「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり、沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理(ことわり)をあらわす」
「実るほど頭を垂れる稲穂かな」
「驕る平家は久しからず」
外資系の自動車メーカーの元経営者のことでもありません。
栄華を極め権勢を誇った有名人や芸能人のことでもありません。
特定の誰かを指し示しているわけではありません。
琵琶法師の弾き語る「祇園精舎」(『平家物語』)が、鎌倉時代の流行から平成も最後となる2019年も、そしてその次の年号の世にも、日本人に親しまれ続けることには、祇園精舎に歌われる無常観の中に、繰り返されてきた歴史の真理を感じることがあるからでしょう。
祗園精舎の鐘の声、
諸行無常の響きあり。
娑羅双樹の花の色、
盛者必衰の理をあらわす。
驕れる者は久しからず、
唯春の夜の夢のごとし。
猛き人も遂には滅びぬ、
偏に風の前の塵に同じ。
ぎおんしょうじゃのかねのこえ
しょぎょうむじょうのひびきあり
さらそうじゅのはなのいろ
せいじゃひっすいのことわりをあらわす
おごれるものはひさしからず
ただはるのよのゆめのごとし
たけきひともついにはほろびぬ
ひとえにかぜのまえのちりにおなじ
◇琵琶演奏 「祇園精舎」~伝統音楽デジタルライブラリー
https://www.youtube.com/watch?v=xyUVT8sas6g