- ・岩崎宏美『ゴールデン☆ベスト』
- ・ボズ・スキャッグス『マイ・タイム ボズ・スキャッグス・アンソロジー(1969〜1997)』
- ・ブラックモアズナイト『吟遊詩人のバラード〜ザ・バラード・コレクション』
- ・『風 ベスト』
- <AOR、シティポップについてこんな記事も書いています>
・岩崎宏美『ゴールデン☆ベスト』
「アナログ時代のヒット・シングル上位20枚をセールス順に完全収録!」という容赦ない選曲。
単独ヒット曲では桜田淳子さんの「リップスティック」や、中原理恵さんの「東京ららばい」等ディスコ歌謡の名曲は多々ありますが、岩崎宏美さんのディスコ歌謡ヒット曲の連発は圧巻の一言。
岩崎宏美さんの一連のヒット曲は筒美京平さんの和製ディスコ歌謡の頂点ではないでしょうか。
岩崎宏美さんのディスコ歌謡には、現在では同期音源のクリック音として使われているカウベルが曲の最初から最後まで鳴り響いている曲があって(アナログ録音の時代なのでホンモノのカウベル)、まさに鳴り物入りで気分はアゲアゲ。
これでソウル(魂)が踊らなければ貴方はダンスミュージックファンではない!と言える歴史的歌謡ダンスチューンの連発です。
・ボズ・スキャッグス『マイ・タイム ボズ・スキャッグス・アンソロジー(1969〜1997)』
その筒美京平先生も大いに参照されたでありましょうミスターダンディ、ミスターAORことボズ・スキャッグス。
2枚組で、1枚目ラストのべちょべちょの白人ブルースロック「Lone Me A Dime」から2枚目1オープン曲「Hard Times」の流れが最高!
「AORとは都会のブルースである」とばかりのミスターのご高説が聴こえてきそうです。
最近世界中の若者に大人気の日本発のポップミュージックであるシティポップ(シティ・ポップ、CITY POP)とアメリカのAORの違いは何か?誰も解説されないのでここに明言いたしましょう。
「日本人漫画家の吉田まゆみ先生の世界観がある都会的なポップスがシティポップ、それがない音楽がAORです。」
シティポップブームで再評価されたラ・ムーの菊池桃子さんが主演された吉田まゆみ先生原作の映画『アイドルを探せ』では、原作で杉山清貴さん(杉山清貴とオメガトライブ)をモデルにした主人公のお兄さんの役を杉山清貴さんご自身が演じておられたのです!
『マイ・タイム ボズ・スキャッグス・アンソロジー(1969〜1997)』、数万字のライナーノーツを1970年代の『ローリングストーン』で書いていたロック・ジャーナリストのベン・フォン・トーレスが寄せています。
というのもボズ・スキャッグスの実質的なソロデビューアルバムのプロデューサーの一人はローリングストーンの創刊者であるヤン・ウェナー(ジャン・ウェナー)だったのです。
ライナーノーツの中でトーレスは、ボズ・スキャッグスがアマチュア時代に影響を受けたアーティストとして、Tボーン・ウォーカー、レイ・チャールズ、ジミー・リード、ボビー・ブランド、ドリフターズ、ブルース・チャンネル、ボブ・ディラン、ジョニー・"ギター"・ワトソンらの名前を挙げています。
・ブラックモアズナイト『吟遊詩人のバラード〜ザ・バラード・コレクション』
ブラックモアズナイトは元ディープ・パープル、現レインボーのギタリストであるリッチー・ブラックモアとキャンディス・ナイトの夫婦デュオ(バンド)。
リッチー・ブラックモアは日本のガールズメタルバンドBRIDEAR(ブライディア)のギタリストのMISAKI(ミサキ)もリスペクトする偉大なギタリストです。
なんといってもジャケットのキャンディス・ナイトの天使の羽のコスプレ!
往年のフランスのアイドル女優エマニュエル・べアールは、映画『天使とデート』で天使のコスプレを演じましたが、天使とか人魚のコスプレというのは誰にでもできるものではありません。
自分はディープ・パープル 〜 レインボーの曲は「ハッシュ」「ウーマン・フロム・トーキョー」「シンス・ユーヴ・ビーン・ゴーン」(”ハードロックの筒美京平”ことラス・バラード作品)等のポップな曲は大好きなんですが、「バーン」であるとか「キル・ザ・キング」のようないかにもなタイプの曲はどちらかというと得意ではありません。
そちら方面は王様であるとか大阪☆春夏秋冬のカバーバージョンで楽しむタイプ。
今は、かつてジョン・ロードが主導したようなディープ・パープルとクラシックオーケストラ(交響楽団)との共演的なシンフォニックで壮大なタイプの音楽は、ガールズメタルバンドのLOVEBITES(ラヴバイツ)に期待すれば良いかなと。
なのでニューエージにも通じるブラックモアズナイトの穏やかな音楽性は非常に好みです。
『吟遊詩人のバラード〜ザ・バラード・コレクション』、キャンディス・ナイトの天使のコスプレジャケットの世界観が苦手でない方にはお薦めのブラックモアズナイト入門です。
・『風 ベスト』
風は、伊勢正三さん(元かぐや姫)と大久保一久さん(元猫)によるデュオ。
なにせ1970年代前半の日本のフォークを代表するグループであるかぐや姫(他のメンバーは南こうせつさんと山田パンダさん)解散後に結成されたグループなので「フォークソング」「ニュー・ミュージック」を期待されました。
ファン層もほとんどが、かぐや姫や猫を支持したフォーク・ニューミュージックのファンでした。
そして日本の「四畳半フォーク」を代表する名曲である「22才の別れ」が大ヒットし風の代表曲となってしまったことで、叙情派フォーク、四畳半フォークの流れで捉えられがちなグループです(その他の四畳半フォークの名曲については機会があったら書きます)。
しかし、風の音楽性の本質は「日本のシールス・アンド・クロフツ」、あるいは「日本のロギンス・アンド・メッシーナ」と呼ぶのがふさわしいようなアメリカ型のアコースティックデュオであるというのが私の見立てです。
(ロギンス・アンド・メッシーナのケニー・ロギンスはデュオ解散後、ボズ・スキャッグス、マイケル・マクドナルドと並ぶ米AORの中心歌手になっていきます。)
風のサウンドは、四畳半フォークのパブリックイメージとは裏腹に、ダン・フォーゲルバーグやアル・スチュアートやアリ・トムソンといったアコースティック感覚を活かした英米のシンガーソングライターのサウンドに近い感触であり、次第に米AORの潮流を導入した和製AOR、シティポップ(シティ・ポップ、CITYPOP)の先駆けとなっていきます。
風の解散は1979年ですが、現役時代から解散後にかけてもフォーク、ニューミュージック、特に叙情派フォーク(四畳半フォーク)のイメージはなかなかくつがえりませんでした。
風が和製AOR、シティポップ(シティ・ポップ、CITYPOP)のパイオニアとして再評価されるようになったのは、数十年の時間が過ぎ音楽リスナーがすっかり世代交代して、かぐや姫・風の伊勢正三=四畳半フォークのイメージが消え去ってからでした。
1970年代後半から80年代の初めのアメリカ西海岸で広まったAORと呼ばれる大人向けのロック。ボズ・スキャッグスやネッド・ドヒニー。ジャズやソウルミュージックのコードやリズムを使った白人ポップスのテイスト。彼が75年にかぐや姫解散後に組んだグループ、風の77年のロサンゼルス録音のアルバム「海風」は、そうした音楽の先駆的作品だった。
◆Hard Times / Boz Scaggs(Cover) OB@Marz 2014/06/29
80年代の杉山清貴さんのコスプレですか?という位、とても2010年代に見えない(確信犯でコスプレされているのでしょう)見事なボズ・スキャッグスのカバー。1980年代のAORな佇まいを実現されています!お見事!
https://www.youtube.com/watch?v=gMzLjVDHbG4
<AOR、シティポップについてこんな記事も書いています>