事務所は16歳のタレントを護らず政治的な圧力にさらしたとして事務所の所属タレントに対する『人権侵害』、『未成年者虐待』である等の激烈な批判が起こりました。

 

業界の『大人』がタレントに演出上させたことで、国際的な問題を引き起こしたのにもかかわらず、事務所が(海外市場での)ビジネス優先でタレントを護らず、外国からの批判の矢面に立たせ謝罪させるのは何事かと強いナショナリズムによる批判を巻き起こすことになったのです。

 

前述のように、TWICEの件とBTSの件は構造も当事国も異なります。

 

Big Hit側には、BTSのメンバー(ジミン)を、13日東京ドーム公演で謝罪した以上に全面に出し謝罪させることは、本国(韓国)の強硬な意見を主張するナショナリズム世論を一層エスカレーションさせるリスクがあると懸念した可能性もあるのではないかと推測します。

 

Big Hitには、2018年9月には、BTSの日本市場に向けた秋元康プロデューサーとのタイアップ作品「Bird」を、正式発売発表後に韓国のBTSファン(ARMY・アーミー)の強硬な反対によって急遽中止に追い込まれた経緯があります。

 

既に、韓国の世論の一部に、BTS側が(日本に対して)謝罪したことは屈辱的であり、BTSは韓国政府から受けた文化勲章を返上せよという意見さえ起こっているようです。

 

Big Hit代表のパン・シヒョクプロデューサーの力量・手腕に本国の世論の沈静化や今後の日本活動とのバランスがかかっているように見えます。

 

 

同じことがらでも、複数の当事国があれば違った認識がされて全く違う見方がされていることは少なくありません。歴史、戦争等の当事国が対立していた問題については、当事国によって、正反対の見方や教育がされていることは多いものです。

 

以下は、BTS(Big Hitエンターテインメント)の謝罪に関する報道から、謝罪を受け入れた被爆者団体・日本原水爆被害者団体協議会(被団協)のコメント部分の一部を引用したものです。

https://www.buzzfeed.com/jp/yoshihirokando/bts <引用元>

-----------------------------------------(引用開始)

被団協の木戸季市事務局長は「私たちの目標は、人類は核兵器と共存できないという理解を広げ、世界から核兵器を廃絶することだ。この願いに反する各国指導者の言動や核実験などには、抗議活動を続けてきた」と語る。

 

そのうえで「こうした表現を巡る問題では、対決や分断を煽るのではなく、対話を通じてお互いの理解を深める方が望ましい。核兵器とはどういうものなのか、何が問題なのかといった点を巡り、話し合いをしていきたい。BTS側にもそう説明し、一致した」という。

-----------------------------------------(引用終わり)

文中にある

『対決や分断を煽るのではなく、対話を通してお互いの理解を深める』

核兵器とはどういうものなのか、何が問題なのかといった点を巡り、話し合いをしていきたい。』

ということこそまさしく正論であり、より多くの(国をまたいだ)対立する意見、見解、認識を持つ人の間で同様の対話と話し合いが行われることが望ましいのでしょう。

もちろん、「きれいごとを言うな」、「やられたらやりかえせ」というような意見が飛んできそうですが。

対立においては硬軟両方の構えを取り、常に落としどころを探る努力が必要です。

国対国の究極の対立が戦争ですが、戦争とは外交の延長であり、国対国の「決着点・落としどころ」を想定しつつ踏み込まれるものです。

 

 

前回のBTSに関するエントリで、JYPのパク・ジニョンプロデューサーはアメリカ生活経験、度重なるアメリカ進出へのビジネス挑戦から、アメリカからアジアを視る俯瞰的な視点を持っているのではないか?と書きました。

 

BTS原爆Tシャツ・ナチス風衣装問題に関して、当事国のナショナリズムを離れ客観的に見ることができるのは、アジアを俯瞰してみることができる英(欧)米からの視点からのなのかもしれません。

 

その観点からすると、BTSに関する今回の騒動でコメントを求めるのにふさわしいのは、楽曲プロデュース、客演等でBTSの全米ブレイクに寄与したと受け止められ、韓国でも知名度の高いアメリカ人EDMプロデューサー、スティーヴ・アオキ(両親は日本出身)のような気もします。

 

音楽に関することではないのでコメントはしないでしょうけど。 

 

 

◇スティーヴ・アオキ(Steve Aoki):「ウエイスト・イット・オン・ミー・フィーチャリング BTS」(Waste It On Me feat. BTS)  

www.youtube.com

◇TWICE :「YES or YES」 

www.youtube.com

 

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