海外で人気の日本のHR/HM(ハードロック・ヘヴィメタル)系ガールズバンド(オールフィーメールバンド)。特にリアクション動画等で人気が高い2つのバンドがLOVEBITESとBAND-MAID。どちら推しかそれとも兼オタか、実はディープ・パープル(DP)を聴くと判るんです。それもリッチー・ブラックモアのディープ・パープルでなくて脱退後の第四期ディープ・パープル(DPMKⅣ)!
DPMKⅣが好きかどうかでバンメとLOVEBITES好きか否か別れるんじゃねというのが自説。
日本を代表するロックギタリストCharは、ブリティッシュロックのトラピーズ、そしてアメリカのヤードバーズとも呼ばれたジェームス・ギャングが好きなのです。
そのCharが好きな2つのバンド、イギリスのトラピーズ出身のベース(グレン・ヒューズ)とアメリカのジェームス・ギャング出身のギター(トミー・ボーリン)が主導権を握ったのが第四期ディープ・パープル。
独裁者リッチー・ブラックモアが脱退し、ファンキーなソウル野郎コンビのグレン・ヒューズとトミー・ボーリンがやりたい放題やったのが第四期ディープ・パープル唯一のスタジオ録音アルバム『カム・テイスト・ザ・バンド』です。もちろんボーカルのデビカバ(デイヴィッド・カヴァデール)もソウル、ブルース志向むき出しに。
当然、リッチー・ブラックモアのいないディープ・パープルなどディープ・パープルでないと固く信じる多くのディープ・パープルファンは、このアルバムに猛反発。長い間(といっても10年弱位?)ディープ・パープルの『黒歴史』として葬られてきたのが『カム・テイスト・ザ・バンド』でした。
でも、実はB’zの松本孝弘さんがディープ・パープルの全キャリア中で第四期の『カム・テイスト・ザ・バンド』が一番好きというのも有名。
つまり、ソウル、ファンク、歌謡ロック、歌謡曲ファン的には、トラピーズ、ジェームス・ギャング、第四期ディープ・パープル、Char、B'z、そして現代のBAND-MAIDという流れは、かなりどストライクゾーン、スウィートスポットなサウンドなんです!
なんというかレッド・ツェッペリンやディープ・パープルに代表されるブリティッシュ・ハードロックと比べると、アメリカのハードロックバンド、例えばグランド・ファンク・レイルロードのサウンドって泥臭くてファンキーじゃないですか。
・Charはグランド・ファンク・レイルロードの熱狂的なオタだった。
あまりに好きすぎて、「俺のグランドファンクがみんなの前に晒される」ってことに耐えられず、伝説の後楽園球場コンサートにも行かなかったんだ。バイクで三浦海岸に行って「グランドファンクのバカヤロー」って叫んだね(笑)。
トラピーズもブリティッシュハードロックの歴史的にはセカンドの『メデューサ』が評価されているんですが、アメリカで受けたのはよりソウル、ファンク色を強めた3rd『You Are the Music...We're Just the Band』(邦題:連動)でした。
トラピーズの音楽って、つかみこそハンブル・パイやフリー等のブリティッシュハードロックをもうちょいファンキーにした感じかな?と思わせつつ、次第に「ハードロック」の範疇を逸脱する位ファンキーでソウルフルになっていくんですよね。
こういうはファンキーさ、ソウルフルさは、1980年代以降のヘヴィメタルにはまずみられません。
グレン・ヒューズがもしディープ・パープルに加入していなかったら、スティーヴ・ウィンウッド、テリー・リード、アヴェレージ・ホワイト・バンド、フランキー・ミラー、スクイーズ系(ポール・キャラック、ディフォード&ティルブリック)等のような、白人ファンク、ブルーアイドソウルの音楽性に進んでいったんじゃないでしょうか?
その路線で1970年代のロック商業化の時代を生き残っていれば、1980年代のロック爛熟期には英国1960年代白人ブルースシーン出身のクライマックス・ブルースバンドやフリートウッド・マック、1960年代の英国シーンに連動していたアメリカのスティーヴ・ミラーバンドやボズ・スキャッグスのように、AORへと音楽性を拡張、展開し、アメリカ市場での売れ線にかけていたかもしれません。
もしかしたら、グレン・ヒューズはHR/HM(ハードロック・ヘヴィメタル)の人ではなくなっていたのではないかと思うのです。
一方、リッチー・ブラックモアのディープ・パープルの様式美であるとか、イングヴェイ・マルムスティーンのネオクラシカル路線こそ最高のハードロック・ヘヴィメタルだ!というファンには、アメリカンで泥臭くファンキーでソウルフルなハードロックや歌謡曲を苦手とする方も少なくありません。
そういう方にはLOVEBITESがお薦めです。
LOVEBITESは、1970年代のハードロックにあったアメリカンな泥臭いファンキーな要素を退け、クラッシック音楽やパワーメタル、メロディックスピードメタル等のヨーロッパの純粋な白人音楽へのリスペクトをベースにサウンドをまとめているように聴こえるのです。
LOVEBITESで一番好きな曲が、ラフマニノフの交響曲第2番第3楽章をモチーフにしたシンフォニックな「Under The Red Sky」(作曲はLIGHT BRINGERのMao)。
英米の音楽業界人だと、ラフマニノフといえばエリック・カルメンのスタンダードナンバー「恋にノータッチ」(Never Gonna Fall In Love Again)であまりにもポピュラーなので、こんな大ネタ料理は絶対できないんじゃないかと思うのですよ。一聴するとラフマニノフ、パワーメタル等の白人リスナー専用の要素で構成した楽曲かと思いきや、ギタリストのmidoriは黒人音楽(ブルース)由来の奏法であるスライドギター(ボトルネック)奏法を和えてきています。英米の感覚だとちょっとありえない楽曲なんじゃないかと思うユニークさです。
LOVEBITES、楽曲がシンフォニックだったりプログレッシブだったりで面白いですし、バンドは偉い演奏力があるなと。
日本の若いクラシック音楽の素養をベースとしたロック(ヘヴィメタル)音楽家のチームだからアウトプットできた非常にユニークな楽曲だと感じます。
LOVEBITESを推すかBAND-MAIDを推すか、キリマンジェロが好きかモカが好きかというような趣味嗜好の話なので、是非、お好みのバンドの方を推してください!
◆【City Pop 伊豆田洋之】Never Gonna Fall In Love Again cover by Hiroyuki IZUTA
ラズベリーズ/エリック・カルメンのカバーといえば、常田大希さんのmillennium paradeやBAND-MAIDも出演するオーストラリアのバーチャルフェス「スプレンダーXR(Splendour XR)」に出演するザ・キラーズが映画のサントラで演奏した「Go all the way」はとても良かったですね。
LOVEBITESの音楽性の大きな特色はクラシカル。西側の大物HR/HMバンドが実現させたように、いずれ必ずクラシックフルオーケストとの共演を実現させるでしょう。
「Above The Black Sea」聴くにあたり、聴く前、後でどちらでも良いので元ネタ ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番を聴いて下さい😉
— MIYAKO@LOVEBITES (@miyako_0405) 2018年6月6日
うちの大好きな・影響受けたクラシック音楽Top3に入る曲です!
有名な曲なので聴いたことある人も多いはず!😉 #lovebiteshttps://t.co/SMoOB1H1sG pic.twitter.com/gcM9zYOdZf
エリック・カルメン「恋にノータッチ」は、LOVEBITESの「Under The Red Sky」と同じくラフマニノフの交響曲第2番第3楽章を超大ネタ料理したポップスの大名曲!
https://www.youtube.com/watch?v=t4PeRBHCZaYUnder
◆「ラフマニノフ:交響曲第2番 第3楽章 III.Adagio」石川フィルハーモニー交響楽団
https://www.youtube.com/watch?v=T9XB0wTKAto
◆Cover song: Never Gonna Fall In Love Again by Eric Carmen
いかにも働くおじさんという感じで、この方歌とても上手いんですよね。カラオケやオーディションでおなじみの「恋にノータッチ」。もしかしたらこのおじさんの歌を紹介するためにこの記事を書いたのかもしれません。ボストンの「アマンダ」とか選曲も渋いんですよね。
https://www.youtube.com/watch?v=38TlJgUYd_M
◆ROCK十 EVE - Smoky
世の中にはリッチー・ブラックモアとCharの兼オタというベテランの音楽ファン、ギターファンもいらっしゃって、そういう方はLOVEBITESとBAND-MAIDの兼オタになれる?かもしれません。
https://www.youtube.com/watch?v=j3wKKBcbkh4
◆TRADROCK TV “Char” by Char
https://www.youtube.com/watch?v=vuewHmRsx-4