【回答】
昨年の年末、2018年12月11日から12日にかけて、日本の主要マスコミ(共同、時事、朝日、毎日、産経、NHK等々)が一斉に以下の内容を報道しています。
各メディアの記事の内容(文章)がほとんど同じなので、『取材によれば』と書きつつ、各社が同じ情報を提供されたと推測できます。
報道の内容は、改正出入国管理法の成立で導入される新在留資格「特定技能1号」に関連して、ベトナム、中国、フィリピン、インドネシア、タイ、ミャンマー、カンボジアの7カ国で日本語試験を実施することが固まり、もう1カ国と調整中というものです。
日本は、外国と比べ、外国人労働者・生活者の受入に大きなハンディキャップ、ハードルがあります。
それは、習得が難しく、日本以外では使われないためつぶしもきかない日本語の習得です。
例えば、高齢化が進み人手不足の欧米先進各国では、英語が話せ、医療看護の資格、知識、スキルを持つようなアジアの若い労働者は引っ張りだこであり、日本は獲得競争に競り負けるだろうという危惧、警鐘は以前からありました。
日本への出稼ぎ労働は、英語が通じる英米各国への出稼ぎ労働と比べハンディキャップが大きいのです。
文化・ポップカルチャーの面で魅力を発信し、自国に魅力や親近感を感じてもらうことはどの国にとっても重要なことです。
2018年大晦日のNHK紅白歌合戦、AKB48とBNK48のコラボレーションによる「恋するフォーチュンクッキー」のパフォーマンスに、Twitter上では、「入管法改正を踏まえた海外・アジアシフトというのはうがった見方かな?あるいは深読みしすぎ?」という趣旨のものがいくつかありました。
基本、うがった見方でも深読みしすぎでもなく、そのものだと思っています。
政策に寄り添って、芸能・音楽活動(エンターテインメント)を展開するとは、そういうことでしょう。
もちろん、アイドルグループの進出は、『政策の実現』を大上段に振りかざすような性質のものではありません。
現地に日本発のエンターテインメントに対する潜在的なニーズがあり、日系アイドルグループの現地生産(ローカライズ)という事業に勝算があって、雇用も利益もエンターテインメントの開発ももたらし、ジョイントする両国の事業者にメリットがあると判断することが大前提です。
上に引用した、新在留資格「特定技能1号」関連の新日本語能力試験を実施する7か国、ベトナム、中国、フィリピン、インドネシア、タイ、ミャンマー、カンボジアのうち、ミャンマーとカンボジアを除く5か国には、2019年2月現在、日本の女性アイドルグループAKB48の海外姉妹グループが立ち上がっています。
新日本語試験が実施されるもののAKB48の姉妹グループがまだ設立されていない残りの2か国については、タイのBNK48が3期生の募集範囲をカンボジアとミャンマー(+ラオス)にまで広げると報道されています。
2019年1月27日(日)には、タイ・バンコク、インパクトアリーナで、AKB48(日本)
JKT48(インドネシア)、BNK48(タイ)、 MNL48(フィリピン)、 AKB48 Team SH(中国)、AKB48 Team TP(台湾)、 SGO48(ベトナム)の7グループが参加する『AKB48グループ アジア フェスティバル 2019』が初めて開催されるなど、海外のAKB48姉妹グループの活動が活発化しています。
このことについては、特に批判的な見方はしていません。
ロックやポップスが全てウディ・ガスリーやボブ・ディランやジョン・レノンやジム・モリソンやカート・コバーンや尾崎豊のように政府や大人や権力や権威に批判的で抵抗しなければならないというものでもありません。
政策や外交に寄り添い、時には先兵として市場や人脈を開拓したり、好感度を上げて両国関係の向上に貢献しようとするエンターテインメントがあっても良いのではないでしょうか。
なんといっても、現地の(特に地方に行くと)こども達が大喜びしていますし。