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【ブラック校則】Anly「MANUAL」の”地毛点検”プロテストに振り返る公民権運動・人権・福祉の歴史【ソウル・ファンク・ロック】

 

 

ロックンロールについて書くつもりでしたが、大それたタイトルを入れてしまいました。ですので、香港情勢関連について触れます。

 

2019年8月下旬、香港の政治的混乱は 依然収束のめどが立っていません。

 

なぜ、香港市民は、『長いものに巻かれず』、大陸(中国共産党政府)に対して強く抗議しているのでしょうか?

 

その背景には、香港には、東アジアでありがなら、過去のイギリスによる統治によって西側(イギリス)の価値観が定着していることがあります。

 

かなり乱暴にはしょって世界史の話をします。

 

西側=欧米社会の価値観では、人権、民主主義、自由等は、最重要なものとして、法律やルールや伝統や慣習より上位のものとされます。時には国よりも上位に位置されることがあります。

 

欧州の市民革命、アメリカの独立戦争(対イギリス)のように、欧米の近代社会は、そもそも、圧政を敷いて統治していた国(王政)や宗主国を、蜂起した市民が打ち倒すことによって成立しました。

 

国(圧政や宗主国)の法律・ルール、『言うこと』を守るどころか、圧政をひっくり返す行動を正当化する理論武装としても、人権、自由、民主主義等は、侵してはならない重要なものとして、最上位に来る必要があるのです。

 

一方、東側の価値感、例えば東アジアでは、お上に従い、年長者を敬い、『和をもって尊し』とし、『空気』を読んで、長いものに巻かれるという、儒教道教や生活に根差した知恵が定着してきました。その土壌、生活の知恵の上に、アジア型専制が敷かれることがしばしばあります。

 

香港情勢においては、お上=中国共産党は、法の手続きに従って、人民解放軍を介入させることによって、香港に戒厳令や非常事態宣言を敷いて、通信や移動や集会等を大幅に制限し、混乱を鎮圧することも可能です。

  

しかし、その事態は、お上(中国共産党政府)が、香港市民にとって、”お上より重要な”人権、自由、民主主義を侵害することとなります。

 

それは、まさに、東側世界で一番偉い権力=従うべき『お上』という存在と、西側世界で一番重要な概念=人権、自由、民主主義が真っ向から激突する事態です。

大陸(中国共産党政府)と香港市民の価値観の衝突は、大変な混乱と禍根、そして世界の金融センターである香港からの資本の逃避等の世界経済の混乱を引き起こす危険性があります。

 

西側の価値観=人権、民主主義、自由等については、現代の西側代表、太平洋戦争で日本が無条件降伏したアメリカ合衆国の大使館が、「日本のおともだちのみなさん、読んでおいてくださいね。」とアメリカ合衆国の歴史と成り立ちの倫理、ロジック等について日本語に翻訳した文書を公開しています。

  

◆民主主義の原則

americancenterjapan.com

◆民主主義の原則 - 8.人権

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すべての人間は、何ものにも侵されない権利を持って生まれる。この人権は、人々に尊厳ある生活を追求する権利を与える。いかなる政府も人権を付与することはできないが、そうした権利を保護しなければならない。正義、寛容、尊厳、尊敬、法規範の上に築かれた自由は、民族、宗教、政治的所属団体、社会的地位に関係なく、人々が基本的権利を追求することを可能にする。独裁政治は人権を拒否するが、自由な社会は常に人権の実現を目指す。

 

東アジアの社会においては、隠然として人間関係や社会を支配する倫理・道徳には儒学由来の思想・哲学に根差すものがあります。

 

例えば、儒学孟子は、秩序ある国・社会・地域・家庭を作る上で重要なことは、親や年長者に対する崇敬の念、即ち「孝悌の心」であると説いたとされます。

 

ゆえに、子どもとは親に従うべきものであり、親の立場からすれば子どもは従わせるべき存在であり、もっといえば親は子どもを自由にしてよい、行き過ぎれば親の付属物であるともなります。

 

重大な罪を犯した子どもを、親が『責任を取って』殺傷することを「道徳的」に納得できるというような意見が出る背景です。

 

年上の者を敬い従うことが重要な社会規範である儒教の影響を受けた社会では、親殺し(尊属殺人)は最も倫理に反することであり、昔の日本では、死刑または無期懲役と特別に重い罪に処せられました

 

家庭、学校、地域、職場(会社)、そして国(国家)へと、それぞれの単位(コミュニティ)において、家父長の権威に従うという秩序維持のシステムが階層的に成り立っているのが東アジア型社会です。

 

一方、西側では、アメリカ大使館が「日本のおともだち読んでおいてね」と訳文を載せる『民主主義の原則』‐『人権』において、『すべての人間は、何ものにも侵されない権利を持って生まれる。』とあります。

 

児童虐待』が起きると、アメリカでは行政が積極的に介入して親の親権を制限します。一方、日本では行政の介入が遅れ、手遅れになる事件が続き社会問題となっています。

 

児童虐待に関して、西側の考え方だと、子どもは生まれながらに人権を持っており、何人たりとも(親といえども)子どもの人権を侵害してはならないという認識があります。

この認識に従って、親がこどもの人権を侵していれば、行政は直ちに子どもの人権を守るために介入する(しなくてはならない)という行動に出るのです。

 

一方、日本では、秩序・ルールの根本が目上の者、家父長を敬い従うことですから、親が子どもを虐待していても、家庭内のこととして、どうしても対応が遅れがちになります。

 

 

沖縄出身のシンガーソングライターAnlyの「MANUAL」は、『ブラック校則』として話題になった、学校(主に高校)が、茶色、栗色の髪の生徒に黒く染めることを強いる問題(『地毛点検』『地毛申請』『地毛証明書』等)について抗議する現代の『プロテスト・ソング』です。

 

西側の価値観では、髪の質や色は、本人が生まれながらにして持つ特質であり、それを強制的に変化させることを強いるのは明白な人権侵害です。

 

生まれながらにして持つ人権が侵されているので、指導・ルールを改めさせることが『正義』になります。

『正義を実現する』のために、個人あるいは集団で「髪を染めろ」という指導を拒否したり、授業をボイコットしたり、それでも応じない場合は、エスカレートして学校をロックアウト(閉鎖)したりの手段を取ることによって、誤ったルール・指導を改めさせることこそが、『正しい』ことになります。

 

1960年代以降の、アメリカのソウル、ファンク、ロック等のポピュラー音楽は、理不尽な差別、人権侵害に対する抗議・異議申し立て、闘争と密接に関わり合い、表裏一体として発展してきた歴史があります。

 

 

世界のそれぞれの地域、国、社会には、歴史的発展の経緯や宗教や伝統、週間によってそれぞれの様々なルールや考え方があります。

 

家庭、学校、地域、国のそれぞれのコミュニティで『お上』の言うことには、例え理不尽なことであっても従うのが社会秩序の基本だとする考え方。

 

人間は生まれながらにして侵されざる人権を持っており、人権が侵害されている状態は時に闘ってでも正していくことが正義であるとするのが社会の基本だとする考え方。

 

 

アメリカと日本の女性シンガーソングライター、アニ・ディフランコの「PLAY GOD」とAnlyの「MANUAL」のそれぞれの楽曲のMVを視聴しながら上のようなことを考えました。

 

  

◆Play God - Ani DiFranco (Official Music Video)  

アニ・ディフランコがボードにマーカーで書いているメッセージは、『VOTE DAMMIT』=『投票せよ』、『REPRODUCTIVE FREEDOM = CIVIL RIGHTS!』=『性の自己決定権は公民権である』等。

www.youtube.com

 

◆Anly 『MANUAL』リリックビデオ 

自らの経験を基に、地毛点検、黒毛染強制等について問題提起するプロテストソングでもあります。

www.youtube.com

 

◆映画【ブラックパワー・ミックステープ~アメリカの光と影~】予告編   

アフロヘア―のカリスマ性ある女性が、公民権運動のアクティヴィスト(活動家)のアンジェラ・デイヴィス。1970年にアンジェラが逮捕(後に無罪判決が出る)された際に、ロック界は、ジョン・レノン&ヨーコ・オノの「Angela」やローリング・ストーンズの「Sweet Black Angel」等、アンジェラを支援・支持する曲を発表しました。ローリング・ストーンズの名曲「アンジー」にも、アンジー=アンジェラ・デイヴィス説があります。

www.youtube.com

 

 

twitter.com

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アメリカ大使館が、日本のおともだちに、「アメリカについて学んでくださいね」と翻訳を載せているドキュメントの中に、アメリ公民権運動についての文書が多く掲載されています。

 

キング牧師「私には夢がある」 

americancenterjapan.com

公民権に関する声明

americancenterjapan.com

◆米国の公民権運動

americancenterjapan.com

◆米国の歴史の概要-変動の時代(カウンター・カルチャーであるロック、ソウル、ファンク等が興った時代について)

americancenterjapan.com

1960年代には、それまで表に出なかったグループあるいは従属的な地位にあったグループが、より積極的に主張をし、力をつけ始めた。それは、アフリカ系米国人、アメリカ先住民、女性、「新移民」の白人少数派の子孫、そしてラテン系米国人などであった。彼らを支持したのは、かつてない規模の若者人口であった。こうした若者たちは、これもかつてないペースで拡大する全米各地の大学で学んでいた。第2次大戦世代の親から生まれた子どもたちの多くは、「対抗文化」と急進的な政治思想を支持し、文化的・民族的多元主義を特徴とする新しい米国を推進した。これは親の世代にとっては不安なことであった。

ここに記述されている『対抗文化』(カウンターカルチャー)がロックであり、ソウルであり、ファンクなのです。そしてカウンター・カルチャーのアイコンが先日亡くなった俳優、ピーター・フォンダなのです。

 

これらの経験を経て、現在の人権、民主主義、自由を重んじる『西側』の世界、社会、価値観があり、ソウル、ファンク、ロック等のポピュラー音楽があります。

 

 

◆Ani DiFranco: NPR Music Tiny Desk Concert  

https://www.youtube.com/watch?v=T7xWl50pKyo

 

◆Anly「Venus」超絶ルーパー演奏@渋谷CLUB QUATTRO   

https://www.youtube.com/watch?v=HsKOicWGJB4

 

◆Anly「エトランゼ」 Live from Anly"LOOP" Around the World ~Track 1~

https://www.youtube.com/watch?v=MR4sJQVjWHU

  

◆Anly 『Moonlight』MUSIC VIDEO

https://www.youtube.com/watch?v=bWFcHivK3K4

  

◆Suzanne Vega - Luka (Official Video)

児童虐待について歌ったスザンヌ・ヴェガの大ヒット曲。

kokoro-mahiru.org

https://www.youtube.com/watch?v=VZt7J0iaUD0

 

 

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