(2020. 8. 1更新)
LoVendoЯ(ラベンダー)ライブ初参戦は、全国ツアー「LoVendoЯ LIVE TOUR 2016 ~POWEЯ!」のファイナル公演、かつLoVendoЯ(ラベンダー)の記念すべき100回目の公演、翌日はメンバーのおかまりこと岡田万里奈さんの誕生日ともあって、お祝いムードで終盤まで進みました。
LoVendoЯ(ラベンダー)はトークが上手い!。毎週のように4人でラジオ放送を行っているだけあります。もちろんシナリオも準備し、稽古も重ねた上でなのでしょうが、4人横一列でのトークセッションは、各メンバーのユニークな個性を活かした自然体で、アドリブにさえ感じるユニークなものです。芸人さんのトークを聞いているようで大いに楽しませてもらいました。
LoVendoЯ(ラベンダー)としての重大発表が、3点。
1.まず、おかまりこと岡田万里奈さん、翌日の23歳の誕生日を期に貯金を開始することを宣言。
2.2016年9月16日(金)、同会場(新宿ReNY)にて秋の公演開催が決定。
3.ラストの各メンバーからの挨拶の中で、魚住有希さんご自身の言葉で、9月16日の公演をもってLoVendoЯ(ラベンダー)を卒業すると発表。
オーディションによるメンバーが決定しLoVendoЯ(ラベンダー)の結成が発表されたのが、2012年11月。そして魚住有希さんが卒業されるのが2016年9月です。約4年間の活動になります。ファンとしては、器楽演奏と作曲面で主導され、"ねえさん"の愛称で親しまれてきた魚住有希さんの卒業にショックを受けた方も多いかと思います。ここは快く応援し送り出したいものです。
魚住有希さんのギタースタイルの基調である白人ブルース・ロックの世界に目を転じてみます。1960年代のイギリスに、有名ロックミュージシャンを多数輩出したロックバンド、ヤードバーズがありました。ヤードバーズ出身の3大ギタリスト、エリック・クラプトン、ジェフ・ベック、ジミー・ペイジは、それぞれ、ヤードバーズには3年未満しか在籍していません。(1年~2年強の在籍)
エリック・クラプトンは、その後、パワートリオ、クリームを結成しますが、ハードロック、へヴィメタルなどのルーツとして後世まで影響を与え続けているクリームの活動期間はわずか2年半ほどです。エリック・クラプトンは、その後、ブラインド・フェイス、デレク&ザ・ドミノスというグループを結成し、いずれも2年未満で解散。しかし、これらのグループが発表した録音は解散後何十年経った現在も聞かれ続けています。
4年間という時間は、意欲と才能のある音楽家、ギタリストが、一つのグループのメンバーとしてグループに貢献し、音楽的成果を残すための時間としては決して短すぎるものではありません。充分すぎる時間と言ってもいいと思います。
作曲陣の要としてLoVendoЯ(ラベンダー)や他のグループへの提供等、LoVendoЯ(ラベンダー)在籍中に2桁台の数の曲を書いてきた魚住有希さんですので、未発表曲の蔵出しも含め、卒業後にポップス作曲家としての評価も高まっていくものと思います。
ギタリストが2人在籍することにより、ツインリード等のギターを前面に出した音作りをしてきたLoVendoЯ(ラベンダー)。私は、宮澤茉凜さんがアコースティックギターを弾き、魚住有希さんがエレキギターを弾く、レイドバックした曲調の演奏が特に好みでした。
魚住有希さん卒業後のLoVendoЯ(ラベンダー)のサウンドはどうなっていくのでしょうか。
ライブ中に、特に、ポップ・ロック調の数曲では、魚住さんのエレキギターが発する中低音のミュート音(弦をピックで弾くと同時に弦の他の位置を掌や手の指で触れることによって消音しながら出すこもった音)がリズム楽器として、楽曲を牽引していると感じたことです。ミュート音はボーカルのバッキングとして効果的なものです。魚住さんのギターが発する中低音の太く力強いミュート音が、歌の伴奏にとどまらず、リズムと曲全体を牽引しているように聞こえたのは、同じ曲でもドラムスとベースのリズムセクションがライブによって変わる可能性があるバンド編成が関係しているのかもしれません。
リードギターとギターリフは他のギタリストでも譜面をもとに弾くことはできるはずです。さらに曲全体を牽引する中低音のリズムギターの要素も加えるとなると、奏者によって曲全体の印象が大きく変わってしまうでしょうから、簡単に他のギタリストに置き換えることは難しいのではと感じました。
鍵盤楽器(電子ピアノ、シンセサイザー等)奏者や、専属のマニュピュレイター(伴奏の電子音源のプログラマー)を加えることによって、中低音域をカバーするという方法も考えられます。その場合、二人のギタリストによるギターサウンドに焦点を当てたサウンドづくりから、デジタル電子音による伴奏主体のエレクトロ・ポップ寄りのサウンドにシフトしていくことになるかもしれません。
音楽性の違いを主な理由として、ローリング・ストーンズを脱退した「アンジー」等で有名なギタリスト、ミック・テイラーの場合、脱退してから、再び古巣のストーンズと共演するまでに、7年間の時間がかかりました。
今回の魚住有希さんのLoVendoЯ(ラベンダー)からの"卒業"は、関係者と調整を重ねた末の円満なもののようです。従って、卒業後の客演には、何も障害がなさそうなのは嬉しいところです。LoVendoЯ(ラベンダー)と卒業された魚住有希さんとの共演が、遠くない将来、実現することを期待したいものです。
LoVendoЯ(ラベンダー)の結成時点で、リーダーの田中れいなさんは、既に10年以上にわたり、芸能界でトップアイドルであり続けてきました。リーダーの田中れいなさんからの、初めて芸能界入りした3人の各メンバーに対しての指導と影響は、グループと各メンバー自身の成長に大きく役に立ったものと思います。
トップアイドルとして芸能界の中心を歩んでこられた田中れいなさん。生粋のロック・ギタリストとしてロックギターを求道し続ける魚住有希さん。全く異なる芸能、音楽の背景を持つ2人が、4年間にわたって同じグループのメンバーとして相互に影響を与え、音楽の創作と演奏を続けてきたこと、このこと自体が奇跡的なことだったのかもしれません。
そしてこのことは、LoVendoЯ(ラベンダー)のメンバーと、卒業していく魚住有希さんのお互いに大きな影響をおよぼし、これから活動をしていく上でもお互いにとって大事な資産(宝物)として活き続けていくことでしょう。
これからのLoVendoЯ(ラベンダー)、そして卒業していかれる魚住有希さんのご活躍に期待し、応援し続けたいと思います。
[DATA]
日時 : 2016年7月23日(土)
会場 : 新宿ReNY
メンバー: LoVendoЯ(ラベンダー):田中れいな(ボーカル)、岡田万里奈(ボーカル)、魚住有希(ギター)、宮澤茉凜(ギター)
サポートメンバー:Megu(ベース)、MIZUKI(ドラムス)
◆LoVendoЯ(ラベンダー) 「宝物」(作詞:田中れいな、作曲:魚住有希)
https://www.youtube.com/watch?v=boFKrQptghA
◆LoVendoЯ(ラベンダー) 「むせび泣く」(作詞:中島卓偉、作曲:魚住有希)
https://www.youtube.com/watch?v=ThmN41XqsIA
◆セイディ・ジョンソン 「ランブリング オン マイ マインド」
高校生時代の魚住有希さん同様、ティーンエイジャーの頃からロバート・ジョンソンを研究し、ギタリストとしてのスタイルを作りあげてきたアメリカを代表するブルース女子のセイディ・ジョンソン。数曲発表しているアコースティックギターによるカバーは秀逸です。演奏し終った後の破顔一笑が思いっきりチャーミング!カントリーのテイラー・スウィフトがポップスターになったように、ブルース女子もポップスターになって欲しいものです。
https://www.youtube.com/watch?v=F3glo78p1lU
◆ザ・サッド・サム・ブルース・ジャム フィーチャリング クレスタ・ヘス 「The Thrill Is Gone」
・八代亜紀さんによるカバーも話題のB.B.Kingの名曲。"ザ・サッド・サム・ブルース・ジャム"は、セイディ・ジョンソンのバンド。セカンドギターのポジションのクリスタ・ヘスは、(ドイツ系の姓ですが)ちょっとアメリ風の不思議な雰囲気もあるブルース女子。何曲かで、リードボーカル、リードギターを取っています。アレンジが実に意欲的。男性ブルーズメン、ロッカーにはできない女性ならではのブルース。クリスタのちょっとフレンチ風のソフトでスイートな歌声が、原曲スタジオ盤のストリングスパートの効果も出し、サンタナ風のハードなブルースギターソロを一層浮き立たせています。アウトロでは、クリスタはジョージ・ベンソンやジョイス・クーリングのように、ギター・ソロとスキャットボーカルをユニゾン!。セイディ・ジョンソンのスムースなギターによるボーカルのバッキングも最高。
https://www.youtube.com/watch?v=dJqXHZjoGIo
◆サマンサ・フィッシュ 「ブラック キャット ボーン」
・日本には"サマンサ推し"が多そう。パワフル、ファンキー、ソウルフル。セイディ・ジョンソン、クリスタ・ヘスをはじめとするアメリカ内外のブルース女子との交流も盛んで、共演もされています。
https://www.youtube.com/watch?v=gUVygOwz3ig