2017年、アメリカ、バージニア州シャーロッツビルでリー（ロバート・E・リー）将軍の銅像撤去を巡る問題が大きく報道されました。
銅像撤去を主張する側と銅像維持を主張する側が激しく対立し、数十人の逮捕者が出、死者一人を含む数十人の死傷者が出る混乱となりました。
銅像が撤去される、あるいはもっと激しく引きずり倒されるというのは、撤去される銅像の人物が象徴する価値観が社会的に否定され、社会的価値観の転換が起こっていることを示しています。
アメリカのサザン・ロックを代表するバンド、レーナード・スキナード（もう一つのサザン・ロックを代表するバンドがオールマン・ブラザーズ・バンド）は、撤去問題で社会的対立の象徴となったロバート・E・リー将軍の名を冠した高校の同級生によって結成されました。
The Official Lynyrd Skynyrd History Website
『南軍旗』は、レーナード・スキナードのアートディレクションの象徴であり、ライブステージではバックドロップが巨大な南軍旗であったのは有名です。
巨大な南軍旗を背景に演奏する髭顔の白人の男達のロックバンド、その姿こそは、サザン・ロックを象徴するイメージではないでしょうか。
しかし、驚くべきことに、レーナード・スキナードは、2012年に彼らのシンボルであった南軍旗の使用を止め、ファンに対し「南軍旗を使用しないように」とアナウンスしているのです。
レーナード・スキナードの南軍旗使用取り止めの背景には、サザンロック発祥でロックのシンボルとして南軍旗が広く盛んに使用された1980年代から2012年の間に、南軍旗を取り巻く社会的状況、認識が大きく変化したことがあったことが推測されます。
上の記事の執筆者である川崎大助さんは、『アメリカで南軍旗の使用が追い立てられていったのと同じロジックとプロセスによって、（国際社会における）日本の旭日旗の使用は追い立てられていくのだろう』との予測をしています。
私の意見は、『アメリカ社会における南軍旗 イコール 日本社会における旭日旗』とする川崎大助さんの主張・説に反対です。
しかし、記事の中で川崎大助さんが示した『シンボル（旗）が追いやられるフレーム（構造）に入ってしまった時』、どのようなシンボルであっても継続するのは難しいことも事実でしょう。
川崎大助さんの上記の分析・予測に賛成するものではありませんが、参考になりました。
反対の背景に少しふれますが、ロックもエンターテインメントも、社会の現実が、8割の人が絶望の淵に追いやられるものだとしたら、その先の光、希望を描き示すことによって、ビジネスとして成り立つ面も持つ表現ということがあります。
8割の人が絶望する社会・・・いや、それ社会として成り立たないでしょう。
必ず絶望と怒りを栄養にした勢力が次々と勃興し社会が不安定化していきます。
だから、そこ（8割が絶望に転落的な）というところで論を止めるべきではないでしょうと。例え今は小さくても良いから、こういった芽も起こってきているという『光』や『希望』の萌芽について意見を交わすベクトルにもっていかれるべきではないでしょうか。絶望で寸止めではそれこそ、「やつらをやっつけろ！」という対立の精鋭化に磨きをかけるだけではないかというのが私の意見です。
◆38 Special - Caught Up In You (Official Video)
38スペシャルは、レーナード・スキナードのロニー・ヴァン・ザントの弟、ドニー・ヴァン・ザントが結成したサザン・ロック、ハードロック、ヘヴィメタルのバンド。商業ポップハードロック・産業ロックとしてもヒット曲を持ちます。
「Caught Up In You」メチャクチャ大好きな一曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=zg21Rkew874
◆Lynyrd Skynyrd - Sweet Home Alabama - 7/2/1977 - Oakland Coliseum Stadium (Official)
巨大な南軍旗のバックドロップを背景に演奏するレーナード・スキナード。今は既に南軍旗は用いてません。
https://www.youtube.com/watch?v=6GxWmSVv-cY
◆Blackfoot "Southern Native" official video featuring Rickey Medlocke
