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【50万人混乱】英語民間試験導入延期問題「声の大きな人」に道義も論理も沈黙、無謀な作戦で第一線が犠牲に【失敗の本質】

<2019.11.12更新> 

 

2020年度から導入が予定されていた英語民間試験が延期されたことについては、百家争鳴の様相を呈しています。

 

賛成意見と反対意見が割れ、百家争鳴の状況において、必要なことは、まず、賛成派、反対派それぞれの主張を注意深く観察することです。これは、英語民間試験導入延期問題に限りません。

 

まず、根本となる理念、思想・哲学、目指している姿(ビジョン)、その実現のための大方針や設計思想、そして、具体的に実現するための実行計画の段階のうち、どの段階で問題が発生しているのか注視します。

 

そして、賛成、反対等の意見は、そのうちどの段階に対して投げかけられているのかを見極めます。

 

そうすると、賛成や反対の意見を主張している人が、それぞれ違う段階(あるいは階層・レイヤー)に対して意見を言い放っていて、全くかみ合っていないということがよくあります。

 

また、ぶれることがあってはいけない根本の理念や思想・哲学や大方針が、反対する立場の調整・すり合わせを経て、具体的な実行計画に至るまでの段階で大幅にずれていることがよくあります。

 

時には、理念、思想・哲学、根本方針等が、実現にいたるまでに換骨奪胎されて、180度違うものになっていることもあります。

 

実施直前になって問題提起の世論が強まり、導入が延期された大学入試改革の英語民間試験に関する状況は、どのようになっていたでしょうか。

 

 

根本理念と実行施策が大きく(180度?)ズレている(換骨奪胎が起きた?)

  

大昔から、高校、大学の課程や入学選考等で、TOEFL、IELTS等の試験を活用すべきという主張はされてきました。

 

1986年の臨時教育審議会答申には、「大学入試におけるTOEFL等の検定試験の利用も考慮」との指摘がありました。

  

外国の大学、大学院に進学するには、TOEFLかIELTS等の結果の提出が必要です。

研究活動をしたり、講義を理解し、グループワークやレポートの執筆が可能な語学力を証明するためです。

 

日本の大学、大学院の水準を世界トップレベルにし、それを保つためには、海外の大学、大学院との相互の交流(共同で研究したり、教員や学生をお互いに交換したり等)が必要です。

 

そして、国際的に研究の成果が認められるためには、英語で書かれた論文や資料を読み込み、英語で論文を書く力が要ります。

 

そのため、大学が、学生の入学後か、あるいは入学を希望する学生に入試で、TOEFLかIELTS等の成績の提出を求めることには、合理的な理由があります。

 

2012年6月の民主党政権時代に発表された『グローバル人材育成戦略』の中では、

4つの技能(「聞くこと」「話すこと」「読むこと」「書くこと」)をバランスよく問うタイプの入試への転換を、大学関係者・高校関係者等で共同開発し、その普及・活用を促進する。

一般入試においてTOEFLTOEICの成績等をどのように評価・換算するかの標準的方法の開発・普及を推進する。

等、現在進められている大学入試改革と同じ考え方、手法が提案されています。

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/global/1206011matome.pdf

 

しかし、2020年度に導入が準備され、延期された7つの英語民間試験のうち、大きなシェアを占めることが確実な試験は、国際的に通用するTOEFLやIELTSではなく、日本産の二つの試験になることはほぼ確実な状況になっていました。

 

TOEFLは1964年から55年間の歴史があります。

 

国産の英語民間試験で好成績を取っても、日本の大学入試の出願資格や受験の得点とになることはあっても、海外留学や海外移住等の際に英語力の証明になる等、国際的に得になることはあまり期待できない状況です。

 

これは、上述の、プロジェクトを理念から実行計画まで落とし込むときに、様々な立場の調整・すり合わせの影響によって、最初の理念や大方針と、実際の実行計画のズレが生じている例です。

 

理念・哲学、大方針、実行計画と一本筋が通っており、細部まで緻密な実行計画が組まれていれば、大反対が起きようと突っぱねて実行することができます。

 

筋が通っているからです。

 

ところが、理念・哲学から実際の実行計画までの流れが、時には『天の声』(到底逆らえない立場の人の突然の無茶な要求・介入等)によって、大きくねじれていたりすると、”打たれ弱く”、ねじれの部分で破断することがあります。

 

制度・ルール改定の大原則に照らして無理があった

  

法律を改定する場合には、「不利益不遡及の原則」があります。

 

過去にさかのぼって不利益を適用してはならないという原則です。ただし、利益となることを過去に遡って適用することはOKです。

 

A国の会社法制では、「A国に進出する外国企業は、A国人最低一人を役員にしなければならない」を守れば、自由に投資(進出)できたとします。

 

ある日突然(権力闘争で政権が交代する等あって)、政府命令で「役員の半分はA国人とし、出資比率はA国側51%以上とする」ことになったので、「お前の会社は役員数も出資比率も満たしていないので没収する」というようなことは近代国家はしません。

 

法制度の改定で、不利益を過去に遡らないとするのが近代国家です。

 

将来の時間軸に向けて不利益を及ぼす変更をする場合も、混乱が生じないように移行期間、準備期間等を設けることが多いのです。

 

法律の改定でなくても、社会や組織の制度、ルール等を変更する場合は、不利益を過去に遡らない、移行期間を設ける等の法律の考え方、方法を使うことが多いのです。

 

そうしないと、前もって全員が納得していない限り、混乱が起きる可能性が高まってしまうからです。

 

『学習指導要領』は、法的拘束力がある、つまり法律の一種であるというのが通説です。

 

そのため、文部科学省は、大学入試の改革も不利益不遡及や移行期間の考えに基づいて緻密に詳細にスケジューリングをしています。

 

しかし、あまりにもキツキツなスケジュール(ロードマップ)に見えます。

(2020年度の民間英語試験の導入は、2024年度に向けた移行期間の初年度の位置づけとなっていました。)

 

一般的な考え方では、高校生が入学する前には、少なくとも入学時点では、自分の卒業年度で受験する大学入試の仕組みは明らかになっており、そこ(ゴール)に向かって勉強できるようにカリキュラムが整えらえれていなくてはなりません。

 

自分の受験する入試制度がどうなっているかわからず、途中でどんどん明らかになって、都度対応を迫られるような状況になってしまったら、大混乱になること必須だからです。

 

法律改正的には矛盾はないように設計したとしても、受験生に混乱が起こることが予見できるようなスケジューリングは避けなければなりません。

 

各大学が実施する大学入試の出題範囲や踏まえるべきスケジュールは、文部科学省が定める『入学者選抜実施要項』によって規定されて(縛られて)います。

 

ただし、『学習指導要領』には法的拘束力があるというのが有力説ですが、『入学者選抜実施要項』は通知であり、文部科学省は法的拘束力はないとしています。

 

文部科学省トップ > 教育 > 大学・大学院、専門教育 > 大学入学者選抜について > 入学者選抜実施要項

入学者選抜実施要項:文部科学省

 

>第7 個別学力検査実施教科・科目,入試方法等の決定・発表

3 個別学力検査及び大学入試センター試験において課す教科・科目の変更等が入学志願者の準備に大きな影響を及ぼす場合には,2年程度前には予告・公表する。その他の変更についても,入学志願者保護の観点から可能な限り早期の周知に努める。

大学教育部会(第31回) 議事録:文部科学省

http://www.adrec.ihe.tohoku.ac.jp/wp/wp-content/uploads/2018/04/d978f0a3c97166a17137242ed910f18e.pdf

 

英語民間試験の導入は、『教科・科目の変更』には該当しないので、『入学者選抜実施要項』に定める大学入試の「2年前予告ルール」には抵触しないという解釈もできなくはないかもしれません。

 

しかし、『受験生保護』の考え方に立てば、今回の英語民間試験導入のスケジュールは非常に厳しかったのではないでしょうか。

 

2020年度に導入予定で進められていた英語民間試験は、結局延期されましたが、延期されたのは1年や2年ではありませんでした。

 

新学習指導要領で学習した学生が受験する2024年度まで延期されたのは、上記の理由からです。

 

実行計画が破綻していた(絶対必要なものが足りていなかった)

  

あなたが、戦争を指揮する士官で、部下の兵員【兵】を10名抱えているとします。

 

兵員一人はトンネルを一日1メートル掘る作業能力を有しています。

一日10メートル、トンネルを掘り進めるには、単純に10名の兵員がいるとします。

 

ただし、兵員一人を一日働かせるには、食料と水の補給セット【補】が一個必要とします。

 

現在の部隊の資源は、部下の兵員【兵】は10名、補給【補】は一日分の10個、追加の資源を調達するための資金はゼロだったとします。

 

この状況で、将軍(書記長、大統領・・・)から、「10日間の期限で100メートルのトンネルを掘れ、目標必達!未達成の場合は部隊もろとも処刑する!」という命令(天の声)が下りたとします。

 

【問】その時、あなた(士官)はどう対応しますか?

 

【答】あらゆる政治力、調整力を駆使し、どんな手を使ってでも、不足する【補】90を調達する。

 

資源が不足する状態で作戦を開始した場合、確実に目標を達成できず、部隊は全滅します。

ですから、どんな手段を使ってでも、不足する必要資源【補】90個を調達することがマストです。

 

実は、日本の社会、組織では、必要な資源が不足しているのが明らかで、調達のめどもついていないのに、”上”から命令が下ると、作戦に突入し、結果、当然目標が未達成になる例がしばしば見られるのです。

 

厚生労働省は、第二次世界大戦における日本の戦没者数は310万人、うち海外における戦没者は約240万人としています。

厚生労働省:戦没者慰霊事業のお知らせ

 

海外で死亡した約240万人の内訳は諸説あります。60%前後が『広義の餓死』であったとする説が有力です。広義の餓死とは、狭義の餓死と、飢餓による抵抗力低下のための感染症での死亡です。

business.nikkei.com

 

上記記事では広義の餓死者数を約140万人としています。

 

『腹が減っては戦ができない』と言うように、敵の補給網を叩くのは戦術の基本です。補給が機能しなくなったことが日本軍の劣勢の大きな原因だったことは確かでしょう。

ironna.jp

 

資格・検定ビジネス、受験産業、試験産業等における資源には、問題作成者、試験監督、採点者等があります。絶対必要な資源に、人数分の机、椅子を備え、雨風が防げ、エアコンディションが効いた会議室、ホール等の会場設備があります。

 

ベネッセ社は、「一番の課題は会場確保や実施運営体制。全国で受験生に負担がないようにするには最後まで調整が必要だった」と述べています。

nikkei.com

 

「すでに全国でおよそ350会場のめどがたっており、さらに来年3月までに受験地を拡充すべく努力を続けてきた。地方にいけばいくほど会場がないということは事実であり、大きな課題だった」

www3.nhk.or.jp

 

「会場確保が課題だった」ことからは、受験申込予測者数に見合う会場の手当てができるかどうか、綱渡りの調整を続けていたということがわかります。

 

また、蓋を開けたら、申込者が予測者数を上回る可能性もあるわけです。

 

『腹が減っては戦ができない』

『会場が確保(予約)できなくてはテストはできない』

 

2020年度に導入が予定されていた英語民間試験の導入が直前になって延期された理由は、「身の丈」発言はあくまでキッカケで、試験実施に絶対必要な資源である会場の確保(そしてそれを運営する人員の確保等)が綱渡りだったことです。 

 

このまま50万人以上の受験生が本番試験に突入すると、混乱が生じる可能性が高くなってきていたのです。県をまたぐのはもちろん、全国レベルでの受験会場の調整(例えば、東京会場を希望した学生に長野や仙台に回ってもらう等)が必要になったり、宿舎の不足等が発生する可能性が浮上したためです。

 

日本の組織は、「作戦に必要な資源が不足します。」と、事実を指摘し、改善が必要と説明する人に対して、「非国民!」「グローバル化!」等の、意味の明確でない(明確な定義が共有されておらず、人によってイメージする内容が異なる)、いわば『呪詛』の言葉を投げかけ、排除し、そのまま作戦に突入させることがないとはいえないのです。

 

「口答えするな!」「気合い!」「根性!」と言ったキーワードも良く目にされるかもしれません。

 

ブラック企業や過労死の問題等の背景にも、作戦(会社等の仕事)を実行するにあたって、目標を達成するために必要な条件には何があって、どのような資源がどれだけ必要かを直視し、対処できる組織であるかどうかという『組織文化』の問題が密接に関わっています。

 

東大が指摘していた問題点

  

作戦立案は、理念、思想・哲学から大方針、具体的な実行計画に至るまで、矛盾がないように、一貫した計画を練ることが重要です。

 

以下の東京大学の答申は、現在進めている大学入試改革には、思想と具体策の大きな(正反対の)ズレが生じていると指摘しています。

 

東京大学入学者選抜方法検討ワーキング・グループ答申(2018年7月12日) 
https://www.u-tokyo.ac.jp/content/400096214.pdf

 

それは、英語のスピーキングや国語や他の教科の記述式のように、技術的にアバウトな採点しかできない試験は、希望者全員を入学させ(ただし、卒業までにふるいにかける)るスタイルならばマッチすることです。

 

一方、厳密に合格者数を募集定員に近い数に絞るためには、公平で一点キザミの機械採点が可能な、択一式、〇×式試験が向いています。

 

従って、現在進めている入試改革の方向性と、数年前から実施されている大学の定員厳格化は、両立しない(矛盾している)と指摘しています。これはその通りでしょう。

 

方針と具体策が矛盾しているとその点で作戦が破たんしやすいのです。

 

とりあえずどうしたらよいですか? 

 

英語民間試験導入については、どうしても、今回中止した作戦のように、約50万人超の受験生を一斉に突入させるか、さもなくば全員4年間延期するかという”一斉突撃・玉砕型”の作戦でなければならなかったのでしょうか?

 

例えば、全受験生の約5%の2万5千人の規模で、一般入試で、TOEFL、IELTS等の高得点保持者は英語試験免除等の形で、一点突破を図る作戦ならどうだったでしょうか。

 

2万5千人でも大規模ですが、ハワイでもオーストラリアでも、世界中どこの会場で受験しても受験料、旅費・宿泊費全額補助、外国語学習奨励金として10万円贈呈等の条件で、校内選抜で希望者を募るなどです。

 

最初は、規模は小さくとも、理念から実行計画まで矛盾なく一貫した作戦を立て、必要な資源を手当てし、一点突破によって、知見、ノウハウを蓄積し、ステップを踏んで全体に広げてはどうかということです。

 

現役の中高生ですが英語入試改革に向けてどう勉強したらよいでしょうか?

  

あまりにも伝統的ですが、本屋さんでテキストを買ってきて、中学一年生から高校二年生まで、ラジオの英語講座を毎日聴きながら、発音・スピーキングをスマホに録音することです。

 

ググっていただければわかるように、ラジオ講座の勉強だけで、英検一級、TOEIC900点以上取ったと豪語する日本人はたくさんいます。

 

英語に苦手意識を感じているのであれば、たとえ、高校進学後であっても、中学一年生対象のラジオ講座からはじめること、それが一番の近道です。

 

ロックンロール、ヒップホップと垂直的社会(階層)移動

 

◆ガーランド・ジェフリーズ(Garland Jeffreys) - R. O. C. K. (TV "Fridays")

ロックンロールによる垂直階層移動について歌ったガーランド・ジェフリーズ。

日本には、『苦学』という表現があるように、学歴を身に着けることによる垂直階層移動の機会は、誰に対しても公平に開かれていなくてはならないという努力と学歴に対する信頼・信仰があります。この学歴への信頼は、戦後の日本の社会と経済成長の原動力として機能してきました。

2020年の英語民間試験の導入延期の直接の引き金は、この価値観(学歴への信頼)と新試験制度の未整備な点が摩擦を起こしたことです。

www.youtube.com

 

◆Ski Beatz, Anarchy, Rino Latina II, 漢 & Maccho - 24 Bars To Kill

https://www.youtube.com/watch?v=MQ1rlceQmv4

 

◆BAD HOP / Kawasaki Drift (Official Video) 

https://www.youtube.com/watch?v=I4t8Fuk-SCQ

 

◆累計70万部以上のベストセラー、組織論(社会学経営学)の名著「失敗の本質」 

paraft.jp

(「民間、4技能試験導入」は、)「正の効果も負の影響も十分に検証されることもなく、なしくずし的」に導入へと突き進んでいます。

www.hituzi.co.jp

 

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