テキサス・ヒッピー・コアリション(Texas Hippie Coalition)、日本では全く関心を持たれていません。それもそうでしょう。ルックスがこれです。
米ハードロック歌手の第一人者ミートローフ(Meat Loaf)以来の巨漢シンガー、Big Dad Richが率い、楽器隊は日本のガールズバンドBAND-MAIDのリアクションYouTube動画を上げてそうなタイプの人相が揃っています。
テキサス・ヒッピー・コアリション(Texas Hippie Coalition、略称THP)のカテゴリーはサザン・メタルということになっています。たしかに同郷(テキサス)出身のヘヴィメタルバンド、パンテラ(Pantera)の強い影響は感じます。
しかし、実は、巨漢フロントマンのBig Dad Richは、アメリカのスーパースター、ロックンローラーであるボブ・シーガーに通じる思いっきり正統派の実力派ロックシンガーなのです。
間違いなく見てくれで日本で敬遠されるタイプのサザン・メタルバンド、テキサス・ヒッピー・コアリション(THP)、意外とメタルが苦手な人でも聴けるかもしれません。やかましい上物(ギター)を支えるノリは、サザン・ロック、カントリーのミドルテンポが目立ち、メタル特有の性急なツ―ビートの曲は少ないのです。
サザン・メタル、サザン・ロックとはサザンであることがアイデンティティー。サザン・ロックからサザンを取ったらカレーライスからカレーを取ったらただの白米になるのと同じ。やかましいギターに気を取られつつも、よく聴けばテキサス・ヒッピー・コアリション(Texas Hippie Coalition、略称THP)のグルーヴは紛れもなく半世紀続く伝統的なサザン・ロック。
そう、レーナード・スキナード(Lynyrd Skynyrd)や38スペシャル(38 Special)やZZ TOPを引き継ぐ真っ当なサザン・ロックのグルーヴです。アトランタ・リズム・セクションのような中庸さ(MOR)こそ全く感じませんが、THPの一聴すると爆音でやかましいギターロックも、アメリカ南部の土着音楽としてのカントリーとブルースにしっかりと根差したロックです。
コロナで中止になってしまいましたが、BAND-MAIDが参加予定だったアメリカ・オハイオの『Inkcarceration Festival』なんかも、基本的なノリは間違いなくテキサス・ヒッピー・コアリション(THP)ですよ。THPのメンバーみたいなテンガロンハット、ヒゲ、タトゥ―の白人のオッサンが何千人も集まっているところを想像するのが一番イメージしやすい。イメージしたくないでしょうけど。
◆Texas Hippie Coalition - Dirty Finger
https://www.youtube.com/watch?v=XnB-EnAsG7c
◆Texas Hippie Coalition - "COME GET IT"
間違いなくライブは相当良いバンド。Big Dad Richの声が良い。
日本のガールズバンド、BAND-MAIDやAldiousが意外なほどアメリカで受けるのは、男性のものという印象の強いヘヴィなロックをマッチョイズムと正反対の華奢な女性が演じるミスマッチ感にあるのかもしれません。
https://www.youtube.com/watch?v=pHVBterqfn4
◆最近BAND-MAIDのリアクション動画を連発しているアフリカンアメリカン(黒人)系の音楽プロデューサー『The Music Recording Network』はレーナード・スキナードからテキサス・ヒッピー・コアリションまでのサザン・ロック系もリアクトしています。しかし、たった公開一日でバンメのリアクト動画がTHPのそれより再生数10倍に達するのは、YouTubeやSNSではむさくるしい(を通り越している)野郎のバンドより日本のガールズバンドの方が有利な点があるのかもしれません。K-POPを好んで聴くようなアメリカ人の10代はTHPを絶対聴きそうにないですが、BAND-MAIDやAldiousなら抵抗なく聴きそうです。
https://www.youtube.com/channel/UC5TtuPafJIA-EBjDbjiUoFg
『The Music Recording Network』の口癖、開口一番「What's Up」を聴く度に、AKB48のフィラデルフィアソウル歌謡曲「恋するフォーチュンクッキー」を想い出す・・・。
https://www.youtube.com/watch?v=dFf4AgBNR1E
◆Somebody Like You
38スペシャル(38 Special)、曲が良いんですよね。
https://www.youtube.com/watch?v=OTlVB2TLGS8