タイで国民的人気を誇るAKB48の海外姉妹グループのBNK48は、2018年大晦日の紅白歌合戦でのAKB48との「恋するフォーチュンクッキー」コラボレーションを通して日本国内でも注目を集めました。
2019年1月中旬、突如、BNK48の『多国籍化構想』が報道されました。
BNK48と関係の深いTV局の『WORKPOINT NEWS』が、第3期生募集の対象をカンボジア、ラオス、ミャンマーに広げる構想があること、まず最初は、カンボジアでスタートし、プノンペンのTV5と話を進めていること、3月6日にBNK48キャプテンのチャープランを含むメンバーとともに発表を行う予定があることなどを報じました。
次いで、『文春』の英字サイト、『イングリッシュ・シューカン・ブンシュン』が『BNK48の多国籍化構想』について2本の記事を掲載しました。報道内容に関しては、『WORKPOINT NEWS』の報道と相違する内容は含まれていないように見えます。
以前のエントリーで、アイドルグループが外国市場に進出するには、多国籍化は有効な戦略だがお金がかかることについて、バンタン(BTS、防弾少年団)とバンタンのパン・シヒョクプロデューサーの”古巣”、JYPエンターテインメントのパク・ジニョンプロデューサー&TWICEを例に書きました。
海外進出するうえで、多国籍化は正攻法ですが、お金、時間もかかるのです。
タイのアイドルグループ、BNK48は好調なタイ経済に支えられ人気を拡大してきました。
BNK48人気が爆発的に拡大した期間は、タイの経済成長率が潜在成長率とされる4.0%を超える好景気が続いていました。
しかし、ここにきて、世界銀行はタイの年間成長率予想を3.8%と発表しています。
ASEAN経済、タイ経済においても、米中貿易戦争等の影響も下振れ要因として考えざるを得ない状況となっています。
経済成長率が下がる予想のもとでは、タイ国内市場にたてこもるなど『守り』に徹する戦略もある中、お金もかかり、リスクもある多国籍化構想が浮上した理由はなぜでしょうか。
もちろん、今回報道されたカンボジアとのコラボレーションの件は、相手企業名も報道されていますので、従前より水面下で交渉は行われてきたと推測されます。
ただし、ラオス、ミャンマーの2か国に関しては、具体的パートナーや交渉の進展状況については未知数です。
(報道が事実であれば)もちろん総合的・中長期的に『外国(近隣諸国)進出の商機あり』と判断したということと推測します。
また、短期的には、2019年1月27日に、タイ・バンコク・インパクトアリーナで初めて開催される『AKB48グループアジアフェス』(正式名称は、『AKB48 Group Asia Festival 2019 in Bangkok Presented by SHANDA GAMES』)への側面支援の効果も期待できるかもしれません。
『AKB48グループアジアフェス』は、先に日程が決定していた前日2019年1月26日に開催されるBNK48の第一回選抜総選挙に連続する日程で開催され、AKB48、JKT48、BNK48、MNL48、AKB48 Team SH、AKB48 Team TP、SGO48の7グループが参加する初の大型イベントです。
タイ国内のBNK48ファンの(懐)事情は、前々から予定されている前日のBNK48選抜総選挙に資力を全力投入せざるを得ないため、年末年始の時点の状況では、『AKBグループアジアフェス』の集客にはてこ入れが必要な状況があったようです。
また、現在のタイ国内のBNK48のファンは、AKB48のファンからスライドしてきた初期のファンより、BNK48を初めて知ったファンが多くを占めており、海外の姉妹グループの知名度は必ずしも高くありません。
こうした状況のもとで、BNK48の4か国多国籍化構想が浮上しました。
BNK48多国籍化構想浮上が、タイ、カンボジア、ラオス、ミャンマーはじめASEAN各国での、AKB48グループ全体とAKBグループアジアフェスの知名度および関心の向上を促進することを期待します。
◇BNK48による『AKB48グループアジアフェスティバル2019』PR動画
◇BNK48多国籍化報道、タイの多国籍型アイドルグループについて
◇イングリッシュ文春報道
BNK48 seek new record by recruiting girls in 4 countries - Bunshun English
BNK48 3rd generation audition to be held in Cambodia - Bunshun English
◇BNK48現象に対するタイの地場・民族系ロック界からのフィードバック
日本国内では、AKB48グループに対する風当たり・批判は強いようです。タイでは『BNK48現象』に対し、インディーズロック界が総結集し新アイドルグループ(例『FEVER』等)をぶつけてくるなど(この後はラウドロック系アイドルグループのAKIRA-KURØ [明黒Ø]が控えています。)ポップス/ロック界からのプラスのフィードバックが起こっています。ポップス/ロックファンとして、報道されているカンボジア、ラオス、ミャンマー等でも、ジャパニーズアイドルの種がまかれ、ユニークなフィードバックが起こることを期待しています。
◇AKIRA-KURØ [明黒Ø]
◇NGT48報道について