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【京急踏切トラック衝突脱線事故】原因分析・対策は科学(人間工学・組織心理学等)重視で

 

 

首都圏でJRの路線に乗っていると、しばしば「緊急停止信号を受信しました」「緊急停止します」等の録音音声が流れ、列車が停止することがあります。

 

その後、「この先の踏切で異常を検知しました」「安全が確認ができましましたので運行を再開します」等のアナウンスがされ、順調であれば列車が動きだすわけです。

 

列車の緊急停止には路線によって、ATS(自動停止システム)、ATC(自動減速システム)が働いている場合があります。

 

2019年9月5日、横浜市神奈川区京急本線神奈川新町第1踏切で電車がトラックと衝突して脱線し、トラック運転手が亡くなり、乗客ら33名が重軽傷を負った事故が起きました。

 

亡くなられたドライバーの本橋さんのご冥福をお祈り申し上げます。そして、負傷者の方のご快復をお祈り申し上げます。

 

死亡事故は、いかなる業種、仕事であっても重大な事故です。

 

重大な事故は、複数の要因(不運、悪状況、ミス等)が重なって起きます。

 

事故当日からマスコミで推測に基づく原因(犯人)探しの報道がされましたが、推測には実験により仮説を証明したり定量的なデータで比較するなどの裏付けがありません。

 

京急が、踏切内異常検知とATS(自動停止システム)、ATC(自動減速システム)の連動をあえてしていないのは、従来から京急が主張している独自の安全設計思想によるもののようです。一部新聞等が報道するようなこれを原因とする推測記事には根拠が不足しています。

 

市井の素人が床屋や飲み屋で「ああだこうだ」噂話をするのには一切責任はありませんが、報道のプロであるマスコミ(TV、新聞、雑誌等)が、現時点で、あたかも『〇〇に原因がある』ような一方的な印象を受け手に対して与えることは不適切です。

 

京急踏切トラック衝突事故の複数の事故原因の比重は、『現時点では判らない、今後の科学的分析により解明される』ということだけが真実です。

 

事実と科学に基づく原因の解明については、運輸安全委員会の分析と報告に任せるしか外ありません。

 

ですが、ここでは、あえて、亡くなったトラックドライバーの心理的側面、特に組織心理学的側面について推測してみます。

 

 

大型トラックが道に迷い右左折不可能なT字路に行きついた経緯

  

最短の高速道路入口が工事で閉鎖されており、次の入口を利用するためには難易度の高いUターンをする必要がありましたが、何らかの理由でUターンできず右折したため、想定外の経路に入ったというミスがスタートでした。

 

大型トラックは、直進、右左折、Uターン(方向転換)等が可能な道が限られるため、当てずっぽうで走っていてもなんとかなる普通車とは、道のミスの重みが大きく異なります。

 

例えば、私物のスマホのカーナビアプリ(普通車を前提とする)に頼れば、Uターンすべき交差点で右折を指示される可能性はあります。

 

右折した(あるいは、せざるをえなかった)時点で、到着予定時間に間に合わなくなってしまう可能性が出て来てしまい、ドライバーに心理的ストレスになったであろうことが推測されます。

 

なぜ、大型トラックは曲がれないT字路を強引に曲がり踏切に進入したのか?

 

大型トラックはT字路で右折し踏切に進入ようとし道路標識をなぎ倒す(物損事故)を起こしています(荷台後部のリアオーバーハング部が接触したものでしょう)。

 

つまり、大型トラックはそもそも周囲の建物や道路標識を破損せずに右折し踏切に進入することはできませんでした。 

 

事故(T字路交差点での物損事故、踏切での衝突事故)を防ぐには警察を呼びバックするしかなかった

  

道路標識や付近の建造物に対する物損事故、トラック周囲をすり抜けようとする歩行者、自転車、バイク、自動車等を巻き込む事故を防ぐためには、左折、右折を諦め、進入してきた道をまっすぐバックするしかありませんでした。

 

バックするためには、進入してきた道路への車両、自転車、歩行者等の進入を規制しなくてはなりません。このような道路規制ができるのは警察しかありません。

 

つまり、T字路で立ち往生した時点で警察を呼ぶしかありませんでした。

 

なぜ、ドライバーは、警察を呼び交通規制と誘導等の立ち往生した際取るべき最善の意思決定をせずに、最も危険で絶対避けるべき、『道路標識をなぎ倒しながら開かずの踏切に進入する』という意志決定をしてしまったのでしょうか?

 

警察や会社に連絡せずに自分で解決しようとした背景の心理は?

 

最悪の決定をしてしまった心理の背景に、ドライバーの新入り(入社一年未満)という立場による組織内での立場の弱さがあったのではないかというのが私の推測です。

 

警察に連絡して交通規制、誘導を依頼する、会社や荷主に連絡して道に迷ったことにより納期遅延が発生することを連絡する。

 

これらは、いずれも、外部の力に頼り、最終的には所属する会社の責任において公道のT字路での立ち往生という問題を可決することです。

 

それに対して、何回も切り返しを繰り返し、社外に降りて周囲の安全(物損事故回避)を確認する、2軸の前輪を踏切外に出して残り一輪で方向を転回する、通りがかった鉄道員に切り返し時の後方等周囲の安全確認を依頼するなどは、いずれも本来頼るべき会社や警察に頼らず、自己の裁量内で公道上での立ち往生という事態の解決を図ろうとすることです。

 

警察を呼び、交通規制、道路封鎖、後方への誘導により立ち往生を解決した場合、勤務先の会社に連絡がいくのはおそらく避けられないでしょう。会社が所有するトラックを会社が雇用する労働者が運転している業務上の出来事なので責任は会社にあるからです。

 

トラックドライバーは、会社に事故(立ち往生で交通の障害)の連絡がいくのを避けたかったのではないかというのが私の推測です。

 

その背景はドライバーが昨年10月入社、つまり事故時入社一年未満の”新入り”で、立場がまだ弱く、失敗をなるべく会社に知られたくなかったのではないかという推測です。

 

運転していたトラックが、

・17年落ちの旧い車両

・他の車両(9割)にあるバックモニター無し

・カーナビ無し

 

という条件の車両だったことも、立場の強い社歴の長い”先輩”から条件の良い車両を使っていたのかもしれないかと推測させました。

ただし、この推測は根拠不充分です。荷物に適した車両がたまたま当日運転していたトラックなのかもしれません。

 

本橋さんが乗っていた13トントラック2002年式で、勤務先のトラックの9割近くに付いているバックモニターを備えていなかったという。ナビゲーションシステムも装備していなかった

www.asahi.com

注)公益社団法人全日本トラック協会の広報資料によれば、2010年のデータで普通トラック(中型・大型を指すと推測される)の平均使用年数(寿命)は約15年(14.87年)です。

http://www.jta.or.jp/coho/hayawakari/14.sonota.html

もちろん、トラックは年式が古くても交換部品や消耗品の交換等はじめ整備がきちんとされていれば、きちんと使えるはずです。しかし、年式が新しくなればなるほど、ハンドル(ステアリング)の操作性であったり、最小回転半径だったり、視界(ミラーの格納や鏡面調整の電動)だったり、いろいろと改善されてくるのが普通です。

 

60代後半の新入り・新入社員として慣れない仕事・環境に焦るのは誰にとっても他人事ではない 

  

人生100年時代、70歳まで働かなかなくてはならない時代になりました。

 

自分が60歳代後半になったとき、どこでどんな仕事をしているでしょうか?

 

65歳の”新入社員”・”新入り”として、慣れない環境で汗を流しているかもしれないと思う時、今回の事故は他人事ではないと感じるのです。

 

 

くるり - 赤い電車   

https://www.youtube.com/watch?v=6VbrbcXp3Fc

 

東京少年倶楽部 - 踏切【Music Video】

https://www.youtube.com/watch?v=vYGpG2IvaIs

 

くるり - 「赤い電車」 ~わたしにとってのくるり~ 京急電鉄品川駅 

https://www.youtube.com/watch?v=aFWrxCLaZW0

 

赤い電車 (covered by 3page)

動画についているコメントが良いですね!

『絵おかしいですよ、2100形羽田空港行きませんよ、快特では、なく、エアーポート快特です。』

『ご指摘ありがとうございます。でも、実はあるんです。どちらかというと「1H」がおかしいです。「1A」とすべきでした。「快特 京急 羽田空港 2100」で検索してみてください。(作者より)』

https://www.youtube.com/watch?v=9SGR0EDpF8Y

   

<参考記事>

 

tasogarete.hatenablog.jp

business.nikkei.com

gendai.ismedia.jp

www.itmedia.co.jp 

  

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