人類も文明も文化も、ある朝起きたらいきなりビッグバンが起きて発生したわけではありません。
この世の中に存在するすべてのものには、前史があり、存在するための必然があるのが常です。
したがって、昨年から『タイで人気爆発、AKB48の姉妹グループ!』等と日本でも伝えられる機会が増えたタイの人気アイドルグループBNK48も、ある朝突然、爆発により発生したものではありません。
BNK48の前史とは何でしょうか。
ここで、いずれもアジアで制作されたポピュラーミュージックの3本のMVをご紹介します。
国は、韓国(K-POP)、日本(J-POP)、タイ(タイポップ)です。
そして、三ヵ国の3曲のMVは、アメリカの1960年代から1970年代初期にかけての黒人エンターテインメントの演出に対するオマージュを基調としていることが共通しています。
例えば、人気TV番組『ソウル・トレイン』的な世界観のオマージュです。
取り上げる3曲は、
①Wonder Girls 「NOBODY」(2009)
②AKB48 「涙のシーソーゲーム」(2010)
③Kiss Me Five 「Showtime」(2012)
です。
まず、①のWonder Girls (ワンダーガールズ、ワンガ)についてですが、韓国3大芸能事務所の一角であるJYPエンターテインメントとJYPの創業者、パク・ジニョンプロデューサー(以下パク・ジニョンP)についての解説が必要になります。
ですが、長くなってしまいますので、パク・ジニョンP(そしてWonder Girls)については以下のエントリーをごらんください。
では、なぜ、BNK48のビッグバン前史の説明をK-POPのWonder Girls(ワンダーガールズ、ワンガ)から始めるのでしょうか?
一つ目の根拠は、以下のタイの英字紙『The Nation』のタイの新世代アイドル特集です。
記事中、タイの新世代アイドルグループとして注目されているFeverのBeamBeamが答えています。
BeamBeamは、BNK48の第一期生オーディションに合格したものの辞退し、タイ・スマイル航空のCAとして勤務した後に、芸能界にカムバックし、人気アイドルグループFeverのメンバーとして活躍しています。
BeamBeamは、アイドルを目指した動機として、Wonder Girls (ワンダーガールズ、ワンガ)のカバーダンスチームで活動していたことを述べています。
もう一点は、2010年代前半に活躍したKamikazeレーベル(日本のハロプロみたいに様々な派生ユニットがありました)のアイドルグループ、Kiss Me Fiveの 「Showtime」MV(2012)です。
本MVを観ると、そのモチーフにK-POPのWonder Girls 「NOBODY」MV(2009)の影響を感じます。
Kiss Me Fiveは、5人のオリジナルメンバーが4人になっても活動を継続するグループのヒストリーを含め、衣装、演出等いろいろとWonder Girlsからの強い影響を感じるんですよね。
また、AKB48 「涙のシーソーゲーム」(2010)には、もしかしたら、前年(2009)、アメリカで泥臭く奮戦していたJYPチーム(パク・ジニョンPや後の『防弾少年団・バンタン・BTSの父』パン・シヒョクPら)とWonder Girlsへのエールやアンサーのニュアンスがあるかもしれませんね。
◆Wonder Girls 「NOBODY」(2009)
Wonder Girls "NOBODY (Eng. Ver)" M/V - YouTube
【MV full】 涙のシーソーゲーム / AKB48 [公式] - YouTube
◆Kiss Me Five 「Showtime」(2012)
[Official MV] Ab (แอ๊บ) - Kiss Me Five Showtime - YouTube
◆Martha and the Vandellas 「Dancing in the Street」(AMERICAN SOUL)
Martha and the Vandellas Will Have You ‘Dancing in the Street’ | AMERICAN SOUL - YouTube
◆Martha and the Vandellas 「Dancing in the Street」
(Ed Sullivan Show on December 5, 1965)
Martha & The Vandellas - "Dancing In The Street" - YouTube
◆Moon Shoes Boogieland
これを観ると、安室奈美恵 with SUPER MONKEY'S(スーパー・モンキーズ)も、K-POPも、EXILEも、ルーツはここ(黒人音楽)であろうという風に感じます。
Moon Shoes Boogieland - YouTube
◆Fever「Start Again」@Idol Expo 2019 (Debut concert)
米マーサ&ザ・ヴァンデラスから時代が54年ほどたって例えば今年はタイのアイドルグループFever。
エンディングのBoss(メンバー)のフェイクを聴くとこれは確かに2019年のソウルですね。
Fever - Start Again Idol Expo 2019 (Debut concert) - YouTube