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「BURRN!」 兀突骨(Gotsu-Totsu-Kotsu)インタビュー感想 - GEL 「pump it up!」

年末にメタリカが表紙の「BURRN!」の新年号を購入しました。

目的は、日本のデス・スラッシュ・メタル・バンド、兀突骨(Gotsu-Totsu- Kotsu) のインタビュー(モノクロ、見開き2頁分)を読むためです。2頁なので、さっと立ち読みで済ませようかと思ったのですが、家に帰ってから、ジックリ読みたいと考えが変わり、数日経ってから、再び書店に行って購入しました。

歴史小説大河ドラマ+デス・スラッシュ・メタル」のハイブリッドという兀突骨(Gotsu-Totsu-Kotsu) のユニークな音楽表現は、どういう思想的背景からが出て来ているのか興味を持ったのです。

ディスクユニオンのフリーペーパー「FOLLOW UP」(2016年12月号、VOL.162)は、表紙が兀突骨(Gotsu-Totsu-Kotsu) で、見開き2頁のインタビュー記事が掲載されていますので、「BURRN!」と「FOLLOW UP」の2点を読むとまとまった情報が得られるのです。

 

兀突骨(Gotsu-Totsu-Kotsu)の最新(4th)アルバム「兵ドモガ夢ノ跡」からのリードトラック「争乱ノ死地ヘ」のMVへの海外からのコメントに、次のようなものがありました。(原文全て英語なので、文意を誤訳していたらご容赦願います。)

まず、「(兀突骨(Gotsu-Totsu-Kotsu)の音楽は、)日本的文脈下での軍事プロパガンダで、(西欧での)NSBM(ナショナル・ソーシャリスト・ブラックメタル国家社会主義ブラックメタル)に該当するものではないのか?」というような投稿がありました。(鋭い指摘ですが、間違っていると思います。)
それに対して、「(兀突骨(Gotsu-Totsu-Kotsu)の音楽は、NSBM(ナショナル・ソーシャリスト・ブラックメタル)に該当するものではなく、)ヨーロッパ(北欧)の「バイキング・メタル」に該当する音楽だ。」「神道、サムライ・・・云々、そして、サムライはいつまで存在し、現代日本のルールに統治されるようになったのか」というような議論が行われていました。

(バイキング・メタルとは、スタイルでいうと、BABYMETALの2ndアルバム「METAL RESISTANCE」(メタル・レジスタンス)に収録されている人気曲「META!メタ太郎」のようなメタルです。)

 

私は、兀突骨(Gotsu-Totsu-Kotsu)の音楽の背景思想を、キーワードで示すと、「敗軍の将、兵を語らず」「判官贔屓」「まつろわぬもの」「敗れ去りし者」「勝者の史観の元、塗り変えられた敗者の側の視点」等で表されるのではないかと推測しています。

歌舞伎NEXTをはじめ、色々なジャンルの表現のテーマとなってきた、坂上田村麻呂に滅ぼされた蝦夷の指導者、アテルイ阿弖流為)を主人公とするような世界観ですね。以前には、新潟のプログレッシブ・ハードロックバンドが、アテルイ阿弖流為)をテーマにしたアルバムを発表しています。

そして、足利尊氏に滅ぼされた、「悪党」楠木正成。非業の最期を遂げる楠木正成もまた、多くの作品で取り上げらてきました。

BURRN!」誌のインタビュー記事で、兀突骨(Gotsu-Totsu-Kotsu)のリーダーで、ボーカル/ベースの高畑治央さんは、「自分の書く曲はだいたい敗戦がテーマになっている」「無念の死」「滅びの美学」「(アメリカのヘヴィメタルバンド)マノウォー(MANOWAR)だったら負け戦をテーマにしないだろう」等のキーワード、キーセンテンスを答えられていて、安心しました。なんといっても、アルバムジャケットで、(勝者の)サムライから、組み伏せられ、首を刎ねられているサムライのモデルが高畑さんだそうですから。

インタビュー記事の4割から半分位は、時代劇映画・TV、時代小説に関係する話です。高畑治央さん、時代劇、歴史小説の話をさせたら、最高。一度、時代劇、歴史小説だけをテーマにインタビューを読んでみたいですね。

記事中、高畑治央さんは、武田鉄矢さんが楠木正成を演じた大河ドラマ太平記」について述べています。アルバム「兵ドモガ夢ノ跡」からのリードトラック「争乱ノ死地ヘ」(オープニングのインスト曲に続く2曲目)、そしてアルバムラスト(12曲目)の「見果テヌ夢」(これがいい曲なんですよ)の2曲が、「太平記」をモチーフにした曲だそうです。最初と最後が「太平記」(楠木正成)。まさに、悪党の非業の最期、滅ぼされる側の矜持を表現したメタルではないでしょうか。

アメリカに置き換えると、先住民族であったり、黒人奴隷側なのではないかという気がします。つまり、レイシズムとは正反対の差別される側、虐げられた側からの視点、表現ではないかと感じました。

白人専用音楽であるヘヴィメタル音楽であるにかかわらず(ここでは、近年話題になっている文化・音楽的レコンキスタとしてのブラックアフリカブラックメタルは除きます)、黒人音楽に親和性の高い、あるいは近い文化的・思想的スタンスを有している点。ここが、私が(兀突骨(Gotsu-Totsu-Kotsu)の音楽に魅力を感じる理由かもしれません。

 

それにしても、兀突骨(Gotsu-Totsu- Kotsu) の次回のライブ(2月.巣鴨獅子王)の対バンのメンツがすごい。兀突骨(Gotsu-Totsu- Kotsu)が企画したら、全員男性のみのブルータルなメタルバンドだけになりそうな気がします。RagDöllz(ラグドールズ)、UnTraum、GELって、いずれもガールズバンド、いわゆる嬢メタルのカテゴリですよね。AЯisEも女性がフロントを務めるバンドのようです。このメンツの中に、兀突骨(Gotsu-Totsu-Kotsu)ですか?!

有難キ、幸セ!?


□GEL

GELは、元スリーピースガールズバンド、Liquid NOISEの比内香織さん(Vo.Gt)が、美七海さん(Gt)と組み2016年スタートしたバンド。キャッチフレーズは、「浸透性アグレッシブ ラウド ロック」。

エクストリーム、スクリーモメタルコア等のモダンラウドロックを基調とするも、歌謡曲として通用したメタル(ジャパメタ)、EARTHSHAKERアースシェイカー)に通じるようなロックの楽しさ、歌謡ロックの親しみやすさも実現していると感じます。

ここぞという時に放つ左キックとライブハウスの観客の頭上をサーフするサメのバルーンがロックンロール!


□GEL「pump it up!」LIVE

https://www.youtube.com/watch?v=4DZiKeU2yJY

 

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(20170108)

 

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