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BAND-MAID (バンドメイド、bandmaid)、ロンドン公演の成功とその音楽的魅力

 今月、ミニアルバム『Brand New MAID』を発表しメジャーデビューしたBAND-MAID (バンドメイド、bandmaid)。5月27日、28日、29日の3日間にわたるMCM ロンドン コミックコンでのお給仕を無事終了されました。海外のご主人様、お嬢様によるSNSでの情報を見ると、動員数、パフォーマンスともに成功をおさめられたようです。

 ライブは全部で3回行われたようで、曲のアレンジやステージパフォーマンスを各回変えられています。これは、同じメンバーで、3年間近く、毎月何本ものライブを行い、国内のライブ・サーキットで叩き上げてきたバンドメンバーだからこそ可能だったのでしょう。急ごしらえのユニットやライブの場数を踏んでいないバンドでは、柔軟なアレンジはもちろん、海外で満員の観客を前に納得いくパフォーマンスをするのはまず不可能です。

 そして、なんといっても、くるっぽことBAND-MAID (バンドメイド、bandmaid)のオリジネーター、MIKUさんのおまじないMCの英語比率が高まっている!日本語比率が高かった前回の海外お給仕、3月末のシアトルSAKURA-CONから2ヶ月、満を持してのローカライズ実現ではないでしょうか。

 BAND-MAID (バンドメイド、bandmaid)の人気が海外で先行しているのは、欧米のロックのざっと100年間の文法の基本をしっかり押さえたうえで、このバンドならではの強いオリジナリティーを持っていることでしょう。

 メジャーデビューアルバム『Brand New MAID』からの先行シングル『alone(アローン)』では、彩姫さんの中低音域でのパワフルなボーカルに、MIKUさんが、オクターブ高いSweatな声をかぶせるというアレンジをしています。高音でもファルセットではなく甘い声というところがポイントで、これはBAND-MAID (バンドメイド、bandmaid)のボーカルアレンジのイノベーションになったのではないかと思います。ラウドなサウンドに甘い声を乗せるというアレンジは世界の他のロックバンドにないオリジナリティーです。

 ロックと呼ばれる音楽が成立してから約60年ですが、それ以前にもロックに聞こえる音楽やルーツの音楽は存在し、ロック系の音楽の歴史はざっと100年以上はあります。ポップ ミュージックとロックの体系や文法というのはものすごくしっかりしているので、外見・演出はとてもユニークだが、音はポップ ミュージックの文法、体系にしっかり沿っているというのは、海外の音楽ファンや業界関係者が飛びつくポイントかもしれません。

 例えばYOUTUBEのコメントに、「MISA(ミサ)のリードベースは、The WHOザ・フー)のジョン・エントウィッスルを思い起こさせる!」というベテランロックファンらしき男性からのコメントがあり、彼の地のロックファンが、まずロック60年の体系、文法にあてはめ理解、受入れるというプロセスが見えます。

 BAND-MAID (バンドメイド、bandmaid)にfaces(フェイセズ)に通じる華を感じると書きましたが、BAND-MAID (バンドメイド、bandmaid)のステージでの外連味、華からは、1970年代のグラムロック誕生前の欧米のロックバンドの演出、テーマを共通した派手な衣装を着て見えを切るスタイルを連想します。ニューヨーク・ドールズとかシルバーヘッドとか、当時はそういうスタイルが主流でした。

 ロックバンドがテーマを共通したステージ衣装を着るって、1980年代にMTVを席巻したLAメタル・ヘアーメタルを最後に終わってしまったように思います。グランジによって滅ぼされたわけです。それ以降のへヴィメタルやラウド系ロックは、外見の華やかさ、バカッぽさを否定し、地下を深く掘る方向に進んだように感じます。それは内面のメッセージを外見に反映するということでもあるのでしょう。

 現在のへヴィメタル界では、LAメタル・ヘアーメタルはすっかり軽視されているようです。LAメタル・ヘアーメタル好きなんですよ。トゥイステッド・シスターなんて、どう見てもニューヨーク・ドールズ直系です。UKのスレイドを父に、NYのニューヨーク・ドールズを母に誕生したのがLAメタル・ヘアーメタルなのかもしれません。

 確かなテクニックを持ったバンドメンバーが3年間ライブで叩き上げて作りあげてきた説得力あるロック・サウンド、今では見られない1970年代のロックにあったような外連味のリバイバル。こういったロックの体系、文法に沿った部分と、MIKUさんが持ち込んだ異文化としてのアイドル文化・メイドカルチャーのミックス、こういったところがBAND-MAID (バンドメイド、bandmaid)の魅力を作っているのかもしれません。