Char with Godiego(チャー・ウィズ・ゴダイゴ)のFM放送スタジオライブのエアチェック音源を聴きました。
Char with Godiegoは日本武道館を含む全国ツアーを行っており、公式録音が存在する可能性は少なくないはずですが、残念なことに音源の存在についての情報は聞いたことがありません。
ただし、Char with GodiegoやCharのバックバンドとしてゴダイゴが演奏しTVやラジオで共演した際のエアチェック音源はいろいろとファンによって表に出されています。両者の違いは、タケカワユキヒデさんがいるいないでしょうか?
伝説の山下達郎さん(Vo.G.)、青山純さん(Ds.故人、現BABYMETAL『神バンド』ドラマーの青山英樹さんの父親)、伊藤広規さん(Bs)、椎名和夫さん(G.)、難波弘之さん(Key.)のバンドがイギリスプログレッシブロック味のファンカデリックのようなブラックロックならば、Char with Godiegoはウェザーリポートやリターン・トゥ・フォーエヴァ―のようなジャズ・フュージョンにジミ・ヘンドリックス経由エディ・ヘイゼルが有機的に絡むような感じでしょうか。
ちなみに両伝説的セッションで、一番スリリングな瞬間は、山下達郎バンドは、
「それじゃぁ、今晩、ますますザイナマイッ!オン ベース、伊藤広規!」という山下達郎さんの意味不明ながら勢いを感じるMC。
Char with Godiegoだと、「ワン・トゥー・スリー・フォー!」という冒頭の人間による肉声カウント。トミー・シュナイダーか、Charか、ミッキー吉野さんか、タケカワユキヒデさんか聴き取れない。
シーケンサー(事前録音のカラオケ)、クリック音(カラオケをコントロールする音)に支配される現代の多くのバンドと180度異質な100%人力による楽器アンサンブルの素晴らしさに改めて衝撃を受けます。
山下達郎バンドは達郎さんの「ザイナマイッ!」のコールに次いで伊藤広規さんのスラップソロ、べチバチ♪♪7分半以上に難波弘之さんのUKのエディ・ジョプソン風シンセサイザーが絡む前衛音楽的展開。世界的に見てこういう音楽はあまりないでしょう。
Char with Godiego、ミッキー吉野さんのエレクトリックピアノがリズム楽器に徹し、浅野孝己さんとCharの2本のギターの絡みがフィーチャーされる瞬間が多いんですが、このツインギターは凄い。
Charのうにゃらうにゃらする粘っこいギターを浅野孝己さんの鋭いカッティングが包丁のように切ってく感じ。Charがうにゃらうにゃら杵つく餅を浅野孝己さんがトントン斬ってJB(ジェームス・ブラウン)なら「カット・ザ・ケイク」だけど。もちろん、スティーヴ・フォックスのベースとトミー・シュナイダーのドラムスとミッキー吉野さんのエレピが時速80kmでまな板を走らせ続けているからカッティングが可能なわけです。
2020年の現代、ワウペダルの使い手としてはBAND-MAIDの遠乃歌波さんが有名ですが、ベテランギタリストでワウを身体の一部のように使いこなすギタリストとしてはやはりCharが最右翼でしょう。
しかし、いつからGodiego(ゴダイゴ)はプログレッシヴ・ロック(の草分け)等と呼ばれるようになったのでしょうか?ミッキー吉野さんは、ウェザー・リポートとローリング・ストーンズをミックスしたような音楽(まさにロックンロールとジャズ・フュージョンのクロスオーバー)を目指すのがGodiego(ゴダイゴ)のコンセプトだと公言していたはずですが・・・。
Char with Godiego、1978年ということは、ナイル・ロジャース(シック)やレイ・パーカー・ジュニアのギターのカッティングが一世を風靡していたアメリカのブラック・コンテンポラリーやディスコミュージックの流行にも連動していそうですね。
地上波テレビで猿のニュースのBGMとして高い確度でかかるGodiegoの「モンキー・マジック」、ほとんど浅野孝己さん一人のギター(スタジオ音源はオーバーダビングされていそうですが)の印象と思います。Charと浅野孝己さんの2本のリズムギターがライブで絡む「モンキー・マジック」を聴くと、この曲に対する印象は全く変わるはずです。
2020年5月12日、ゴダイゴのギタリスト、音楽プロデューサーの浅野孝己さんがお亡くなりにになりました。
心よりお悔み申し上げます。
<参考資料>
◆チャーwithゴダイゴ
◆Works of チャーwithゴダイゴ
◆『Charサウンド研究室#843』#17 WAH WAH