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「生きていたんだよな」のあいみょんが看破したオトコ心って? ジョン・サイクス、プリティ・メイズ「行かないで」


「男の人って、いつまでもひきずるんですね。」

「・・・・・・。」

 

 夜の11時過ぎでした。場所は、駅前のファミレスです。遅くまで営業しているので。

「女性は上書き保存、男性は名前を付けて保存。」
とか言われることありますよね。

半導体メモリの仕様の違いみたいなものです。」等としょーもない言い訳をすると余計墓穴を掘りそうだったので、あんまり、しゃべらなくても良いように、食事の方に集中しているようにふるまおうとしました・・・。

あんまり、味わかんないですよね。こういう状況だと。「何食べているんだかわからない」って感じになります。


日本のロックバンド、BAND-MAID。ハードロック曲の「thrill」で海外から注目を浴びたことをきっかけに日本でも知られるようになりました。

「ハードロックでメイド?、プリティ・メイズ (PRETTY MAIDS)のバンド名の引用かな?」と思った人が日本に300人位いるはずです、たぶん。少なくとも私は思ったので、1人はいましたよ。


実は、プリティ・メイズ(PRETTY MAIDS)とBAND-MAIDのバンド名には特に関係はありません。

デンマーク出身のヘヴィメタルバンド、プリティ・メイズ(PRETTY MAIDS)。キャリア35年の老舗。カバー曲のセンスが非常に良い(音楽センスが良い)ことは、強みにもなりました。反面、最大のヒット曲「PLEASE DON'T LEAVE ME(行かないで)」がカバー曲であることは、バンドのイメージや音楽性の制約になった面もあります。

ジョン・サイクスという、HR/HM(ハードロック・ヘヴィメタル)を代表するギタリストがいます。作曲とギターの名手で、黒のギブソンレスポール・カスタムがトレードマーク。タイガース・オブ・パンタン、シン・リジィホワイトスネイク等の人気バンドをエレキギターを抱いて渡り歩いてきました。特に日本では、今でもとても人気の高いギタリストです。

ジョン・サイクスの十八番が、「PLEASE DON'T LEAVE ME(行かないで)」。1982年に、ジョン・サイクスのソロとしてシン・リジィのフィル・ライノットを客演ボーカル/ベースに迎え録音した曲です。シングルとして発売しましたが、発売時にはこの曲はヒットしていません。したがって、一般のポップスファンには知られていない、知る人ぞ知る名曲といった感じでした。

ところが、10年後の1992年に、シン・リジィの熱心なファンでもあったプリティ・メイズ(PRETTY MAIDS)がこのバラードをアルバムに収め、シングルとしてリリースしたところ、世界中でヒットします。

曲のヒットを受けて受けて、ジョン・サイクスのオリジナル版を含むコンピレーション・アルバムが、ほぼ10年ぶりに、「PLEASE DON'T LEAVE ME」のタイトルで発売されます。

 

プリティ・メイズ(PRETTY MAIDS)は、他に、KISSのカントリーロック調のヒット曲、「ハードラック・ウーマン」もカバーしています。

KISSの「ハードラック・ウーマン」は、ポール・スタンレーのソングライティングによる作品で、もともとは、イギリス出身のロックを代表する歌手、ロッド・スチュアートに提供して歌ってもらうことを念頭に書いた曲だそうです。曲の出来栄えが素晴らしかったため、KISSのドラマーのピーター・クリスが歌い、シングルカットされヒットしました。

 

男性ロック歌手の2トップは、ポール・ロジャースとロッド・スチュアートと言われます。私は、このお2人の歌った曲では、リズム&ブルース色の強い曲・歌唱では、ポール・ロジャース、トラッド・フォーク調(アコースティック度が高い)の曲ではロッド・スチュアートに特に魅力を感じます。

ついさっきまで、ヘッドホンでロッド・スチュアートのアルバム「エヴリ・ピクチャー・テルズ・ア・ストーリー(Every Picture Tells a Story)」(1971年)を聞いていました。本当に良いアルバムです。ロッド・スチュアートは、半世紀近くロックというジャンルの歌手のトップであり続けています。日の出の勢いの若いピークの時の作品のクオリティ、勢い、表現力、魅力はもの凄いものがあります。

ロッド・スチュアートを聞いていて、プリティ・メイズ(PRETTY MAIDS)のボーカルのロニー・アトキンスは、「もし、ロッド・スチュアートが「ハードラック・ウーマン」を歌ったら」というコンセプトで、KISSのこの曲を歌っているのではないか?と思って聞いてみました。

結果、・・・・・判らなかったですね。

KISSのオリジナル版のピーター・クリス(ds、vo)の歌唱をわりと忠実にカバーしているようにも聞こえます。

そもそも、ピーター・クリスの歌唱自体が、ロッド・スチュアートの歌唱の影響を強く受けているのような気もしました。
(ピーター・クリスは否定しているようですが、幾度となく聞くうちに影響を受けているということは可能性ありますよね。)

 

プリティ・メイズ(PRETTY MAIDS)についての別な話題です。

日本の一部で(3人くらいの方かもしれませんが)、「プリティ・メイズ(PRETTY MAIDS)のロニー・アトキンスの歌唱は、浜田省吾さんに似ている!?」という意見があって、これには「ええっ?」と、びっくりしました。


結果は、「歌唱というより、曲調が似ている」ということに落ち着いたようで、そういうことならばまぁわからないこともないです。

プリティ・メイズ(PRETTY MAIDS)のヒット曲、「PLEASE DON'T LEAVE ME(行かないで)」を聞いた人の中に、浜田省吾さんのバラードを思い起こした人がいるということかもしれません。

例えば、コンピレーションアルバムの「Sand Castle(サンド・キャッスル)」(1983年)「Wasted Tears(ウェイステッド・ティアーズ)」(1989年)「EDGE OF THE KNIFE(エッジ・オブ・ザ・ナイフ)」(1991年)に収録されているような、浜田省吾さん一流のマイナー調のバラードを連想されたのかなぁと。

具体的な曲は、もしかしたら、「陽の当たる場所」(1981年)や「LONELY~愛という約束事」(1985年)等。

 

人は、自分の持っている「型」でものごとを認知します。初めて(おそらくラジオやディスプレイから流れる)プリティ・メイズ(PRETTY MAIDS)の「PLEASE DON'T LEAVE ME(行かないで)」を聞いた方が、”浜省みたいなマイナーバラード”という型で処理して認知されたのでしょうか。

この型って、「生きていたんだよな」で、話題のシンガーソングライター、あいみょんさんが、「男性目線のラブソング、ソングライティングとは女々しさである」と本質を看破したことにつながるところがあるように思うんですよね。

 

だって、長髪で革を強調した衣装を着たようなヘヴィメタルバンドの成人男性が、歌い、演奏する曲の内容が、「行かないで」「どうして他の男の元へいってしまったんだ」「俺を置いて行かないで・・・」ですよ。

決して、男性バンド、男性歌手をディスっているわけではないですよ。

女性と男性の「脳」の違い、考え方、行動、生き方の違いのことのような気がしてきました。

 

あいみょんさんは、浜田省吾さん、平井堅さん、河島英五さん、吉田拓郎さん、槇原敬之さん、尾崎豊さん、スピッツBOØWYら主に男性シンガーソングライター/男性バンドの曲を研究されました。

この男性ミュージシャンのソングライティング=オトコ心の研究によって、男性の脳の性質、行動特性を見抜き、成果発表としての”男性目線のどうしようもなく女々しいラブソング”のフェイクを作ってみたのかもしれません。


その曲とは、あいみょんさんのアルバム「憎まれっ子世に憚る」中7曲目(ラスト)の「ほろ酔い」。

あいみょんさんのフォーク調の「ほろ酔い」(尾崎豊さん、河島英五さん調との評判)の歌詞と、海外のヘヴィメタルのヒット曲「PLEASE DON'T LEAVE ME(行かないで)」の日本語訳詞を読んで、あいみょんさんの本質看破に、黙るしかなかったですよ。

 

これでもかとリフレインされる、男性目線の女々しさ、情けなさ、停滞、執着心。

 

「PLEASE DON'T LEAVE ME(行かないで)」の方は、”お酒でごまかす”表現はないんですけど。それは、欧米社会と日本社会のアルコールに対する寛容さの差が背景にあるのかもしれません。

本質を看破したからこそ、対象に肉薄する(クオリティが対象に匹敵しなければパロディは成立しないですから)フェイク、パロディが作れるわけで、あいみょんさんの批評性には脱帽しました。

 

次の行で引用するのは、最近車でよく聴いている、ガールズバンド、SORAMIMI(ソラミミ)の「君のせい」の歌詞(作詞:YAKA、角野寿和、青葉絋季)の中の一節なんです。

『 年上のくせにさ ケチでズルくて弱虫 喧嘩したらすぐ泣くし そのくせいつも頑固だし・・・  』

てか、この男性の言われ方、ほとんどボロクソというか、最低ですよね。


でも、この歌詞が共感されるということは、男が強がって、生きる拠り所としてこだわりを持っているつもりの姿というのは、案外、女性からこういう風に見えていることがあるのかもしれません。

 

まぁ、女性の音楽家から男性がどう映っているかはおいておいて、私は男性なんで、フィル・ライノット、プリティ・メイズ、ジョン・サイクス(自身のバンド、Blue Murder名義)の歌う「PLEASE DON'T LEAVE ME(行かないで)」、大好きです。


弱さ、もろさ、女々しさの反転、あるいは、それを隠すための益荒男振り(ますらおぶり)こそが、ロックである、あるいはメタルであると看破されるならば、それも一つの解釈として、受容すべきではないかなとも思います。

 

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□プリティ・メイズ(PRETTY MAIDS)「マイ ソウル トゥ テイク(My Soul to Take)」(2014年)
MV(ミュージック・ビデオ)には2013年の日本公演の映像が使われています。昨年(2015年)は、プリティ・メイズが次に来日する時は、名前が似ているというシャレ心で、BAND-MAIDをOA(オープニングアクト)として起用してほしいなとも思っていました。(同じことを言った人が何人かいました。)BAND-MAIDは、”2016 Classic Rock Awards”で、"Japan Next Generation"という特別の賞を獲得する等、欧州のロック界から注目されるバンドになっています。共演する機会があったら、OAでなく、2マン対バンで行けそうな気がします。
https://www.youtube.com/watch?v=tQ1FUkxgWZc

□プリティ・メイズ(PRETTY MAIDS)「フェイス ザ ワールド(Face The World)」
2016年11月にリリースされた15thアルバム「KINGMAKER」収録曲。数十年の伝統のアリーナ・メタル(商業ロック)サウンド。
1980年代のMVには、”オープンカー”が小道具として高い頻度で登場しました。2000年代以降は、オープンカーは、黎明期のMVの典型的な演出のパロディとして登場することが増えたような気もします。でも、HR/HM(ハードロック・ヘヴィメタル)音楽も、30年、40年と演奏し続ければ、季節を問わずティアドロップ型のサングラスをかけてオープンカーを運転しても、誰からも文句言われなくなります。年金受給権みたいなものかもしれません。
https://www.youtube.com/watch?v=gR6hWoRgBDQ

SION(シオン)「あまった優しさ」
トム・ウエィツやSION(シオン)の「酔いどれ男の美学」に心酔する男性は昔から少なくありません。でも、一般人がトム・ウエィツやSION(シオン)の真似のつもりで、昼間から酔いつぶれていると、ふつうは愛想をつかれます。
あいみょんさんが非常に好きそうな曲調。
https://www.youtube.com/watch?v=z_rq2jBxSHA

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