出典:compressorhead website http://compressorhead.rocks/
〔ドイツのロックバンド、「コンプレッサーヘッド」、バンドメンバーは見てのとおりです。〕
ノーベル賞受賞に関してサイエンスを解説するコンテンツに、VTuber(バーチャルYouTuber)のキズナアイさんが起用され、それに関して多彩な意見が寄せられているようです・・・。
話題になったのは、『バーチャルYouTuber「キズナアイ」のノーベル賞まるわかり授業』というNHKの特設サイトです。
このコンテンツ中の「医学・生理学賞」「物理学賞」「科学賞」の各編で、科学技術振興機構の講師に対する生徒役としてキズナアイさんのキャラクターが起用されています。
実写のディスプレイ上のキャラクターと、会話アプリ風対話のアイコンとしてのミッションです。
VTuberのキズナアイさんは、どちらかというと、今まで、サブカルチャー/インディーズ界の大物という認知が主だったように思います。良く知っている人は良く知っているけれど、一般の人で知らない人も多いという存在でした。
そのキズナアイさんが、これまでの開発、育成を担ったシーンのカルチャーと大分流儀が異なるオーバーグラウンドなメディアの大きな役に起用され、脚光を浴びるとともに様々な意見が寄せられています。
コスチュームの是非や番組中での役割を改善すべきだという意見もありました。
今後、現状と寄せられた意見の間のすり合わせが行われ、今年から来年にかけて、VTuberの表舞台への進出に反映されていくことでしょう。
そういうわけで、日本漫画史上に燦然と輝く大傑作、白土三平の「カムイ伝」です。
平成も最後の年となった現代、名前は聞いたことあるけど、『思想的に云々』という評判で敬遠されている方もいらっしゃるかもしれません。
『(背景や歴史的な)思想うんぬんを一切取っ払った時に、純粋なエンターテインメントとして楽しめない作品は、エンターテインメントとして成立しない。』というのがエンタメの大鉄則です。
白土三平の「カムイ伝」、基本は、スターウォーズや黒沢明監督のサムライ映画と同質、あるいはそれ凌ぐ凄まじいクオリティのアクション剣劇エンターテインメントです。
「カムイ伝」が日本のエンターテインメントに与えた影響は非常に大きいものがあります。
「もののけ姫」(スタジオジブリ制作、宮崎俊監督)は、「カムイ伝」(あと、洋物の「デューン/砂の惑星」)の要素はかなり強めに出ていように見えます。
また、寺沢武一さんのSFスペースアクションの傑作「コブラ」にも、「カムイ伝」、「カムイ外伝」のスペース展開的ニュアンスは入っている気がします。
「カムイ伝」は、「デューン/砂の惑星」のようなハヤカワ文庫SFの傑作ノベル群、「スターウォーズ」のような洋モノSF宇宙アクション剣劇、黒沢明監督のサムライ映画、「子連れ狼」のような剣劇エンターテインメントと同質の『思想のない』(思想にとらわれない)剣劇アクションエンターテインメントです。
剣劇アクションのスピード感が、「考えるな、感じろ」なんですよね。
星歴4649年、〇〇星系(江戸時代の日置藩)では、△△星人の圧政に対しまつろわぬ民□□星族の末裔達が多年に及ぶ抵抗を繰り広げていた・・・というような紋切り型の舞台設定として読みました。
江戸時代も星歴4649年もリアルではないですからね。
ちなみにデューン/砂の惑星の「帝国」は、「カムイ伝」の日置藩と同じく封建制を敷いています。
なぜ、「カムイ伝」か・・・。
もし、どこかの星のサイバー空間(ネット)において、フェミニズムと、冒頭のVtuber(キズナアイさんのような)を支持するヲタと呼ばれる人達の間で、意見の齟齬、もしくはコミュニケーション・ブレイクダウンがあるとすれば?。
「カムイ伝」やスペース物SFで描かれているような、支配される側や、まつろわぬ民同士の間の齟齬を連想させられたりするんですよね。
ありとあらゆる手段を講じて分断や対立を工作し、宇宙帝国のポジションや権力や権益を確保する宇宙帝国サラリーマン道の鏡のような、カムイ伝の『横目』的キャラは、スペースオペラの憎々しい敵役としては重要な役柄です。
自分はサブカルファン歴はロックが一番長くて、アイドル、アニメ、声優さん等の世界は比較的最近知ったばかりです。
ここ数年、ヲタと呼ばれる方やその界隈に接するようになって、ヲタが外の世界から激しい罵倒や非難、中傷を浴びせかけられるのを実際に見聞きしてきました。
「キモイ」
「同じ空気を吸いたくない」
「決して関わりたくない」
「決して同じ空間にいたくない」
「人間として認められない」
・・・・・・。
活字にできないもっと激しい罵倒もあります。
おそらく、ヲタの方というのは、自分の趣味・嗜好を自覚した瞬間から、現在の年齢まで、ずっと周囲や世間からの罵倒、誹謗中傷、非難を浴びて生きてきたのではないかと思います。
そのため、生き延びるために、非難を敏感に感じ取ると当時に、やりすごしたり、かわす(防御モード)スキルを身に着けているはずです。
そうでないと社会の中で生き延びてこれないですから。
つまり、ヲタと呼ばれる方は、アプローチやアクセスの仕方によっては、防御モードにシフトする(コミュニケ―ションが困難になる)可能性があります。
長くなるのでこのくらいにしたいと思います。
VTuber(バーチャルYouTuber)、新しいメディア、芸能人(役者・歌手)として既存のメディアの大役としてデビューし、反響を呼んだわけです。
AI、AR・VR、3Dによるモデリング、モーションキャプチャー等の個々の要素技術は、それぞれ長い時開をかけて開発されてきています。
これらの要素技術を、萌え系美少女グラフィックというアートのスキン・キャラクターのもとで統合し、調和させ、ブラッシュアップさせ、インディーズでのゲーム実況等でスキルとコンテンツを向上させてきました。
そして、このタイミングで、メジャーなメディアで、科学解説番組の生徒役という人間のタレントの代替を務められるかという実験が行われた。
この実験に対し、技術面の反響でなく、TPOに合わせたコスチュームデザインやジェンダーロール等、社会規範面の意見が寄せられたということは、ポジティブな評価でもあります。
それは、VTuberがリアルのタレント(芸能人)の代替を務めることができる(これからそうなっていくだろう)ので、正すべきは正していくべきだという認識が前提にあるということだからです。
つまり、VTuberがリアルのタレント(芸能人)の代替を務める実験の第一ステップの成功ともいえます。
私は、着衣のコンプレッサーヘッドが生徒役でも、キッズは面白がってくれるのではないかとも思ったりするのですけど・・・。
ここ数年の海外のポピュラー音楽のトレンドからすると、2019年(来年)あたりは、VTuber(バーチャルYouTuber)のアーティストが、Vaporwave、Future Funk等のカテゴリで、メジャーデビューしてくる可能性もあるのではないかと思っています。
大昔から、スペースオペラ、スペースファンク、スペースロック的なサブカルチャーの文脈では、民族・種族や性別や肌の色や宗教や政治的立場やサイボーグかロボットかの違いやらを乗り越えて、グルーヴの下にワンネスを!というノリが大事だったのです。
『世界はゲットーだ!(The world is a ghetto)』 ザ・ウォー(1970年代アメリカのファンクバンド)
メドレー RADWIMPS「前前前世」~「おジャ魔女カーニバル」(アニソン定番曲、SORAMIMIやBAND-MAIDもカバーしています。)~BABYMETAL「ギミチョコ!!(Gimme chocolate!!)」~石川さゆり「津軽海峡冬景色」~USA FOR AFRICA「We are the world」
「We are the world」で締めるところに、キズナアイとは海外も意識した企画とわかります。
◇アーニー・ディフランコ(Ani DiFranco)「プレイ・ゴッド」(Play God)
ニューヨーク州出身のシンガーソングライター。初期は「第3派フェミニズムのアイコン」、「LGBT(ゲイ/レズビアン)の闘士」的な持ち上げられ方をされましたが、あろうことか、男性を恋愛パートナーに選び支持者からの強い非難を受ける等、「型」にはめられないインディペンデント性(独自性、独立性)を持っています。
2018年米中間選挙では、米共和党の保守系の支持者のアイコンであるテイラー・スイフトが民主党候補支持を表明したことに対し、ドナルド・トランプ米大統領が「テイラーの音楽が25%くらい嫌いになった(以下略)。」とユーモアも交えて老獪な反応を示していました。アーニーの男性との交際や結婚に、彼女の音楽に自らの怒りと闘いのエネルギーを投影していた(20代も多かった)若いファンが老獪に反応するわけもなく、いわゆる炎上し、初期からのファンベースは去っていったそうです。
音楽面ではウディ・ガスリーのフォークを基調としスライ&ザ・ファミリー・ストーンやP-ファンク(パーラメント/ファンカデリック)等のファンク、そしてジャズの要素も持っています。独特の弾き方のギターの腕前とパワーもすごい。
◇パーラメント/ファンカデリック「ワン・ネイション・アンダー・ア・グルーヴ」
スペースオペラといえばP-Funk!Ice Cube(アイス・キューブ)の「Bop Gun」で有名な「ワン・ネイション」!
◇コンプレッサーヘッド「エース・オブ・スペーズ」
モータヘッドからとったバンド名。シャレに見えてもシャレでなく現代思想的に正しい大真面目なプロジェクトのはず(?)。ロック/ヘヴィメタルのグラフィックデザインに大きな影響を与えた巨匠H・R・ギーガー(現代のBABYMETALやBAND-MAIDのマーチャンダイズにもH・R・ギーガーの影響を感じる作品があります。)のマン=マシーンのコンセプトをリアルで実現したバンドか!?見た目はちょっと、いや大分違うけど・・・。
これに萌え系美少女キャラクターのスキンを着せたらキズナアイやデレステのリアル版ができるでしょうか?
<参考資料>アーニー・ディフランコ(Ani DiFranco)フェミニスト的『偶像』からの脱皮 http://www.macska.org/emerging/04-difranco.html