音楽雑誌の新年号の感想等 ~ 「We're not Gonna Take It」。

昨年暮れに、日本のデス・スラッシュ・メタル・バンド、兀突骨(Gotsu-Totsu- Kotsu) のインタビューを読むために、メタリカが表紙の「BURRN!」を購入しに書店へ行きました。その時に、他の音楽雑誌の新年号もちらっと拝見させていただきました。雑誌は、(「YOUNG GUITAR」「ミュージックマガジン」「rockin'  on(ジャパンでない洋楽雑誌のほう)」)。

以下はその感想コメントです。(すでに2月号が出ている雑誌もあります。)

 

○「BURRN!

兀突骨(Gotsu-Totsu- Kotsu) のインタビュー記事の感想は別記事に書きます。

HR/HM(ハードロック/ヘヴィメタル)専門誌の「BURRN!」、少し意外に感じるほど、米大統領選挙に関する情報量(米発記事等)が多かったですね。米芸能界の様子を見ると、「旗幟鮮明」、自分の支持する政党や候補者を鮮明にするのが、アメリカの音楽界や映画界に属する人の基本姿勢みたいに感じます。それだけに、結果には悲喜こもごもで、余波が様々あるようです。

BURRN!」の記事で初めて知ったことです。ヘヴィメタルバンドのトゥイステッド・シスターのフロントマン(ボーカル)のディー・スナイダーは、ドナルド・トランプ次期大統領と私生活で友達のようです。それもかなり仲の良い感じです。

どういう経緯でディー・スナイダーとドナルド・トランプさんが友人関係になったのかは、ちょっと日本語の情報を検索した限りでは、わかりませんでした。この2人には、本業(ディー・スナイダーはヘヴィメタルバンドのボーカル、ドナルド・トランプさんは不動産業の経営者)以外で、突出したキャラクターを売りに、テレビタレントとして高い人気を得てきたという共通点があります。この点が鍵になっているのかもしれません。

ディー・スナイダーの発言からは、「ほんとは、友人としてのドナルド・トランプは、あそこまで排他的なコワモテの思想を持つようなやつじゃないんだ」というような戸惑いのニュアンスが感じらるところもあります。ディー・スナイダーは、ロシア系ユダヤ人として迫害から逃れるためにアメリカに逃れてきた祖父の血を受け継ぐことから、移民排他的な発言に行き過ぎだと感じているほか、多くの選挙戦の発言とは相いれない(反対の立場)であるというニュアンスが述べられています。

多分に選挙戦を勝ち抜くための演出もあったということなのかもしれません。

○「rockin'  on」

ロキノン系”という音楽用語を産んだJAPAN(ジャパン)ではなく、洋楽雑誌の「rockin'  on」のほうです。米大統領選挙関係の記述はほとんどありません。一か所(数行)だけ、「渋松対談」(社長の渋谷陽一さんと文筆家の松村雄策さんの対談)のコーナーで、話題をそらすために、全く関係のない人名を出す”材料”としてボブ・ディランノーベル文学賞受賞)とドナルド・トランプ(次期大統領)の名前が出てきます。

○「YOUNG GUITAR」

表紙がドイツのハードロック/ヘヴィメタルバンドの重鎮、スコーピオンズで、巻頭がエドワード・ヴァン・ヘイレン。ミュージシャンの名前だけ聞くと、40年前の雑誌でも通用するかもしれません。

そして、2016年11月の「2016楽器フェア」(於東京ビッグサイト)でのヤマハLM楽器販売50周年記念イベントとして行われた“YOUNG GUITAR × Marshall Girls Play LOUD!~Hard Rock & Heavy Metal Tribute Session~”のカラー記事。このイベントには、SAKI(Mary’s Blood)さん、魚住有希さん、Li-sa-X(リーサーエックス)さん、野間遥(ASTERISM)さんが出演されています。

このイベントで、ギタリストの魚住有希さんは、なんと、フィギュアスケート羽生結弦選手が使用したことで日本でもロック・インスト曲のスタンダードとなったゲイリー・ムーア(元シン・リジィ)の「パリの散歩道」を演奏されたそうです。
魚住有希さんが弾く「パリの散歩道」、相当な良い出来だったようで、記事では「チョーキングビブラート」について述べられています。

○「MUSIC MAGAZINE」(ミュージック・マガジン

アルバム・レビューで、原田和典さんによるBAND-MAID(バンドメイド)のメジャー1stアルバム「Just Bring It」(2017年1月11日発売)のショート・レビュー記事が掲載されています。今まで見たBAND-MAID(バンドメイド)のレビュー記事の中で、初めて「芸能ニュース」的情報の影響を受けていない記事かもしれません。

原田和典さんは、雑誌「ジャス批評」の元編集長で、ジャズ、ブルース、ロック、歌謡曲、アイドルに詳しい方のようです。短文ですが、音源を聞いただけで、バンドの音楽的本質を把握されています。文の最後の方で、「ライブではメイドの扮装で登場するそう」と付け加えるところが、視覚情報による錯覚や思い込みを排して、音源のみで判断する姿勢がわかります。

冒頭のトゥイステッド・シスターのディー・スナイダー(パンク、ヘヴィメタル、日本のビジュアル系等のルーツであるニューヨーク・ドールズのわかりやすい直系)のように、異装してロック音楽を演奏するというのは何十年も続く英米芸能界の伝統芸です。

ロックのコスプレのルーツが、19世紀半ばのミンストレル・ショー(ミンストレル・ショーの音楽はジャズの発祥のひとつとされる)まで遡るのかどうかは私にはわかりません。原田さんは、アメリカの大衆音楽全てに通じているだけあって、外見には全く惑わされず音楽の本質を見ようとしてますね。

BAND-MAIDの小鳩ミクさんには、少し、マルコム・マクラーレンニューヨーク・ドールズセックス・ピストルズにスタッフとして関わり、ロック音楽の流れに大きな影響を与えた仕掛け人)に通じるセンスを感じるところがあるんですよ。

数年前、BABYMETALのプロデューサーであるKOBAMETALが、日本のマルコム・マクラーレン的な人物かと思いました。マルコム・マクラーレンが手掛けたBow Wow Wow(バウ・ワウ・ワウ)が、デビュー当時14歳の女性リードボーカルをフューチャーしていたところなどもそう感じたポイントでした。

でも、やはり、東証一部上場企業のハウス・プロデューサーを。「ロックンロールの詐欺師」呼ばわりしては、コンプライアンス上大問題なわけです。

BAND-MAIDの小鳩ミクさんには、”トリッキーな仕掛人”と捉えられるストレスもリスクも引き受けていこうとする覚悟を感じます。

勝負師(ギャンブラー、競馬がとてもお好き)なところも、ショービジネス向きかもしれません。

たぶん、マルコム・マクラーレンという人は、「度肝を抜く奇天烈な恰好をしたこのバンドで、世間を騒がせ、大きく当ててやる!」と何度も勝負した人なんだと思いますしね。

 

□ロック・ミーツ・クラッシックス フィーチャリング ディー・スナイダー:「We're not Gonna Take It」
サッカーJリーグチームのベガルタ仙台のチャント(応援歌)としても有名なトゥイステッド・シスター (Twisted Sister)の代表曲「We're not Gonna Take It」。イベントで、ボーカルのディー・スナイダーがソロで熱唱。

https://www.youtube.com/watch?v=k-jhzr-bIXM

 

(20170106)